早突きの実戦と考察

相掛かり定跡の5手目の▲7八金を省略して先手がいきなり突っかけるとどうなるかを考察する部屋です。

速攻もあった(J2-1-4)

2010-04-24 11:10:31 | Weblog
前回に引き続きハンゲで対戦したJ2さんとの一局を見ていきます。今回は75目、先手の私の手番からです。再掲第6図は△7五同金と後手の玉頭を清算した局面です。本局の初手からの指し手については前々々回記事「速攻もあった(J2-1-1)」からご覧下さい。

第6図以下、▲2五飛△5五香打▲4八玉△7八銀成▲7五金△同玉▲7六金△7四玉▲5二角△6三桂で第7図。
   
第6図からは▲6一竜が第一感ですが、6三の地点に補強されるのがイヤだったので▲2五飛。これは遊び駒の活用という意味もあります
対して△5五香打がまさに攻防。これは先手玉詰めろなので、▲4八玉と逃げなくてはいけません
続く△7八銀成ですが、これは金を取りつつ上部開拓しようという手ですが、△5八銀成(参考J図)と攻め込む手も有力そうで、J2さんもここは迷ったのではないかと思います
仮に△5八銀成を▲5八同金と取ると以下、△5八同香成▲3八玉△4九角▲2八玉△2七銀▲同飛△同角成▲同玉・・・とドンドン追えますが、かろうじて先手玉は一手余しています
J2さんがこの変化をすべて読みきって△7八銀成を選択したのならすごいヨミの力だと思いますし、読みきれなかったとしてもそれはそれで素晴らしい勝負の嗅覚です

▲5二角では先に▲8六桂(参考K図)としても即詰みでした。

参考K図以下、△6三玉▲6一竜△6二桂▲5二角△6四玉▲6二竜~。実戦は即詰みが見えていませんでした

第7図以下、▲6一竜△6四金▲8六桂(投了図)まで先手の勝ち。

▲6一竜では▲8六桂で即詰みでしたが、幸い△6四金が受けになっていなかったので、勝つことができました

調子に乗って最終手まで書いてしまいましたが、本局のハイライトはやはり第2図から第3図までの間の参考B図も含めた変化です。20手目△6二飛自体がそんなに頻繁に出る手ではないので、今後の方針は未定ですが、気になるところではあります

速攻もあった(J2-1-3)

2010-04-21 11:18:01 | Weblog
前回に引き続きハンゲで対戦したJ2さんとの一局を見ていきます。今回は49目、先手の私の手番からです。再掲第4図は▲5二銀の王手に△7一玉と逃げた局面です。本局の初手からの指し手については前々回記事「速攻もあった(J2-1-1)」からご覧下さい。

第4図以下、▲1一竜△8二玉▲6三桂成△同金▲7五桂△6四金▲8五香△8三歩▲同香成△同馬▲同桂成△同玉▲8一竜△8二歩で第5図。
   
私の攻めは続きます。△6四金では△7四銀(参考H図)と1枚入れたい気もしますが、それでも▲8四香△8三歩▲同香成△同銀▲2二竜△7二香▲6三桂成で手は続きます
本譜は8筋で大清算となって第5図まで進みました。

第5図以下、▲8五歩△7四玉▲8二竜△5四香▲5八歩△8三歩▲9一竜△6七銀▲7六香△7五桂▲同香△同金で第6図。
   
▲8五歩では▲8五金と上を押さえておきたいところですが、なけなしの金なのでここで使ってしまうのは躊躇しました
で、節約して▲8五歩ですが、当然というか△7四玉と上がられて寄せが難しくなってきました
▲9一竜では▲4一角(参考I図)と打って合い駒を強要して後手玉をせまくさせるのも有力ですが、合い駒によって玉を補強されるかもしれないので微妙です

