早突きの実戦と考察

相掛かり定跡の5手目の▲7八金を省略して先手がいきなり突っかけるとどうなるかを考察する部屋です。

タレ歩の処理(T14-1-5)

2013-07-29 11:02:37 | Weblog

前回に引き続きモバゲで対戦したたT14さんとの一局を見ていきます。今回は141手目、先手の私の手番からです。再掲第10図は△4三銀と打たれた局面です。本局の初手からの指し手については過去回記事「タレ歩の処理(T14−1−1)」からご覧下さい。

第10図以下、▲4五馬△3四銀打▲5六馬△2七歩▲2三歩成△同銀▲2七飛△2六歩▲同飛△3六歩▲3五桂△2四歩で第11図。

▲6四馬と逃げて次の▲5三とに期待するのは馬の位置の感触が悪い。私は▲4五馬と逃げました。こちらの方が後手の大駒2枚の筋をキープしており、何かの拍子にス抜きやサバきを期待できます。

T14さんはガッチリと△3四銀打。これは駒得を活かした手で、ここまでされたら▲5六馬とハジかれても仕方ありません

T14さんはここで2七歩。私としては相手が桂香持っているので、飛車を吊り上げられて飛車アタリで桂や香を打たれてしまうと、飛車を逃げたあとに2四のタレ歩を除去されてしまいますので、今のタイミングで▲2三歩成を決めてしまうしかありません

そして△2三同銀となって▲2七飛と歩をハラいました。そしてさらなる△2六歩にも私は▲2六同飛と応じましたが、これは大悪手だったと思います

ここは▲2六同金と金で取るべきでした。この金は受けにも使えないわけですし、このさい攻撃の尖兵として前線に繰り出していけば良かった。本譜の△3六歩が実に痛い手で、飛車金どちらで取っても桂打ちがある。▲4六金(参考M図)とかわしても△3四桂と打たれそう

そんなわけで非常手段的ではありますが「アタっている駒が最も働いている駒」の格言に従って、ここは金取りを無視してしまう事にしました。私は▲3五桂。対してT14さんは私の飛車を止める△2四歩(第11図)。ここですぐに▲2三桂成と銀を取ってしまうのは面白くない。せっかく2筋に歩が切れているのですから、▲2三歩と玉頭をタタく展開にしたいところです。私の指し手は・・・

第11図以下、▲3四歩△同銀右▲2三桂成△同馬▲5四歩△4四桂▲5五馬△3五銀▲3四歩△3七歩成▲5三歩成△3二金で第12図。

▲3四歩は153手目の手でずいぶん長手数になってきました。そのせいかこの辺の私の指し手はかなり乱れている(言い訳がましい)

▲2三桂成と桂を清算して、今度は一転▲5四歩。ここ▲3五歩(参考N図)と打って△3五同銀なら以下、▲2三馬△同玉▲5三ととと金を活用する手が見えます(次に▲4五角の王手飛車)。

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しかしこれは最初の▲3五歩に△3五同銀と応じてくれずに△4五銀と馬の方を攻められてしまうかもしれません。本譜△4四桂も自陣を固めつつ馬アタリで実に味良い攻防手。▲5五馬に△3五銀でついに王手飛車が実現してしまいました

ということは▲5五馬では▲6七馬と引くよりなかったという事になりますが、それでも△5五桂(参考O図)と打たれると馬がどこに逃げても結局△3五銀で王手飛車になりそうです。まぁ、こちらの方が桂1枚余計に使わせた分得だと言えなくもないですが・・・

本譜▲3四歩は当然の一手ですが、後手の馬で玉がニラまれているうちは▲3三歩成の王手もできないわけで、これでは反撃にもなりません。ここでT14さんが悠々と飛車を取るかと思っていたら△3七歩成と金の方を取られました。飛車を取ったのでは▲2六同金で銀1枚損ということでしょう

これなら私としても飛車を逃げることができますが、▲1六飛と端に逃げれば△3四馬(参考P図)でまた王手飛車。

しかしこれなら飛車はヒモ付きなので▲4五銀(または▲4五金)と打って逆点ムード。この変化に賭けるべきだったか?

