早突きの実戦と考察

相掛かり定跡の5手目の▲7八金を省略して先手がいきなり突っかけるとどうなるかを考察する部屋です。

不可解な6筋交換(S5-1-2)

2009-03-22 17:19:56 | Weblog
前回に引き続きハンゲで対戦したS5さんとの一局を見ていきます。今回は30手目、後手のS5さんの手番からです。
再掲第3図は先手の私が5四馬と馬を逃げた局面です。本局の初手からの指し手については前回記事「不可解な6筋交換(S5-1-1)」からご覧下さい。

第3図以下、△8六飛▲8七歩△8四飛▲4五馬△2三歩▲5八金右△1四歩▲7八馬△9四歩▲9六歩△5二金▲5七銀△6五馬▲6八玉で第4図。

S5さんはここで△8六飛と走ってきました
このように8筋で飛車が走ってきた時に本譜のように▲8七歩と受けるか▲7八金かいつも迷うのですが、今回はお互いの馬の位置がビミョーなので先手を取って▲8七歩を選択しました。
▲4五馬は先手にとってまずまずの好位置だと思います。S5さんもここは危険と見て手堅く△2三歩と受けに回ったので、前譜までの急戦調の流れから一転して第4図まで駒組み合戦となりました
迎えた第4図、S5さんも玉を囲うくらいだろうと思っていたのですが、ここで意表を突いて機敏な攻めが飛んできました

第4図以下、△9五歩▲同歩△9八歩▲同香△8六歩で第5図。

馬の位置をうまく活用した端攻めで、これにはシビレました
第5図までとなって私は苦しい長考を余儀なくされました。そして私の出した結論は・・・

第5図以下、▲8六同歩△9八馬▲8七銀△9九馬▲8五歩△6四飛▲6六歩△9五香▲9六歩△8八歩で第6図。
   
私は▲8六同歩△9八馬と香損に甘んじる順を選択しました
例えば第5図から▲6六歩△5四馬▲5五歩と攻め合っても、△8七歩成▲5四歩△8八と▲9六馬△9八と(参考D図)と2枚換えされたうえに8筋を突破されて悪いと思いました
しかしあらためて検討してみると、これは私の形勢判断ミスでした

参考D図からは▲5ニ馬がありそうです。
以下、△5ニ同玉▲5三金△5一玉▲6二金△同玉▲5三歩成△同玉▲7五角(参考E図)の王手飛車があり、これは玉を裸で引っ張り出された後手が悪そうです。
   
中段玉寄せにくしなどと言いますが、それはあくまで守備駒に守られた玉のことであって裸の王様ではさすがに苦しいとしたものです。
なお△8八とで△7八と▲同金(参考F図)と馬を取り合うのなら形勢は互角で、本譜の順よりもこちらに期待するべきでした
本譜に戻って、私が香損に甘んじる順を選択したのは▲8七銀△9九馬となれば後手の馬はそんなに働かないだろうと考えたからです

さてここで先手はどう対処するべきでしょうか?続きは次回です。

不可解な6筋交換(S5-1-1)

2009-03-10 19:52:58 | Weblog
今回のお相手はハンゲで対戦したS5さん(後手)です。今回も例によって第1図は、先手の私が▲4五角と打った局面です。
初手からの指し手は、これまで通り▲2六歩△8四歩▲2五歩△8五歩▲2四歩△同歩▲同飛△8六歩▲同歩△8七歩▲2三歩△8八歩成▲同銀△3五角▲2八飛△5七角成▲2二歩成△同銀で▲4五角です。

第1図以下、△3二金▲4八銀△7五馬▲6三角成で第2図。

S5さんは△3二金でした。これは第1図の局面では最も人気の高い手でこれまでイヤというほど出てきた手なので今さら解説の必要はないでしょう。
この手に対しては一旦▲4八銀と後手の馬を追い払ってから角を成るのもここ最近の私の常套手段。

そして迎えた第2図、ここでは△6二銀とか△5二金右で先手の馬を追い払うか△8六飛と走るのがよくあるパターンだったのですが、ここで新手順が出現しました。

第2図以下、△6六歩▲同歩△同馬▲5三馬△6二銀▲5四馬で第3図。

S5さんはここで△6六歩▲同歩△同馬と6筋の歩を交換してきました。対局時は「何だ、それ?」と思ったのですが、今、見直してみてもやっぱり意味がよく分かりません。
飛車を6筋に持ってきて右四間にするつもりなのか?とも思ったのですが、それでも1歩取るのも大きいので▲5三馬と指しました。するとここでS5さんは△6ニ銀と先手の馬を追い払いにきました。6筋の歩を交換せずにすぐに△6二銀とするのでは何か不満があったのでしょうか?

仮に馬を追い払ってから6筋の歩を交換しようとすると一例として、第2図から△6二銀▲9六馬△6六歩▲同歩△同馬(参考A図)といった順が考えられますが、これだと▲6三歩△6一銀と銀を引っ込まされる手が考えられます。これを嫌って先に6筋の歩を交換したのでしょうか?
たしかに参考A図の展開なら先手の方が得をしたように見えますが、しかしかといって本譜の順も私には納得いきません。そうまでして6筋の歩を交換する価値があるのでしょうか?

第3図は▲5四馬と馬を逃げた局面ですが、ここは逃げ場所も色々あったので迷いました。しかし馬を逃げない手もあったかもしれません。
▲5四馬で▲2ニ飛成と飛車を切る手はどうでしょうか?▲2二飛成に△同金は▲4二銀(参考B図)で後手玉が詰んでしまうので、後手は飛車を取れません。せいぜい△5三銀と馬を取るくらいですが、それでも先手は▲2一竜と王手で2枚替えできて大成功です。
   
また▲5四馬では▲4三馬という図々しい手もあったかもしれません。これも△同金なら▲2ニ飛成(参考C図)があるので後手は馬を取れないと思います
対局中は馬の逃げ場所ばかり考えていてこのような変化が浮かびませんでした。これはあきらかな逸機で反省しなければなりません

さて、本譜に戻って、後手は6筋の歩を交換してどうするつもりなのでしょうか?続きは次回です。