▲9一竜で一息ついたので、△6七銀とJ2さんにも攻めの手が回ってきました
以下、7筋で香桂交換して第6図。ここも悩ましいところでした。さて、私の手は・・・

続きは次回です。

速攻もあった(J2-1-2)

2010-04-17 10:54:46 | Weblog
前回に引き続きハンゲで対戦したJ2さんとの一局を見ていきます。今回は37目、先手の私の手番からです。再掲第3図は△5二同金と清算した局面です。本局の初手からの指し手については前回記事「速攻もあった(J2-1-1)」からご覧下さい。

第3図以下、▲4一飛△5一桂▲2一飛成△8一金▲2二竜△6六歩▲6四桂△6二金▲6三歩△同桂▲5二銀△7一玉で第4図。

第3図は馬を逃げておいても十分ですが、飛車を打ち込んでみたい気もします
△5一桂の合いに私はすぐ▲2一飛成と飛車を成りました。そのため△8一金と馬を取られてしまいましたが、ここは難しいところでした。▲2一飛成で▲9一馬(参考E図)と馬を逃げるのは、△3二銀で飛車を殺されます
   
あるいは▲2一飛成で▲7一馬△同玉(参考F図)と王手で金と刺し違えてから▲2一飛成とするのも△3一銀と竜を閉じ込められて、次に△1二角などを狙われます。
本譜も馬をタダ取られなので、どちらも褒められたものではなかったようです
となると第3図から▲4一飛の打ち込みはまだ少し早かったということでしょうか・・・
本譜は角1枚犠牲にしても飛車の働きを最優先させた恰好です。それで▲2二竜まで進んでここで後手の指し手が難しいと思っていたのですが、J2さんの指し手はなんと△6六歩
これはかなり大胆というか開き直ったかのような手です。確かに次の△6七歩成が意外と受けづらいのも事実。しかし幸いなことに△6七歩成はまだ詰めろではないので、ここは攻め合いに行ってみたい。せっかく馬を見捨てて竜を最大限に働かせたのですからその意味でも行きたい感じがします

▲6四桂に△6二金が何とも強気
普通ここは△6三銀(参考G図)と1枚入れたくなるところですが、それでも以下、▲5二桂成△同銀▲4一銀△7四馬▲6四金と先手の攻めは切れません。J2さんもそう感じて銀を攻め駒に温存したのかもしれません

第4図以下、私の攻めはまだ続きます。

速攻もあった(J2-1-1)

2010-04-12 22:53:35 | Weblog
今回のお相手はハンゲで対戦したJ2さん(後手)です。今回も例によって第1図は、先手の私が▲4五角と打った局面です。初手からの指し手は、これまで通り▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△8七歩▲2三歩△8八歩成▲同銀△3五角▲2八飛△5七角成▲2二歩成△同銀で▲4五角です。

第1図以下、△6二飛▲5二歩△同飛▲6三角成△2三歩▲8一馬で第2図。

最近出なかった△6二飛が久しぶりに出ました
過去に何度も書きましたようにこの△6二飛はこの戦形でやってはいけない手の典型で、本譜のように進めて完全に後手が不利になります
△2三歩が証文の出し遅れで、△6二飛のところでこの△2三歩なら一局の将棋です
第2図となって後手は指し手に悩みます。形よく△7二銀と上がるのは、手順に▲9一馬と香車を取られ、▲6四桂が残ってダメ
さてJ2さんはどうするでしょうか?