本譜は▲5三歩成。直線的な攻め合いを求めた手ですが、T14さんは飛車を取らずに一旦△3二金(第12図)と金を逃げました

ここでも前述の飛車逃げの変化があるわけですが私の指し手は・・・続きは次回です。


タレ歩の処理(T14-1-4)

2013-07-23 17:22:29 | Weblog

前回に引き続きモバゲで対戦したたT14さんとの一局を見ていきます。今回は102手目、後手のT14さんの手番からです。再掲第7図は△7七歩▲同桂△同桂成▲同馬と7筋で桂を取り合った局面です。本局の初手からの指し手については過去回記事「タレ歩の処理(T14−1−1)」からご覧下さい。

第7図以下、△5四歩▲3七金△3五馬▲3六歩△2四馬▲2五歩△1四馬▲1六歩△2四歩▲同歩△同銀▲1五歩△2三馬で第8図。

前譜で桂をサバいたT14さんですが、歩切れでもあり相変わらず手の作り方が難しい。△5四歩は▲同歩なら△同馬と馬を好所に引きたいという事でしょうか。こちらとしてはそれは不満なので▲3七金とこんなアホなところに金を投入して馬をイジメる事にしました。

以下、▲3六歩~▲2五歩と馬を端に追い詰めていきます。▲1六歩で馬を捕らえたかと思ったのですが△2四歩が唯一の切り返しで、以下△2三馬(第8図)まで馬を逃がしてしまいました

しかも敵玉の玉頭と最高の好所に馬を引かせてしまったわけで、3七に金を打ってまでして馬を追った手順が完全に裏目となってしまいました

なお▲1五歩で▲2三歩△同馬▲1五桂(参考J図)としても以下、△3三馬▲2三歩△3一玉(△1二玉もありそう)くらいで、次の継続手がなく、逆に△1四歩から桂を取られそうでダメ。

手に窮したかに思えましたが、桂があったので攻め筋が見えました

第8図以下、▲2五歩△3三銀▲1四歩△同歩▲1二歩△同香▲2四桂△4二金寄▲1二桂成△同馬▲2四歩△1一桂で第9図。

▲2五歩はせっかく切れている飛車先に打つ歩で普通は打ちにくい歩ですが、以下、端に手をつけて▲2四桂の金香両取りが狙いの手。

T14さんは△4二金寄と金の方を逃げました。次に香まで逃げられると桂が空振りなのでここは▲1二桂成と桂香交換です。T14さんは△1二同馬と馬で成桂を取りましたが、△1二同玉と玉で取る手との比較はビミョーで、これは極めて難しい。ま、私としてはどちらで取られても▲2四歩と伸ばすだけです。対してT14さんは△1一桂。このド根性の受けには驚きです。ここで手を渡された私は・・・

第9図以下、▲5四歩△3五歩▲2三香△同桂▲6三と△5四金▲5五歩△4五金▲同銀△同歩▲7六馬△7五歩▲5四馬△4三銀で第10図。

T14さんが△1一桂を打ったということは2筋は徹底的に受けるという事でしょう。まぁ、玉頭ですから当然ですが、これならこちらが▲2七香などと数をたしてもまたさらに△3一桂と一段目に桂を3枚並べて受けられそう

ということで目線を変えて▲5四歩と突いてみました。馬筋を通す意味と何か駒が手に入れば5三に打ち込む意味です。しかしここで△3五歩と突き返されてしまいました。この歩も後手の馬筋を通す手ですが、この瞬間に5六の銀にアタっていて、さらに玉まで素通しになっているのでこれは激痛です

▲6七銀と引いても△7五桂(参考K図)がピッタリで、この銀は逃げる事は不可能です(▲6七銀で▲6七金と上がっても同様に△7五桂)。仕方なく▲2三香と温存していた香を打ち込みました

