早突きの実戦と考察

相掛かり定跡の5手目の▲7八金を省略して先手がいきなり突っかけるとどうなるかを考察する部屋です。

修正180度(H7-2-1)

2011-02-28 23:59:18 | Weblog

今回のお相手はヤフーで対戦したH7さん(後手)です。今回も例によって第1図は、先手の私が▲2二歩成と歩を成った局面です。初手からの指し手は、これまで通り▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△8七歩▲2三歩△8八歩成▲同銀△3五角▲2八飛△5七角成▲2二歩成です。

ここで2二のと金を△同飛(正解手)と取るか△同銀(疑問手)と取るかが大きな分岐点なのですが、これまでご紹介してきたようにほとんどの方が△同銀でした。さてH7さんは・・・

第1図以下、△2二同飛▲2三歩△8二飛▲2二角△同銀▲同歩成△2七歩▲同飛△4五角で第2図。

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H7さんは正解手の△2二同飛でした。実はH7さんとは少し以前にこの戦形で指していて、その時は第1図の局面から△2二同銀でした。その将棋も記事にしてありますので、ご参照して下さい。「勇み足宣言(H7−1−1)

この将棋は序盤でH7さんが△8六飛と走るタイミングを誤ったために、大きく形勢を損ねてしまった一局でした。おそらくH7さんはこの敗局を憶えていたに違いありません。それで本局は第1図から手を変えたのでしょう

第1図から△2二同飛なら私は▲2三歩と押さえて、そして▲2二角と放り込んでみることにしています。ここらへんの経緯については過去記事で詳しく説明していますので、参照していただければと思います

▲2二角は一見ウルサそうな手ですが、H7さんの対応は冷静で正確でした。本譜の順で第2図まで進んで後手優勢です。△2二同銀では先に△2七歩(参考A図)に▲2七同飛とさせてから△2二銀▲同歩成△4五角でも、第2図と同一局面となり同じ理屈です

参考A図で▲1一角成△2八歩成▲2一馬と攻め合うのは、先手が先に攻めてはいますが、損害の差が大きすぎてダメです

また参考A図で速度重視とばかりに▲3一角成△2八歩成▲4一馬△同玉も後手玉に詰めろをかけることができないので、これも自殺行為です。第2図まで進んで先手に逆転の可能性はあるのでしょうか?

続きは次回です。


おかわり(S9-1-2)

2011-02-17 01:06:16 | Weblog

前回に引き続きヤフーで対戦したS9さんとの一局を見ていきます。今回は37目、先手の私の手番からです。再掲第3図は△8八歩成と歩をなり捨てた局面です。本局の初手からの指し手については前回記事「おかわり(S9-1-1)」からご覧下さい。

第3図以下、▲5八金左△6八角▲同銀△同歩成▲同玉△6七歩▲同玉△5六銀▲7六玉△4六馬で第4図。

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前回記事の最後に書いたように、このと金を取ると馬切りがあるので、7九の銀はあきらめて▲5八金左。これも馬を切られて2枚換えになる変化なので、一見すると先ほどのと金を取る変化より悪そうにも思えますが、これは人情。馬に大威張りで6九の金を取られるのは、先手にとっては耐え難い屈辱というものです

本譜に戻って、S9さんが2枚換えコースを取るかと思っていたら、予想に反して△6八角。これは私にとっては殺されているような銀をサバかせてもらえるので、願ってもないことです

銀をサバいて私は▲6八同玉と取りましたが、ここ▲6八同金でもやはり△6七歩(参考C図)とタタいてくるのでしょう。以下、▲6七同金なら△7八ととと金を活用できますが、これで後手良しというわけでもないとは思います

私はこの変化を嫌ったというより馬アタリを残しておきたかったので、▲6八同玉の方を選択しました。こうなればもうあとは王手王手で来ても逃げるだけです

第4図以下、▲2三角△4二金寄▲2二飛△6二玉▲4一竜(投了図)まで先手の勝ち。

私は▲2三角と詰めろをかけましたが、ここでは▲4一竜から即もありました。S9さんは△4二金寄と受けましたが、▲2二飛で今度こそ受けがなく、△6二玉と逃げましたが、▲4一竜を見て投了となりました。

本局は24手目でS9さんが2筋を受けずに△8二飛としたために、おかわりで2度目の▲5二歩の王手を食らってしまった一局でした

「王より飛車をかわいがり」という格言がありますが、本局の場合「銀より桂をかわいがり」という感じでした。


おかわり(S9-1-1)

