早突きの実戦と考察

相掛かり定跡の5手目の▲7八金を省略して先手がいきなり突っかけるとどうなるかを考察する部屋です。

またやだちしると(F1-2)

2006-11-19 17:25:07 | Weblog

最近急に仕事が忙しくなってしまい、前回のUPからかなり月日がたってしまいました。当然ネット対局からもリアル対局からも遠ざかっており、必然的にネタにも乏しい状況です。そんなわけで今回は少し以前のリアル対局でのネタをご紹介しようと思います。

今回はまず最初に、過去記事「やだちしると(F1-1)」に目を通して下さい。2ヶ月ほど前に、半年ぶりくらいにこのF1さんにお会いして対局する機会がありました。するとなんと前回と同じようにこの戦形となりました。F1さんは私以外でこの戦法を採用する非常にめずらしいお人なのです。F1さんは棋風でしょうか前回と全く同じ手を指してきました。

F1さん先手で初手から▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△8七歩▲2三歩△8八歩成▲同銀△3五角で第1図。

第1図から定跡では▲2八飛△5七角成です。私も先手の時はそう指しています。しかしF1さんは・・・

第1図以下、▲2五飛△5七角成▲2ニ歩成△同飛▲2三歩△8ニ飛▲5五飛△6七馬▲5三飛成で第2図。

△2ニ同飛では私は前回は△2ニ同銀でした。本来ならこの違いは大きそうですが、本局はこの後あまり影響がない展開になりました。前回同様F1さんは▲2五飛~▲5五飛でした。この▲5五飛は馬取りと飛車成を見せているので、この瞬間は先手が調子良さそうに見えますが、△6七馬と逃げる手が桂取りと2三のタレ歩を払うピッタリの手となり、▲5三飛成と飛車を成り込んでみても、前回のように△5ニ飛とぶつけられれば逃げるわけにいかず、自分だけ一方的に飛車成というわけにはいきません

第2図以下△5ニ金左▲5五竜△8九馬▲7九金△6七桂▲4八玉△7九桂成▲同銀△同馬▲5三歩△4二金で第3図。

第2図から前回のように△5ニ飛▲5四歩△8九馬の進行でも後手良しだと思いますが、本局では△5ニ金左としました。前回は私が快勝させてもらったので、本来ならばこちらは手を変えずにF1さんの改良手を見させてもらうのがスジなのでしょうが、将棋の記憶があやふやな私は自分の方から手を変えてしまいました。この△5ニ金左では、△5ニ金右とどちらがベターか相当悩みました。どちらにするかによって玉を右辺左辺どちらに囲うかが変わってきますが、ここでは両方ありそうな感じです

前回のように△5ニ飛とぶつけて飛車を捌いても後手良しだと思いますが、このように金を上がる手も駒組みを進めつつ飛車当たりの先手になるので、後手としては相当オイシイ手だと思われます

▲5五竜は逃げただけの手となってしまい、本局の敗着と言えそうな気がします。ここでは▲5八竜と馬にぶつけるしかなかったのでは?竜と馬の交換になってもまだ後手良さそうですが、何かの拍子に紛れる可能性がありそうですから。

▲7九金も完全に悪手で手順に△6七桂と打たれて、金銀取られてしまいました。

第3図以下、▲7五桂△7四銀▲3六角△6二銀▲7六歩△8八馬▲5九竜△8六飛▲6八竜△7五銀▲8八竜△同飛成で第4図。

▲7五桂は打たれた時、意味が分かりませんでした。かりに△7二銀などと桂成りを受ければ、▲8三角と強引に打ち込んで銀を取って▲5ニ銀とでもするつもりなのかなどと考えてしまい慎重に△7四銀と1枚投入して受けたのですが、後で話を聞いたら▲7五桂はただ単に▲6三桂成または不成が狙いだったようです。・・・余計な心配してしまいました

第4図となって先手は歩で合い駒できないのがツラい。この後は一方的に先手玉を追い回して無事終局となりました。

本局の序盤、F1さん流の▲2五飛~▲5五飛はやはりうまくいかないように思います。定跡通り▲2八飛と下段まで引くべきでしょう。