T14さんは△2三同桂。この桂を▲2三同歩と取れなければ香の丸損なのですが、かといって取ると△2三同馬でまた馬筋が通ってしまいます。悩ましいところですが、私は取らない方を選択しました。そして▲6三と。これもずいぶん前から温存していた手です

温存していた理由は8一の飛車に対する牽制です。このと金がここにいれば玉頭を攻められた時でも8二に何か打って飛車を止める事ができるという意味です。

しかしここに至ってもうぐずぐずできなくなってきた事に加え、▲5四歩と歩を伸ばせたので、と金を寄る決心がついた次第です

T14さんはていねいに△5四金。ここ激しく行くなら△2七歩(参考L図)と打って私が飛車か金どちらで取っても△1五桂で飛車銀両取りというハデな変化も有力だったと思います。

本譜はていねいな△5四金だったので▲5五歩~▲4五同銀と取られそうだった銀をサバくことができて、これなら香を捨てた価値がありました

さらにここで手番を得た私は▲7六馬。5五の歩と6六歩で馬筋が遮られているので、馬のラインを変えました

対してT14さんは△7五歩~△4三銀(第10図)。これぞまさに「大駒は近づけて受けよ」という手。さてここで私はどうするべきか?

続きは次回です。


タレ歩の処理(T14-1-3)

2013-07-17 11:31:40 | Weblog

前回に引き続きモバゲで対戦したたT14さんとの一局を見ていきます。今回は75手目、先手の私の手番からです。再掲第5図は△8五歩▲同歩△同銀と銀が出てきた局面です。本局の初手からの指し手については前々回記事「タレ歩の処理(T14−1−1)」からご覧下さい。

第5図以下、▲7五歩△8六銀▲同金△同飛▲8七歩△8一飛▲8八銀△3一玉▲3六歩△4三金右▲7六馬△2ニ玉▲6七馬で第6図。

▲7五歩は馬筋を通しておこうという手ですが、T14さんは当然かまわず△8六銀。以下、△8一飛まで棒銀をサバかれてしまいました

私はその代償として銀を手持ちにして手番を得たわけですが、さりとて適当な攻め筋が見つからず、結局▲8八銀と自陣の手直しです。T14さんの方も△3一玉~△2ニ玉と着々と玉固め。その間の私の▲3六歩は3筋の攻める意味と飛頭に金とかを打たれる手を消しておく意味。この歩は馬で取られてしまいそうですが、後手は馬で7四の桂頭を守っているので、すぐには馬は動けません

私も攻めるだけなら▲4六歩(参考F図)の方が自然な感じもしますが、次に▲4五歩△同歩▲同銀としても続く二の矢がありません

第6図の前に私は▲7六馬~▲6七馬と馬を屈伸運動していますが、相手が矢倉に入城したのを見てこのままでは互角に戦えないと自陣を引き締め直したものです

第6図以下、△7六歩▲7四銀△7二馬▲7六馬△8五金▲同銀△同桂▲7四歩△3六馬▲7三歩成△7七歩▲同桂△同桂成▲同馬で第7図。

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矢倉城を完成させ棒銀をサバき理想的な進行を実現させたT14さんですが、本格的な戦いとなるとどこから仕掛けるべきか悩ましいところでしょう。

T14さんの選択は△7六歩。タダで取られるところになけなしの1歩をタラすとは思い切った手のようですが、歩は△3六馬で取り返せるという事でしょうか。このタレ歩を▲7六同馬と取ると△8五金と打ってくる手の他に△8五馬(参考G図)と馬をブツけてくる手が気になります。馬を取り合うのは手番は取れるものの陣形に差がある事に加え、△3九角が見える点を考慮して、タレ歩のエサには飛びつかないことにしました

