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吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

旅の醍醐味

2011年11月21日 | 思うこと

北九州最後の夜のこと。

作業終了後、今回の作戦の隊長H氏と節約モードで飲んで、丸和前ラーメンで〆て、まだ
ちょっと足りなかったので立ち飲みへ行ってから解散となりました。
そこから僕のホテルへの道の途中にはキャバクラ街があるのでした。
石鹸の国の門番とは打って変わって、オシャレな男女のお誘いが道にあふれていたのでし
た。
キャバクラって行ったことないのだけど、女の子とお話しするだけなんでしょ?
いかに酒が入っているとはいえ、初対面の若い女の子と話が合うとも思えないしなあ。
胸の奥には依然、寂しさや悲しい気持ちが詰まっていて、誰かにゆっくり話を聞いてもらいた
い気持ちはあるのだけど、若い子じゃ無理だろうなあ。

異国の地に居た時のような気持ちかもしれない。
ユトレヒトの、アムステルダムの運河沿いの道を夜、雑踏を感じながらひとり歩いていた時の
気持ちに良く似ているかも。
あの時に感じていた心の空虚さが実はとても大事なものだったと気づいたのはだいぶ経って
からだったっけ。
大きなものを受け入れるのには、空の倉庫が必要なように、負圧が強い掃除機の吸引力が
大きいように、空虚感を満たそうとするようにいろいろ吸収していたのだね。

それもまた旅、ひとり旅の醍醐味ってやつですか。
醍醐というのは仏教(大涅槃経)での最上の味とされるもので、牛乳を煮詰めたものを熟成さ
せたチーズ様のものらしい。
チーズの名品といえば、足臭かったりアソコ臭かったりと悪臭を放つものも多いものです。
そう、最上の美味には人の感覚に抗うような要素が必要なのですね。甘いとかうまいだけじゃ
ないのよ、大人の味はね。

きらびやかな街の夜の住人達も常連達もきっといろいろな思いを抱えているのだろうな、笑顔
の影で。
そう思うとまたも酔っ払いやお誘いの人達もいとおしく感じてしまって、
「お疲れさまです」
と言うと、妙に丁寧にお辞儀を返されました。あれ、もしかしてそのスジの人かと思われた?

翌日、帰りは鉄道のダイヤの関係で多少早く出ても、午後に出ても家に着く時間に大差がな
いということだったので、駅のコインロッカーに荷物を預けて昼間の小倉の街を散策することに
しました。
昨晩のキャバクラ街にはひと気が無く、夜のにぎわいがうそのようでした。
夢のあとのようです。
こんなものを見つけました。

誰が作ったのだろう? いつもあるものなのだろうか?
言葉と花の温度差が見事です。

どうも街にいるといろいろ考えちまっていけない。
やっぱり山が良いのかな。


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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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オランダ (中年A)
2011-11-23 19:39:09
オルガンの修業で行かれたんですか?
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初めての時 (ひろにゃんof風琴屋)
2011-11-25 17:59:44
中年Aさん、ようこそ!

オランダは修行以前に初めて行った時の印象が深いです。
目的も無く知る人も居なかった時。

旅の話も書こうと思っているのだけど、なかなか出来ない
でいますね。
今手一杯なので振り返るゆとりがないのです。
でも時には振り返った方が良いのかな。
返信する

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