早突きの実戦と考察

相掛かり定跡の5手目の▲7八金を省略して先手がいきなり突っかけるとどうなるかを考察する部屋です。

疑問手△5四歩(N2-1)

2006-08-29 14:29:06 | Weblog

本日のお相手はN2さん(後手)です。最近すっかりおなじみとなりました第1図。先手の私が▲4五角と打った局面です。初手からの指し手は、これまで通り▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△8七歩▲2三歩△8八歩成▲同銀△3五角▲2八飛△5七角成▲2二歩成△同銀で▲4五角です。

この▲4五角に対しては、△6二飛や△3二金などが指されてきましたが、私が最も恐れている△2七歩▲同飛△2六歩▲同飛△3五馬の変化はまだ出現していません。

後手として何か不都合があるのでしょうか?まぁ私としてはもうしばらく▲ 4五角にこだわってみたいと考えています。第1図以下、△5四歩▲同角△5二飛▲5五歩△4七馬▲6三角成△5五飛▲5八歩△2五歩▲8一馬△7二銀▲9一馬△5六歩で第2図。

N2さんは第1図から△5四歩として角を呼び込んでから△5二飛でした。ここで私は弱気になって▲5五歩と緩やかすぎる手を指してしまったのですが、ここは強く角を4三か6三に成り込めば勝勢でした。一例として△5二飛以下、▲4三角成△6七馬▲5ニ馬△同金左▲2二飛成△8九馬▲5三歩△同金▲3一飛△4一歩▲同飛成△同玉▲4二銀△5二玉▲3三銀成△5一玉▲4二竜=参考図まで。

本譜に戻って△6七馬で△3九馬と王手飛車ならカッコ良いですが、▲5二馬△同金左▲3九金でダメ。結局この角を呼び込んでから△5二飛の構想はNGのようです。第2図以下、▲4八銀△4六馬▲4七歩△2四馬▲9ニ馬△8七歩▲同銀△8八歩▲4六香△5二金右で第3図。

先手は▲4八銀~▲4七歩と後手の馬を追い払ったのですが、▲9ニ馬が緩かったか?ここでは▲8四桂がありました。7ニの銀が逃げれば▲7三馬の王手飛車で終わっていました。▲8七同銀も悪手で▲7九銀と逃げておいて何でもなかった。第3図以下、▲6四桂△6三銀▲5二桂成△同金▲6六金△5三飛▲5六金△8九歩成▲6五馬△5四銀▲7五馬△6三飛▲7六銀△6四桂▲6五銀△5六桂▲同銀△9九とで第4図。手数が長くて恐縮です。

先手は馬を中央へ引き戻し代わって後手は飛車を自陣に戻されて、先手としては少し指し易くなったと感じました。第4図以下、▲5五桂△6一飛▲4三香成△同銀▲同桂成△同金▲3二銀△4二金▲2一銀成△7四香▲5七馬で第5図。

▲5五桂では▲6六桂だったか?後手は△6一飛と逃げてくれましたが、△5五同銀▲同銀△6七飛成もあったかも。第5図以下、△7七香成▲2四馬△6七成香▲同銀△同飛成▲6八香△7七竜▲6二角△5二玉で第6図。

第5図の局面では△2三銀か△5七同馬を予想していました。私としては角交換そのものが狙いというより2八の飛車を世に出す事を考えていたのですが、N2さんの着手は△7七香成でした。その後の後手の手順を見れば、馬取りをうっかりしていたのかは微妙なところですが、さすがに形勢は先手に大きく傾いたようです。寄せには金駒が必要と思い、第6図からは▲2ニ成銀としたのですが、▲4四角成or▲2五馬or▲2五飛だったかも・・・

この後は後手も奮闘しましたが、先手の居玉の堅陣を崩しきれず先手勝ちとなりました。

総手数が100手を超える将棋だったにもかかわらず、先手は居玉のままで飛車もほとんど動かないこの戦法ならではの不思議な一局でした。


棋力負け(T1-1)

2006-08-24 12:11:06 | Weblog

本日のお相手はT1さん(後手)です。最近すっかりおなじみとなりました第1図。先手の私が▲4五角と打った局面です。初手からの指し手は、これまで通り▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△8七歩▲2三歩△8八歩成▲同銀△3五角▲2八飛△5七角成▲2二歩成△同銀で▲4五角です。