私は▲7四銀。この銀打ちはかなり前からあった手ですが、馬に逃げられると後続手が難しかったので見送っていた手です。しかしここでは後手の馬の8五への利きを遮断する意味で打ちました。△7二馬と引かせて、ここで▲7六馬とタレ歩を除去しました。

T14さんは△8五金と打ってきました。せっかく棒銀をサバいて相手の金と交換したのに、その金をまた元々自分の棒銀だった銀と交換されるようなところに打つのは普通に考えればおかしい。冷静に考えればこの金は打たなくてもよかったと思います。それでも金を打ってきたところにタレ歩を取られてしまったT14さんの焦りを感じ取れます

代案として考えられるのは△7一飛(参考H図)でしょうか。これは次に△3六馬と歩を取り返そうという手。

なのでこちらとしては▲2六飛と浮いて歩を守ります。形勢はいい勝負と見ます。先手の私としては陣形は後手陣に比べてバラバラなのですが、玉頭の位が手厚いのでこのまま押し上げて行ければ入玉も見えてきます。後手としてはそうなる前に飛車をサバきたいところでしょうか?

そう考えれば本譜の△8五金もあながち悪い手とも思えなくなってきました。△8五金▲同銀と金銀を取り合って△8五同桂に私は▲7四歩と突き出しました。ここもビミョーなところで△3六馬と歩を補充されてしまったので、8五の桂がタダでは死ななくなってしまいました

そう考えれば▲7四歩では▲8六歩(参考I図)とさっさと桂を取りにいくべきだったでしょうか?しかし本譜も▲7三歩成でと金ができたのでこれも大きいと思います。

桂をサバいた後手とと金を作った先手・・・どちらがポイントを稼いだのでしょうか?・・・続きは次回です。


タレ歩の処理(T14-1-2)

2013-07-11 11:02:55 | Weblog

前回に引き続きモバゲで対戦したたT14さんとの一局を見ていきます。今回は33手目、先手の私の手番からです。再掲第2図は△6四馬と8六から馬を引いた局面です。本局の初手からの指し手については前回記事「タレ歩の処理(T14−1−1)」からご覧下さい。

第2図以下、▲2四歩△同歩▲同飛△6三歩▲2六飛△2三歩▲5六馬△7四歩▲6六馬△5四馬▲7六歩△7二銀▲5七銀△7三銀▲5六銀で第3図。

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相手の馬がブラになった今が後手の陣形を乱すチャンス。▲2四歩△同歩▲同飛に後手は△2三歩と打てません

T14さんは△6三歩と打ちましたが、この手は不本意だったと思われます。代わる手として△5四歩(参考C図)はどうか?△5四歩に▲5四同馬△同馬▲同飛と馬を交換するのは、後手は1歩損しても手番を得る事が大きく、また後手陣の方が角の打ち込みのスキがない事も考慮すると、先手が飛び込む変化とは言えなさそうです。

本譜、先手からもすぐには攻める手はないので一旦▲2六飛と引いたところで△2三歩とフタされてしまいましたが、単に▲2六飛と浮くよりは△6三歩を打たせただけ良しとしましょう

▲5六馬は次に▲8三歩と打って後手の飛車を封じてしまおうという手。△7四歩はそれを受けつつ馬筋を通す手。

ここで私は少し悩みました。玉を左翼に囲いたいのですが、8七のタレ歩を先に始末してから安心して囲いたい。ということで▲6六馬。これは次に▲7六馬ともう1つ寄ってさらに▲8六歩と打って8七のタレ歩を除去したいという意味。T14さんはそれを見抜いたのかタレ歩にヒモを付ける△5四馬。

ここで▲8四歩(参考D図)と打って後手の飛車を止める手も見えますが、それは△4四馬と両取りにブツけられて結局後手の飛車を封じることは不可能です。よって▲7六歩と当初の方針通りタレ歩除去狙いです。この後はお互い右銀を繰り出して第3図まで進みます。

