[写真] 緩急自在、創価のサブマリン天野投手
2009年06月13日(土) 13:51‐14:50 曇り 明治神宮球場
1 2 3 4 5 6 7 8 9 計
創価大 0 0 0 0 0 0 0 0 0 = 0
富士大 0 0 1 0 0 1 0 0 X = 2
[ 投 手 ] 天野(4)-大塚(5)
[ 本塁打 ]
[ 三塁打 ]
[ 二塁打 ] 清野(7回)
1番(遊)田上④(創価/西東京)
2番(二)坂野④(関西創価/大阪)
3番(中)花山④(愛工大名電/愛知)
4番(DH)清野④(習志野/千葉)
5番(一)高橋④(花咲徳栄/埼玉)
6番(遊)脇山②(愛工大名電/愛知)
7番(遊)住川④(履正社/大阪)
8番(左)脇田④(関西創価/大阪)
9番(捕)狭間③(智弁学園/奈良)
(投)天野④(創価/西東京) → 5裏/大塚④(創価/西東京)
梅雨の晴れ間、いや正確には晴れてはないのだが
薄雲越しに照りつける陽射しが暑い。
14時50分過ぎ、新しい歴史を作る挑戦が始まった。
第58回全日本大学野球選手権の準決勝
対戦相手は、北東北大学野球連盟の代表「富士大学」
先発投手は天野、創価高校時代は大塚とエースナンバーを争った右腕
当時はスリークォーターから、切れの良い高速スライダーで
バッタバッタと三振を取る剛腕投手だったが
大学に入ってからアンダースローの技巧派に変身している。
先行の創価はあっさりと三者凡退するが、なんかおかしい・・・ ?
気持ちよくバットを振り切ってた1番田上と2番坂野のバットスイングが鈍い。
振ってるんじゃなくて、当てにいっている。
そして、3番花山が真ん中気味のボールにあえなく空振りの三振
あんなに体制を崩されて大きな空振りをする選手じゃないのに・・・
スタンドから見てて、ふと思ったのだが
相手投手がチェンジアップ気味のボールを投げてるのは何となく分かる。
同じフォームから腕をしっかり振られて、緩急の付いたボールは打ち辛い。
さらに・・・ ひょっとしてフォークボールを投げているのかも?
もしそうなら、創価打線が味方の大塚投手と対戦しているようなもの
うぅ・・・ ん、この投手ちょっと苦戦するかもしれない。
そんな1回表の攻撃だった。
そして1回裏、創価のマウンドには天野
ゆっくりと落ち着いてウォーミングアップするものの
先頭打者をフルカウントから歩かすと、いきなりのエンドラン
大根切りされた高めのボールはレフトの前にポトリと落ちるヒット
3番打者は、きっちり犠打
勢いよく天野はマウンドを駆け下り、2塁は微妙なタイミングだったが
ここは堅実にアウトを一つ取って一死23塁で4番打者を迎える。
いきなりの大ピンチだったものの、緩急をつけライト田上への浅いフライ
二死だと思った瞬間、3塁走者がスタートを切った。
悪いが、そりゃぁない。
申し訳ないが、そりゃぁ無理というものだ。
ライト田上からキャッチャー狭間への返球はストライク
3塁走者がベースの手前4~5Mの位置で、狭間はボールを持って身構えていた。
一瞬にしてピンチを凌いだが
2回表、4番清野も大きな空振りの三振
たいして速いボールではない、やっぱり何かおかしい。
[写真] 日本一の応援団、長谷部団長の声が水無月の空に轟く。
そしてゲームが動いたのが3回裏の富士大の攻撃
8番打者にぶつけてしまった。
避けられそうなボールだったんで、避けてほしかったのだが・・・
9番は手堅く送りに来たのだが、狭間へのキャッチャーフライ
私は、ここに一つの選択があったと思う。
ホームベースから2~3Mピッチャー寄りのフェアゾーンへ
ポンと上がったボールを狭間が取ってしまった。
ここで取らずにワンバウンドで捕球してたら・・・
1塁走者はベースに着いたまま、打者はバッターボックスの中
主審のインフィールドフライのコールもなく、完全にキャッチャーゴロ
もし、そうなっていたら・・・ 楽々にダブルプレーが取れていただろう。
結果は、ここで残った走者が続く1番打者のライトオーバー3塁打で戻るのだ。
今大会を通して、相手に始めてリードを許したのがこの1点
この1点が、結果的にはとてもとても重たい1点だった。
