今日は第九と雨男。
どちらも本番前ということでハードだった。。
その上、各練習場間で疾走し、
おまけに学校での化学実験のために
一日中、汗と硫黄の臭いにつつまれておりました。
そんなちょっとくたびれた
今宵の選曲はF.Schubertの「Die Nacht D.983C,Op.17-4」。
男声合唱の有名な愛唱曲のひとつです。
―Wie schön bist du,freundliche Stille himmlische Ruh'!―
恋人を「夜」に例えて「何て美しいんだ!」と歌うわけですが、
ほんまに美しい曲です。
パッと見、ホモフォニーで簡単そうな印象を受けるかもしれませんが、
清らかで気持ちの良い演奏には和声感と歌心がかなり要求されます。
合唱団の本当の実力をはかれる曲ということです。
オルフェイドレンガーの演奏。
Die Nacht
楽譜(PDF)、MIDI→こちら
楽譜→そちらなど
※たくさん市販されていますが今回はべーレンライターのを。
演奏→あちらなど
※同じくオルフェイドレンガー。なにこらの演奏も大好きです。
明日は本番、がんばろう!
作曲:千原英喜
世界史でキリスト教をやっていることもあって(?)
今回はこの曲。
名作ですね。男声にも編曲されています。
タイトルの「おらしょ」とは
ラテン語の「Oratio」(=祈り)が日本語に転訛したもの。
副題に隠れ切支丹の歌、とあるように
江戸時代、異端として迫害を受けながらも
密かにキリスト教の信仰を続けたカクレキリシタンたちの悲哀と祈りの歌。
彼らの伝承歌や中世・ルネサンスの聖歌などをベースに
千原作品ならではの独創的な音世界が広がっている。
間宮芳生に師事したこともあってか千原氏、
複数の音素材を融合させ一つの作品にしてしまう術に
とても長けていますよね。
ちなみに同じく千原英喜作曲の「どちりなきりしたん」は姉妹作。
こちらもいつか紹介できたら…
《Ⅰ》
―Alleluia
ひとつ唄いましょ はばかりながらヨ
唄のあやまりャ サーマ
エー ごめんなりよ
(中略)
泣いてくれるな 出舟のときはヨ
沖で櫓櫂の サーマ
エー 手につかぬよ
Alleluia ―
第一楽章。長崎平戸島の「五島ハイヤ節」が素材。
グレゴリオ聖歌の旋律も聞こえてくる。
キリシタン迫害の手から逃げるために
故郷を棄てた信者達の望郷の念が歌われる。
幻想的なハーモニーが聴く者を曲の世界にいざなう。
《Ⅱ》
―きりやれんず きりすてれんず きりやれんず
Kirye,eleison.Christe,eleison.Kirye,eleison.
(中略)
ばんじにかないたもう てんちをつくりたまいて
おんおやでうす(Deus)の そのおひとりご
われらがおんあるじ ぜずきりすと(Jesu Christo)
しんじたてまつる
(中略)
あんめいいえぞすまりや(Amen Jesus Maria)
Kirye,eleison.Christe,eleison.Kirye,eleison.―
作品の中心的楽章。
「みぜれめん」や「ぐるりよおざ」等の伝承歌が素材。
グレゴリオ聖歌の旋律もクロッシングしてくる。
祈りの歌はカクレキリシタンたちに歌い継がれていくうちに
日本語に転訛し旋律も日本的なものになっていった。
カクレキリシタンたちの神への熱い思いが力強く響く。
コンクールでも良く取り上げられる。
なかでも第59回全日本合唱コンクールでの
CANTUS ANIMAEの演奏が素晴らしい。
一音一音にドラマがあり、魂が込められている。
生で聴きたかったなあ。。
《Ⅲ》
―汐は半から満ちネ
月ャ八さがるヨ
こころぼそさヨ 鳥のこえ
(中略)
獅子の泣き唄よ 仏の前でね
ひとつ歌えば 供養になる
アー 参ロヤナ 参ロヤナァ
パライゾノ寺二ゾ 参ロヤナァ
パライゾノ寺トワ 申スルヤナァ
広イナア狭イワ ワガ胸二 アルゾヤナァ
(中略)
獅子はよいところよ 朝日を浴びてね
お山颪の そよそよと