第1図以下、△3二金▲5八金左△3五馬▲6三角成△6ニ銀で第2図。

本局は少し前にご紹介した「異例の持久戦調に(G2-1)」と似た展開となりました。T1さんも第1図から△3二金でした。私は▲5八金左△3五馬を入れてから▲6三角成ですが、T1さんは△6二銀でした。ちなみにG2さんは△5二金でした。

第2図以下、▲9六馬△6三歩▲8七馬△5二金▲4八銀△4四馬▲5七銀△7四歩▲4六銀△7三銀で第3図。

第2図から▲3六馬とぶつける手もありそうですが、先手は8八の銀が浮いているので自重して▲9六馬です。後手はどんどん自陣を整備しますが、△3二金とした以上、方針が一貫しているのは良いことだと思います。第3図以下、▲7六歩△6四銀▲7七銀△5四歩▲6六歩△5五銀▲同銀△同歩▲2四歩△4五馬で第4図。

第3図から後手は8筋方面から攻めてくるのではないかと思っていたら、銀が中央に出てきました。銀交換に応じて▲2四歩が味のいい突き出しだと思ったのですが、△4五馬が攻防にピッタリの好手でしびれました。第4図以下、▲2三銀△同銀▲同歩成△2七歩▲4八飛△2三金▲8八馬△6七銀▲同金△同馬▲5八金で第5図。

第4図で8八の桂を受けるために仮に▲8八馬なら△8七歩がきそうです。かと言ってここで受けに銀を投入するようでは、▲2四歩とした意味がなくなると考えて、▲2三銀とブチ込みました。▲6七同金は「大駒は近づけて受けよ」という手ですが、ここでは▲4六歩と突くべきでした。第5図以下、△8七歩▲6七金△8八歩成▲同銀△5六銀▲同金△同歩▲4六角△9二飛で第6図。

第5図、ここで△8七歩がきました。ここでの馬交換は私としては歓迎です。▲5六同金はいかにもお手伝いといった感じの手でツラいところですが、代わる手も浮かびませんでした。第6図の局面、先手としては6七の空間と5六のタレ歩が非常に気になります。そこで一旦▲6八銀と受けたのですが、△4五金と角をイジメにこられました。結果論ですが、第6図から▲8三銀と攻めるべきだったか?この後は玉頭のタレ歩が存分に威力を発揮して寄せられてしまいました。本局は第3図あたりまでは先手ペースだったように思います。そこからもう少しガッチリ駒組みするべきでした。T1さんのしっかり囲ってからの一気の攻めがお見事で、基本的な部分での棋力の差を感じさせられてしまいました。


八兵衛3号(I1-1)

2006-08-08 13:59:32 | Weblog

本日のお相手はI1さん(後手)です。今、先手の私が▲4五角と打った局面です。初手からの指し手はこれまで通り、▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△8七歩▲2三歩△8八歩成▲同銀△3五角▲2八飛△5七角成▲2二歩成△同銀で▲4五角です。

ここ最近採用し続けている▲4五角ですが、「八兵衛2号(S2-1)」で書きましたように第1図から、△2七歩▲同飛△2六歩▲同飛△3五馬=参考図の順が出現するまでしばらく続けてみようと思っています。

第1図以下、△6二玉▲2二飛成△5ニ金左▲2一竜△8六飛▲8七歩△8五飛で第2図。

というわけで、2二の銀を飛車成で素抜かれて、I1さんは3人目のうっかり八兵衛となってしまいました。しかしI1さんは、あきらめません。不屈のド根性で第2図まできました。前回のO3さんとの一局では、△8六飛~△5六飛と飛車を中央に展開されましたが、今回は4五に角がいるのでI1さんは△8五飛です。この角が定跡どおり3六に打ってあれば、今回も△5六飛だったと思います。

第2図以降もI1さんはがんばりましたが、形成の大差はいかんともし難く49手の短手数で終わりました。

ところで今時の若い人達は「うっかり八兵衛」って知っているのかな?