2011-02-13 15:32:23 | Weblog

今回のお相手はヤフーで対戦したS9さん(後手)です。今回も例によって第1図は、先手の私が▲4五角と打った局面です。初手からの指し手は、これまで通り▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△8七歩▲2三歩△8八歩成▲同銀△3五角▲2八飛△5七角成▲2二歩成△同銀で▲4五角です。

第1図以下、△4七馬▲5二歩△同飛▲6三角成△8二飛▲5二歩△同飛▲同角成△同金右▲2二飛成で第2図。

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△4七馬は珍しい手でこの手を選択する人はほとんどいなかったのですが、つい少し以前のS8さんに続いて本局のS9さんが採用です。続く時は続くものだと思いました。第1図から▲6三角成まではS8さん局と同手順ですので、「1歩得の代償(S8−1−1)」を参照して下さい

▲6三角成は8一の桂取りとなっていますが、前局のS8さんは桂をあきらめ△2三歩と2筋の方を守りました

この形はもう1局前例があるのですが、その将棋も▲6三角成に△2七歩▲同飛△2六歩(参考A図)と8一の桂よりも2筋の防御の方を優先されました。しかし本局のS9さんは2筋を放置して△8二飛と桂の方を受けました。ここで先手に歩がなければいいのですが、まだ駒台には2枚も歩があります

これでは▲5二歩と再度王手で玉頭をタタかれて、これは後手ダメです

第2図まで進んで、結局S9さんは2筋を突破されてしまいました

第2図以下、△6六歩▲同歩△8七歩▲7九銀△6七歩▲2一竜△8八歩成で第3図。

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先手かなり優勢となりましたがS9さんは△6六歩~△8七歩とカラんできました。中々うるさいカラミですが、△6六歩▲同歩に△6七角(参考B図)という手も面白かったかもしれません。△6七角に①▲2一竜なら△6九馬▲同玉△4九角成、②▲5八金左なら△同馬▲同金△8九角成、③▲7九金は△4九角成▲同玉△5八金で詰み。先手にとっては油断ならぬ変化だったとは思います

本譜に戻ってS9さんは△6六歩~△8七歩ですが、これは▲8七同歩と取ると△8八歩と桂を殺されるでしょうから取れません

で、▲7九銀と引きましたが、ここで△6七歩がセンスのいいタラしでした。私はこの手を見ても大したことないと判断して▲2一竜と桂を取ったのですが、この瞬間に△8八歩成(第3図)がS9さんの狙いの一着で、▲8八同銀と取れば、△6九馬の切りがあります

私はどうすればいいのでしょうか?・・・続きは次回です。


香烈な槍攻撃(I5-1-3)

2011-02-03 17:08:00 | Weblog

前回に引き続きヤフーで対戦したI5さんとの一局を見ていきます。今回は45目、先手の私の手番からです。再掲第5図は▲3二成香を△3二同金と取った局面です。本局の初手からの指し手については前々回記事「香烈な槍攻撃(I5−1−1)」からご覧下さい。

第5図以下、▲8五飛△5四香▲5八金左△同香成▲同金△3四歩▲8一飛成△7二銀▲9一竜で第6図。

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▲8五飛が馬桂両取りでオイシイ手に見えたのですが、これが大悪手でした

△5四香の王手が実にキビしい一手でした。玉をどちらに逃げても△5七角と打ち込まれる手が見えています。私は仕方なく▲5八金左と上がって、金香交換に甘んじました

やはり歩切れの裸玉に槍攻撃は強烈過ぎました。こんな事なら▲8五飛では一旦玉をカワシておくべきでした

I5さんは△3四歩と馬を守りましたが、これも自玉の逃げていく側に私の飛車の侵入を許してしまうので、かなり危険な選択だったように思われます。してみるとここでは後手もかなりコワい局面に見えてきました。攻め合いなら△3四馬(参考G図)でしょうか。先手が7八の銀取りを受ければ、後手も飛車成りを受けておく。あるいは△8三歩と中合いして▲8三飛成に△9二角などといった変化も考えられます。実戦は第6図まで進んでI5さんの方も尻に火がついてきた感じがしたのですが・・・

第6図以下、△4六桂▲4七銀△5八桂成▲同玉△5七金▲6九玉△6八金打(投了図)まで、後手の勝ち。

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△4六桂が決め手でした。先手玉の詰めろと3八の銀のタダ取りを同時に受けるとすれば▲4八金と寄るくらいですが、これも△3八桂成▲同金(参考H図)の形がヒドく、まったくダメ

本譜の▲4七銀も受けになっておらず、しっかり詰まされました

本局は39手目の私の▲2三香、それに46手目のI5さんの△5四香の2つの香打ちが印象的でした。香の破壊力をあらためて痛感した一局でした。