第3図以下、△6四歩▲5五歩△6三馬▲7七馬△3四歩▲8七金△3三銀▲8六歩△4二玉▲6八玉△4四歩▲7八玉△9四歩▲9六歩△8四銀で第4図。

△6四歩と突かれたので▲5五銀と出て行っても馬を引かれて銀が空振りになりそう。というわけで▲5五歩と位を取る指し方に変更しました。このあとは▲7七馬~▲8七金とタレ歩除去です。この間にT14さんの方も着々と自陣の駒組みを進めているので、考えようによっては手数を稼いだという意味でタレ歩の効果はあったと言えるでしょう。駒組みが一段落したところでいよいよ△8四銀(第4図)と棒銀を繰り出してきました

第4図以下、▲6六歩△7五歩▲同歩△同銀▲7六歩△8四銀▲2八飛△7三桂▲6七馬△8五歩▲同歩△同銀で第5図。

第4図でこちらから▲8五歩と打てば△8五同銀は▲8六歩で銀が死ぬので棒銀を押し戻す事はできますが、8五の歩が伸び過ぎでかえって自玉頭が手薄になります

本譜▲6六歩は自然な一着だと思います。6七金あるいは▲6七銀と玉を固める意味の他に本譜のように▲6七馬と寄って次に▲4六歩~▲4五歩と突いて5六の銀を進出させる狙い。また▲6七馬と寄れば次に▲8八銀~▲7七銀と玉頭をさらに手厚くできます

しかしこの構想は多少手数がかかるのが難点でした。T14さんは7筋で歩を交換したあと、△7三桂からすぐ△8五歩と仕掛けてきました

「すぐ」などと書きましたが、後手から見れば当然のタイミングだったでしょうか?この間私は▲2八飛と引く手を指しています。今見直してみますとなぜここで飛車を引いたのか自分ことながらよく思い出せません。多分、駒がサバけそうになってきたのでアタリの少ない位置にあらかじめ退避しておいた方が良いと判断したのでしょう。しかしここで1手使った罪は大きかった。△7三桂で後手の棒銀が急加速です

さらにここで▲6七馬も私としては8五の地点への利きを増やしたつもりですが、さらに相手を挑発してしまったようです

△8五歩▲同歩△同銀(第5図)となって棒銀を止められなくなってしまいました。▲2八飛と引いたところや▲6七馬と寄ったところで▲8八銀(参考E図)と銀を上がっておけば8筋は手厚かったと思います。しかしカベになるので抵抗がありました。

形の先入観にとらわれ過ぎだったのではないかと反省しています

さて本譜、このさい私はどう指すべきか???続きは次回です。

 


タレ歩の処理(T14-1-1)

2013-07-07 10:47:55 | Weblog

今回のお相手はモバゲで対戦したT14さん(後手)です。今回も例によって第1図は、先手の私が▲4五角と打った局面です。初手からの指し手は、これまで通り▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△8七歩▲2三歩△8八歩成▲同銀△3五角▲2八飛△5七角成▲2二歩成△同銀で▲4五角です。

第1図以下、△3二金▲4八銀△7五馬▲6三角成△5ニ金▲4五馬△2三歩▲7八金△8六馬▲5八金△8七歩▲7九銀△6四馬で第2図。

T14さんは△3ニ金でした。この手はこの局面での1番人気の手で、これまでの統計では第1図の局面での採用率が本局も含めて24%ほどです。

ここで▲4八銀と馬を追うのはいつもの私のお決まりの手。T14さんの馬の逃げ場所は△7五馬でした。先ほどは最もオーソドックスな手を採用したT14さんですが、△7五馬は比較的少数派で、この局面では△3五馬と引く方が主流です。

そして▲6三角成に△5ニ金ですが、この手でも主流は△6ニ銀です。

私は▲4五馬。以前は▲9六馬と端に引いていましたが、最近はこちらを採用しています

▲9六馬は8六の歩をタダ取られされたくない意味もありますが、本局のように後手が7五馬型の場合は、後手が馬交換覚悟ならどの道8六の歩は取られてしまうわけですから、9六に馬を引くのはこちらから馬交換の注文を出しているようなものです。