第2図以下、△6七馬▲7八金△5六馬▲6三桂△6二玉▲7一桂成△同金▲6三銀△6一玉▲5二銀成△同金で第3図。
   
△6七馬は当然の反発。私は▲7八金と受けました。本局は後手の陣形が2三歩型なので、この▲7八金を気軽に指せる意味があります。後手に△2三歩が打ってない形(例△3二金型)だと▲7八金とあがった瞬間に△2七歩(参考A図)と叩かれ、飛車を横に逃げなくてはなりません
それですぐに悪くなるわけではありませんが、先手の玉形の選択肢が大幅にせまくなることは避けられません。ということで△2三歩が打ってあると先手としては今後の方針の事を深く考えずに▲7八金を打てるというわけです。

本譜△5六馬と引かせてから待望の▲6三桂ですが、▲7八金と受けずにいきなり△6三桂(参考B図)もあったかも・・・

▲7八金△5六馬の交換を入れずに▲6三桂以下、本譜の順で△5二同金まで進んだとすると、第3図が参考C図となります。これだと一目▲6四飛の王手馬取りが非常においしそうに見えますが、▲6四飛以下、△6三歩▲7一馬△同玉▲6七飛(参考D図)までは一直線。
   
これも先手飛車金得で大優勢ですが、ここで手番を渡すので△5五桂や△5六角などが見えて少しイヤと思うのは贅沢しぎるでしょうか

本譜も飛車得ですが、J2さんは玉を逃げずに目一杯がんばっています。当面の玉の安全よりも、局面を収めてしまおうという指し方です。私としてもここは優勢だからといって落ち着けてしまわずに、一気に行きたい感じがします。

続きは次回です。

位取り(T8-1-3)

2010-04-08 20:49:08 | Weblog
前回に引き続きハンゲで対戦したT8さんとの一局を見ていきます。今回は58目、後手のT8さんの手番からです。再掲第5図は▲7五歩と歩を突いた局面です。本局の初手からの指し手については前々回記事「位取り(T8-1-1)」からご覧下さい。

第5図以下、△8ニ馬▲5六馬△7三銀▲7四歩△6四銀▲同金△同飛▲7五銀△6一飛▲8四銀△9二馬で第6図。

T8さんは△8二馬~△7三銀と全軍後退の構えです。それで私は金をサバいて▲7五銀と飛車を抑えてから▲8四銀と出て行ったのですが、△9二馬(第6図)と寄られて手が止まってしまいました
ここまで快調に位を取って後手の攻め駒を押さえ込んだつもりになっていましたが、ここにきて意外と手がなく困ってしまいました
狙いの▲7三歩成は馬をス抜かれてダメ。かといって▲6五歩と止めてしまうと△7四馬と出られてしまい、銀取りを受ければ△6五馬と角交換を迫られこれもダメ

しかしあらためて第6図の局面を見直してみると後手からも手が難しい。例えばここで△8三歩などとすると、今度は銀取りを無視して▲7三歩成が成立しそう
こういうところで大局観を持ち合わせているか否かが個人の棋力の差というものでしょう

第6図以下、▲4五馬△7四馬▲7二馬△6四飛▲8二馬△4四飛▲4八飛△8四馬▲9一馬△7六歩で第7図。

▲4五馬が致命的な大悪手でした
△7四馬と出られて銀取りと△4七馬が受かりません
仕方ない▲7二馬にもヒョイと△6四飛とカワされて空振り。▲9一馬も悪手で第7図の△7六歩がイタすぎます。▲7六同歩と取ればもちろん△6六馬の王手飛車。こうなってみると4七の地点を受けた▲4八飛もお手伝いになってしまっています
かといって▲9一馬で7六の地点を受けてみてもジリ貧は明らか。第7図以下は一方的に寄せられてしまいました。

本局は位を張ったまでは良かったのですが、そういう時の指し方が身についていない事を実感させられた一局でした。慣れないことはやるもんじゃないと思いました

位取り(T8-1-2)

2010-04-04 19:38:32 | Weblog
前回に引き続きハンゲで対戦したT8さんとの一局を見ていきます。今回は39目、先手の私の手番からです。再掲第3図は△4二金直と金を上がった局面です。本局の初手からの指し手については前々回記事「位取り(T8-1-1)」からご覧下さい。

