Sunny honey Monkey, bunny.

ビバ!小池のつれづれ天国

北風と中華と垂直と野菜とタイガ

2005-10-15 | the daily
今日もかわらず図書館でもやもやしていたところ,
隣の席のイスに「らいふすてーじ」が置いてあることに気がついた。

どうやら誰かが捨てていったらしい。
僕はそれを手にとってぺらぺらと読み流す。

「らいふすてーじ」というのは京大生協の情報冊子で
今月実施されるキャンペーンの宣伝などが載っている。

そのなかに掲載されていた北部食堂のページを眺めながら
僕はこうつぶやく。



―そうだ,北部へ行こう―

それが物語の始まりであった。



自転車をこぎこぎ今出川通りをわたり,
軽やかに北部キャンパスすべりこむ。

心なしか気温が低い。
さすが北部である。

道の両脇にもタイガの並木が鬱蒼と茂っている。
ロシアの思い出がよみがえる。



自転車をぶらぶら走らせ北部食堂にたどりつく。

北部食堂はコンクリートの建物で壁が地面に対して歪みなく垂直に立っていた。
僕の目で確認するかぎり正確に直方体の形をしたその建物は,
だれが見てもその素晴らしさを実感できるものであった。

そうか,北部といえば理学部である。
最先端の技術が集約している北部キャンパスだからこそ
建築においても壁を垂直に立てる方法が確立しているのだ。

さすが北部である。



しばらく建物に見とれていた僕であったが
あまりの寒さでふと我に返り,建物の前に置かれた看板に気がつく。
そこにはこう書かれていた。



炎の中華フェア実施中



そういえば昔聞いたことがある。
寒い国では度数のきつい酒を飲んで体を温める習慣があるらしい。
これもそういうことなのだろう。

「郷に入れば郷に従え」のとおりに
僕もその習慣にならって八宝菜丼と餃子で体を暖めることにする。

おおむね中央食堂ではあらかじめ作っておいた料理を提供するだけだが,
北部食堂では注文が入ってから料理を作るようである。
目の前で八宝菜が炒められ餃子が焼かれて自分の料理ができていく。

差し出された丼と餃子からは湯気が立ち上り,
暖かな香りが僕の食欲を刺激する。

テーブルに座り,僕は八宝菜丼を口に入れる。



・・・うまい・・・



ふっくら炊き上がった白米と甘酸っぱいあんの風味が口いっぱいに広がり
そしてまた新鮮な野菜の食感が僕を楽しませる。

そうか,北部といえば農学部である。
農学部で栽培された野菜が中央より短い時間で配送されるため
北部食堂では新鮮な野菜を食べることができるのだ。

さすが北部である。



幸せな満腹感のなかで
僕は北部の環境にとても満足していた。

しかし必ず旅の終わりはやってくるものである。
無情にも僕の腕時計が1時を指した。

もう帰らなければならない。



僕はその日の最終便の自転車に飛び乗り
北部を後にする。

またいつの日か必ず戻ってくると誓いながら。



―完―

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