本譜▲4五馬では8五の歩は守れませんが2筋をニラんでいるので、より攻撃的な手と言えるかもしれません。そのためかT14さんはここですぐには8六の歩を取らずに△2三歩。これはある意味▲4五馬の恫喝に屈した手と言えるかもしれません

ここでは後手は歩を2枚持っているので、攻撃的に行くなら△8七歩(参考A図)があったと思います。

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▲7九銀と引かせれば大きな利かしですし、▲8七同銀なら以下、△8八歩▲7六歩に馬を逃げておいて次の△8九歩成で桂得もしくはと金製造が約束されます。ただしこの変化は先手から▲2四歩とタラされると次に2筋に殺到してくる手がキビしい

というわけで今の変化で後手は馬は逃げずに△4八馬(参考B図)とバッサリ切ってしまう手も考えられます。先手の取る一手に△8九歩成。そこで先手に▲2四歩とタラされても、今度は取った桂馬で△3一桂と受けることができます

本譜に戻ってT14さんは穏やかに△2三歩だったため、私も自陣に手を戻して▲7八金。以下、△8六馬と歩を取って▲5八金に、T14さんはここで△8七歩とタタいてきました

こちらは▲7九銀と引くしかないですが、このやりとりはどちらが得をしたのかは賛否両論あると思います。△8七歩は先手にとって大きな利かされと見ることもできますが、逆に考えるとこの攻めはいかにも重い

結局△6四馬(第2図)と一旦引いて飛車を通すしかなくすぐに手駒を入手する見込みもありません。この瞬間に先手から軽い攻めがあります。

続きは次回です。


吊り上げ効果(H11-1-5)

2013-07-03 22:18:44 | Weblog

前回に引き続きモバゲで対戦したたH11さんとの一局を見ていきます。今回は109手目、先手の私の手番からです。再掲第9図は△3五竜と桂を取られた局面です。本局の初手からの指し手については過去記事「吊り上げ効果(H11-1-1)」からご覧下さい。

第9図以下、▲6六角△3三桂打▲2ニ銀△2三金▲2一銀不成△同玉▲4五桂△4四銀▲3三桂不成△同金寄で第10図。

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▲6六角は馬取り逃れの詰めろでここでは当然の一手。△3三桂打と受けてもらいましたが、ここでも攻めをつなぐ有効な手が見えません

一見オイシそうな▲3七香は△3六桂(参考O図)と合いされて、4八の銀にアタります

自陣に手を戻すようだと△2三玉とタレ歩を除去されて攻めの手がかりがなくなってしまいます。というわけで▲2ニ銀と入れたのですが、H11さんはそれでも△2三金。

▲2一銀不成~▲4五桂は必死の追いすがりという感じです。後手としてはこの桂は取っても悪くはないですが、余裕のH11さんは惜しげもなく△4四銀。仕方なく桂を清算してここでは私はすでにあきらめモードです。こういう時はえてして続けて悪手を指してしまうものです。

第10図以下▲4六馬△5四桂▲3五馬△6六桂▲6七玉△4九角▲6六玉△5五金(投了図)まで、H11さんの勝ち。

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▲4六馬と竜にアテつつ馬を逃げたのですが、△5四桂が激痛。この場合、▲3五馬と竜を取っても△3五同歩とは応じてくれず、△6六桂が王手。以下、即詰みに討ち取られました

なお、▲3五馬で▲4四角(参考P図)と角を切っても、今度は△4六桂と馬の方を取られて、これも王手。つまり▲4六馬は大お手伝いのオウン・ゴールなのでした

本局H11さんは序盤でユニークな組み合わせ手順を披露してくれました。この手に惑わされたわけではないですが、私の方に誤算や軽率な手が多く、不出来な将棋となってしまいました。