さらに不運もあった。
ライトオーバーの3塁打は、田上のグラブの先をかすめてポトリと落ちた。
もしかすめてなければ、おそらくワンバウンドぐらいでフェンスに当たり
クッションさえ上手く捌けば2塁打で、一死23塁から再開だったかもしれない。
また、それでも一度は走者を3塁へ止めかけた3塁コーチは
ボールを拾った花山が、ちょっとお手玉したのを見逃さずホームへ手を回した。
ホンの一瞬の出来事だった。
狭間も田上も花山も責められない。
目の前のプレーに最善を尽くした結果で偶然の積み重ねだ。
1失点はしたものの、直後の打者のスクイズを見破り
高めのストレートで空振りを取り、3回裏は最少失点で切り抜け
4回裏の二死満塁も凌いだのだから
先発の天野は、しっかりと持ち味を出していた。
[写真] 応援に駆け付けたくださった北桜関、学生歌に手拍子をいただいた。
5回裏からは流れを変えるため、4連投となる大塚を投入し
チームを鼓舞するものの、打線は最後まで眠ったまま
そんな大塚も6回、二死から内野安打→盗塁→ポテンヒットで1失点
この盗塁もタイミングはアウトに見えたが、
送球がやや低く、ベースカバーに入った脇山が落球
直後にセカンド/ライト/センターのちょうど中間にポトリと落ちるポテンヒット
一方の創価は7回表、先頭の花山の打球はレフト頭上を襲うが
背走してジャンプしてフェンスにぶつかるも捕球されるビッグプレー
挙句の果てには9回表、体がピクッと反応しただけでスイングを取られた高橋
最後の打者となってしまったが、とっても悔しい判定だった。
そして中盤以降、攻撃陣はファーストストライクを積極的に打ちに行くが
フライアウトが13、これじゃ得意の足が生かせない。
そして結果は散発3安打、その他は失策1と四球1で3塁ベースが遠かった。
けっして油断があったわけではないと思う。
勝負事には運というか、ツキというものがあるという。
昨日の準々決勝を振り返れば
片や強豪の近畿大学と戦い、相手のミスに乗じて勝ちを拾い。
片や優勝候補の東洋大学とガチンコで戦い、力勝負で接戦を制した。
昨日のツキを、そのまま今日に持ち込んだチームと
昨日からの疲労を、己の体に自問自答しながら今日を迎えたチーム
良く聞く言葉に「肩の力を抜け!」という言葉がある。
どちらのチームの肩の力が抜けていたか・・・
そんなことぐらいしか、両チームの差は思い浮かばない。
そうそう、ベンチすぐ後ろでお相撲さんがたくさん応援してくれていた。
そのリーダー格は、夏場所37歳5か月で十両に復帰した北桜関だ。
嬉しいね。
暑い中、大きな体を小さなシートに沈め学生歌に手拍子を送っていただいた。
試合後は周りの皆さんの要望に応え、写真に納まったりサインに応じたり
応援団にエールを送ってくださったり、本当に本当に嬉しい。
最後になるが、強気にストライク先行で創価打線を完封した富士大の守安投手
「あっぱれだ!ナイスピッチングだった。」と拍手を送りたい。
そして、ブラスバンドもチアなくアカペラで創価の大応援団に対した
富士大の応援団に「明日も頑張れ!もう一つ頑張れ!」と拍手を送ろう。
さぁ、もう切り替えよう。
秋に向けての再スタートだ。
4年生のラストシーズンでリベンジしよう。
1 表/創価 左飛、左邪飛、三振
裏/富士 四球、左安、犠打、右飛併殺(タッチアップ本塁アウト)
2 表/創価 三振、中安、遊飛、二飛
裏/富士 一邪飛、投飛、遊ゴ
3 表/創価 三振、二ゴ、三ゴ
裏/富士 死球、二飛、右三で1点、スクイズを外して挟殺、中直
4 表/創価 投ゴ、二ゴ、左直
裏/富士 左飛、三振、中安、一安、一ゴ失(ベースカバー落球)、中飛
5 表/創価 中飛、二ゴ、遊ゴ
裏/富士 (天野→大塚)、死球、犠打、一邪飛、三振
6 表/創価 左直、二飛、二ゴ失、遊ゴ
裏/富士 右飛、遊ゴ、二安、盗塁、中安で1点、左安、右飛
7 表/創価 左直、右二、三振、四球、一飛
裏/富士 三振、三ゴ、三振
8 表/創価 中飛、右安、遊ゴ、右飛
裏/富士 二ゴ、三振、一安、投ゴ
9 表/創価 中飛、三振、三振、試合終了