Alleluia―
第三楽章。
平戸島の獅子の泣き唄といくつかの伝承歌が素材。
一番好きな楽章かも。
泣き唄の哀愁漂う節回しと伝承歌の勇壮な節回しと…
特に「参ロヤナァ」の部分から
「獅子はよいところよ」に回帰してくるのところがぐっとくる。。
こうして中世、隠れ切支丹たちの世界は遠ざかっていく…
《Ⅰ》
《Ⅱ》
《Ⅲ》
※権利関係がよく分からないため迷ったのですが
この音源のCD(大阪ハインリッヒ・シュッツ合唱団による)が
完売、絶版状態にあることを考えて掲載しました。
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楽譜は→おらしょ (カクレキリシタン3つの歌) [混声]
―さまざまな社会矛盾を前にして、ひるまず冷静に真実を見つめ
未来を切り開く若い意思にエールを送る木島始の5つの詩をテキストとして作曲。
テーマからも、若いひとたちの合唱団に特に身近な内容となっている。―
パナムジカ紹介文より
英語タイトルは「SONG FOR A FRESH START」
今の季節にぴったりなナンバーですね。
その親しみやすい旋律とメッセージが今、大変、人気のある曲です。
特に昨年度はたくさんの大学合唱団で演奏されていました。
また、1,3,5は単独でもよく取り上げられ合唱祭でも頻繁に耳にします。
女声版・男声版にも編曲されています。
混声合唱団エオリアン・コールの委嘱作品。
初演は2002年6月。
作曲:信長貴富
作詩:木島始
プロフィールはリンク先をご覧ください。
どちらもお気に入りの作曲家、詩人。
1.初心のうた
―どこを とおろうと ほしを みあげ ひとり ひとり つきとめよう
まちや くにの しくみを
ころしや つくり かりたてる くにと ひとの しくみを―
他の曲に先駆けて月刊雑誌『教育音楽』2001年8月号の
中学生向け付録楽譜のために作曲された曲。
「まち」「くに」「ひと」の中の闇を象徴するようなピアノの前奏で始まる。
しかし、「わたしたち」が「ゆめを うごかす はぐるま」を「まきなお」し
「アジアの かがみに うつる」「みらいを」「「つきとめ」るにつれて
音楽も明るみだし、躍動的になっていく。
2.自由さのため
―酔いつぶされるな 空のめまいに 海のめまいに 泳ぎきる訓練で―
自分はこの曲、結構好き。
心地よいそよ風のようなピアノにのってこれまたそよ風のような旋律が流れていく。
「泳ぎきる」ことが目的ではない、その先にあるものを見失ってはいけない。
希望に満ち、青い力を持つ今だからこそ。
3.とむらいのあとは
―たおれたひとの たましいが うたえなかったもの ゆめみよう―
組曲中、唯一のアカペラ曲。かつ最も人気が高い曲かもしれない。
僕もいつか「銃よりひとを しびれさす」歌を、「ひきがね ひけなくなる」歌を
うたえるようになりたい。
繰り返されるやさしいハーモニーがぐっとくる祈りのうた。
H18の全日本合唱コンクールの課題曲にもなった。
4.でなおすうた
―わたしたちは帰還した はずだった―
詩の内容は少し「日本が見えない」を思い出させる。
「わたしたち」は平和な日常には結局、帰還することはできなかった。
終盤の「はずだった」が胸に突き刺さる。
5.泉のうた
―とおくまで 歩ける足が
ひとり ひとり ひとり
ひとり 歩ける足が ひろい 道を つくりだす
踊れる おどれる ひろい 道が あるといいな―
第1曲目のピアノが光を伴って再現される。
「とおくまで 歩ける足」でもって平和な世界=「ひろい道」「じぶんの泉」をつくる、
そんな意思が力強くかつ軽やかに展開される。
末尾のピアノはまだ厳しさは残っているけども、明るい未来を感じさせる。
良い曲です。
メッセージはベタかもしれないけどやっぱり若者達に歌ってほしい。
つうか歌いたい。
楽譜のお買い求めは→初心のうた【混声】
CDのお買い求めは→思い出すために 信長貴富混声合唱作品集
などでどうぞ。