第3図以下、▲6八玉△7二銀▲4六銀△5四馬▲7七銀△7四歩▲7九玉△9四歩▲5五歩で第4図。
   
第3図ですぐ▲4六銀と攻めるのは、以下、△3四馬▲3六歩の時、△6五歩(参考A図)とされる筋が気になり見送りました
しかしこの変化もここで手順に▲7七銀と上がれば、大丈夫そう。ま、しかし玉形もかなり差があるので、やはり本譜の方が無難

△5四馬は意外な感じがしました。馬を引くなら△3四馬が第一感、△4四馬が第二感という感じなのですが・・・
私の玉頭も手厚いのですが、T8さんとしては自陣の固さを活かして玉頭戦に持ち込みたいということなのでしょうか。
第4図、私は▲5五歩と催促します。T8さんはどうするのでしょうか?

第5図以下、△6四馬▲9六歩△7三銀▲8八玉△8四銀▲5六金△7五歩▲7五金△7三馬▲7五歩で第5図。
   
△6四馬は第一感。ここ△4四馬とこちらへ引くようなら、▲5六金と出て△3四歩と逃げ場を作っても▲4五金とどんどん出て行けます
T8さんは△7三銀~△8四銀と棒銀に銀を出してきました
▲5六金が頑張った受けで、ここで後手が棒銀の顔を立てて△8五歩(参考B図)とくるようなら以下、▲8五同歩△同銀に▲6五歩と突いて、馬が逃げれば▲8六歩で銀を殺せます

本譜は私の金の進出でT8さんの馬を追い返し第5図まで進んで、一段落というところでしょうか。戦いは完全に先手の位取りvs後手の固さという格好となりましたが、私の感覚ではやや先手持ちといったところでしょうか。ここからT8さんはどうやって攻めを組み立てるのでしょうか?

続きは次回です。

位取り(T8-1-1)

2010-04-01 00:09:49 | Weblog
今回のお相手はハンゲで対戦したT8さん(後手)です。今回も例によって第1図は、先手の私が▲4五角と打った局面です。初手からの指し手は、これまで通り▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△8七歩▲2三歩△8八歩成▲同銀△3五角▲2八飛△5七角成▲2二歩成△同銀で▲4五角です。

第1図以下、△2三歩▲4八銀△3五馬▲6三角成△5二金右▲9六馬△4二玉▲5八金右で第2図。

T8さんは△2三歩でした。この手もこれまでにさんざん出てきた手で、第1図の局面から約15%の人がこの手を採用しています。対して先手の私が▲4八銀から後手の馬を追い払ってから▲6三角成と角を成って、▲9六馬と引くのも私のここ最近のいつもの手。
以下進んで第2図の私の▲5八金右は、次に▲5七銀と上がりたいという事です。いつまでも後手の馬に先手陣が直通されていたのでは玉を囲うことができないので、▲5七銀で馬利きを遮断しつつ次に▲4六銀と出て行こうという狙いです
しかしここからT8さんにあまり見ない手を指されました

第2図以下、△4五馬▲7六歩△6六歩▲7八馬△6七歩成▲同金△6二飛▲6六歩△3二玉▲5七銀△4二金直で第3図。

第2図から馬を移動するなら△3四馬がこれまでに多かったパターン。あるいは△3四歩と突いて△4四馬とか△2三歩を突いて△2三馬とか、後手としては2二の銀の壁形を解消する形を目指したいところ
本譜△4五馬は指された瞬間は今ひとつ意味がよく分かりませんでした
後手陣の壁形がすぐ解消されるわけではないので、こちらも陣形整備と▲7六歩としたのですが、ここで意表を突いて△6六歩
私の▲7八馬の受けにT8さんは△6二飛と飛車も6筋に動員してきました。私もここはがっちりと▲6六歩と受けて一段落

第3図までとなって後手は攻めは右四間、陣形は左金無双(そんな呼び名があるのか不明ですが)というあまり見た事ない形となりました。

ここで先手は攻めるか玉を囲うか・・・続きは次回です。