2人目の△8二飛(O3-1)

2006-08-03 12:48:13 | Weblog

暑い季節になりました。今までずっと「こたつにネコ・外は雪」のデザインでやってきたこの部屋ですが、さすがに暑苦しくなってきたのでテンプレを変えてみました。

さて本題。

必敗と思い込んでいた将棋が、じつはあとで検討してみたら相手玉に長手順の詰みがあって、みすみす勝利を逃してしまったなどという事は、プロの世界でもあることです。しかし我々ヘボアマの場合、それが短手順の簡単な詰みの局面でもよくヤッてしまうのがプロとの大きな違いです。今回ご紹介する将棋でも、私は…ヤッてしまいました

今回の相手(後手)はO3さんです。例によって初手から▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△8七歩▲2三歩△8八歩成▲同銀△3五角▲2八飛△5七角成▲2二歩成で第1図。

ここから2二のと金を△同銀(悪手)と取るか△同飛(正解手)と取るかが1つ目の大きな分かれ道となるのは、これまでご紹介してきたとおりです。しかし正解手である△同飛と指す人は意外と少なく、これまでこの戦形を20例ほどご紹介してきた中で、△同飛と指した人は4人だけでした。第1図以下、△2ニ同飛▲2三歩△8二飛▲2二角△8六飛▲8七歩△5六飛▲5八金左で第2図。

O3さんは5人目の△2二同飛(正解手)でした。そして先手の▲2三歩に対する飛車の逃げ場所ですが、これまでの4例では△5二飛が1人、△8二飛が1人、△1ニ飛が2人でした。O3さんは△8二飛でした。▲2二角も俗手の悪手ですが、これに対する後手の対応も人それぞれで面白いので、私は採用し続けている手です。

△8六飛と走られた瞬間は8八の銀は飛車でヒモ付きなので取りにはなりませんが、▲2二歩成が成立しなくなってしまうので銀を守らなくてはなりませんが、次に後手の△5六飛が見えているので、さすがに▲7八金とはできず▲8七歩です。第2図の▲5八金左はここでの最善のふんばりで、これをやらずに手抜きで▲1一角成などとすると、△3九馬▲5八飛△同飛成▲同金左△4九馬▲同玉△2八飛=参考A図と絵に描いたような王手飛車から先手陣を一気に壊滅される恐い変化があります。

第2図は非常に手の広い局面だと思います。桂取りに△6七馬or飛車の横利きを消す△2七歩or一気に清算の△5八同馬・・・色々ありそうです。第2図以下、△2二銀▲同歩成△6八角▲6九玉△5八馬▲同金△5七角成▲4八飛△2八歩▲2三角で第3図。

O3さんの選択は角を取って△6八角でしたが、ここでも△6七馬や△2七歩がありそうです。その後△5八馬と切ってこられましたが、先手としても▲同金か▲同飛か悩ましいところです。▲4八飛では▲5七同金と馬を取る手があったようです。以下、△5七同飛成=参考B図となりますが、対局中はこんな順はありえないだろうと思っていました。

玉頭に飛車を成り込まれ、金2枚持たれてこちらが金無しでは、普通は負けとしたものです。しかしここで▲2三角がありました。竜に当てたわけでもなく自分の飛車の進路も塞いでしまう一見パッとしないような手ですが、△6七竜を防ぎつつ△4一角成も見せた攻防手です。実戦ではそこまで読めず、第3図まで進行しました。第3図以下、△5八馬▲同飛△同飛成▲同玉△2九歩成▲4一角成△同玉▲3一飛△5二玉で第4図。

後手は△5八馬から清算して△2九歩成ですが、ここで3九の銀を逃げているようでは勝ちはないと判断して突撃です。私の野生のカンは正しかったようで、第4図では後手玉は9手の詰めろでした。ということはO3さんとしても自玉の11手詰めが見えず△4一同玉と指したことになりますが、同様に見えていない私にそれを言う資格なしです。ちなみに第4図から▲4二金△6二玉▲6一飛成△同玉▲5二金打△7二玉▲6一角△8二玉▲8三銀までの9手詰め。参考C図。

 「金はトドメに使え」の格言が先入観としてコビリついているヘボとしては、この9手詰めは結構難しいと思います。第4図以下、▲8三角△5一金打▲3二飛成△4二桂▲2一と△3九と▲4四桂△同歩▲4三銀△6二玉で第5図。

▲3二飛成ではここでも▲4二金からの11手詰めでした。もちろんそれも対局中は見えていません。そして第5図の局面、終局後にギャラリの1人から、ここで▲5二金と打ち込めば後手玉は即詰みだったと指摘されました。その時は頭が回らず「なるほど、そーでしたか」などと言っていたのですが、あとで検討してみたらやっぱり即詰みはなかったです。第5図からは▲4二銀成としたのですが、ここで後手玉を詰めることができないようでは勝ちはなく、逆に△3九角からきっちり即詰みに討ち取られました

本局は序盤の変化もさることながら、終盤までどちらが勝つかわからない大熱戦でした。個人的には第2図あたりの変化をもう少し研究してみたいと思いました。