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吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

今度は!

2010年02月28日 | オルガン
仕上げたハーモニウムの風箱(かざばこ:オルガンの中枢部)を持って行きました。

北駅の別れ

北へ走る!

この続編です。
19世紀末から20世紀初頭のフランス製ハーモニウムによく見られる木材の悪さか
ら送風系をほとんど新作したのですが、風箱については補修でなんとか済ませた
のでした。
風箱の表面は非常に大事な部分なのですが、その部分の木材もアテ(木目の強い
クセ)が入ったものでした。
この部分だけは最良の木を使って欲しかったんですけどねえ。
かなり念入りに補修したのですが、乾燥で暴れてしまいました。
弁の当たり面が割れて反り上がって低音側の複数の弁が閉鎖不良を起こしてし
まったのです。
閉鎖不良を起こすと音が鳴りっぱなしになってしまうのです。
オルガンのケースもかなり縮んでいました(涙目)。

楽器全体を持ち帰りたいところでしたが、湿度の変化を避けたかったので、風箱
だけを持って帰ったのです。
これが前回までのお話。

自宅に持って帰ってきたところ、割れて反り上がった部分は元通りでどこが割れ
たのかちょっとわからないくらいに元に戻っていました。
まったく木ってヤツは付き合いが難しいゼ。木まぐれっていうのかな。はぁ…。

どうやって修復するか悩んでいたところ、所有者の方から追加費用が掛っても良
いからしっかりと直して欲しいとのリクエストを受けました。
うん、そうですね。やりましょうか!
というわけで、風箱の表面を張り替えることにしました。
実はこの作業は新規に造るのと大差ない手間がかかるのです。
でもそれがベストの選択であることは間違いありません。

張り替えた上でニスを厚塗りし、薪ストーブの脇に置いて過酷な乾燥テストです。
鬼です。鬼コーチです(いや、違うと思うぞ)。

そして昨日、ふたたび組み込んだのです。
午前1時半に家を出て、北へ。現地で2時間ほどで組み上げて、ちょっと休憩させ
てもらって午後10時半頃家に到着。
900キロちょっとの走行でした。
あ~、疲れた。

さあて今度こそは大丈夫だと思うのですが…。もしダメなら風箱の完全新作で
しょう。
もしその時が来てしまったら…。

やります! Yes, I canってね。

ワタシは、そりゃあなかなか機会には恵まれませんけど(涙)製作家というアイ
デンティティを持ち常に研鑽を積んでいるわけですから。
まあ、そこまでハラをくくれば最早怖いことなぞありません。
でも、もう何もないと良いんですけど。

ハーモニウムとは何か、リードオルガンとは何か。今までも少しずつは触れてい
ますが、近々、今回の修復の様子の写真も入れてもっと具体的に突っ込んでみま
しょう。

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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さすがの出来栄えに感謝です (北の駅長)
2010-03-01 22:37:59
先日はお疲れ様でした。リードボックスをはじめすっかり作りかえられていました。工程の写真をみて本当に手の込んだ作業だったことが見て取れました。。リードの両脇のねじのことだけでも、リードオルガンよりもメンテナンスに手間がかかることが分かりました。これがハルモニゥムがリードオルガンに移行していった要因の一つだったのですね。
 一時間弱の仮眠だけで、ご帰宅の強行軍。
お疲れさまでした。過乾燥に注意して何事も起きないように管理してまいりたいと思います。
岩出山のかりんとう好評とのことでしたので、また来られるときにはお土産に用意しておきましょう。本当にありがとうございました。
返信する
それからが本番! (ひろにゃんof風琴屋)
2010-03-03 19:31:25
北の駅長さん、ようこそ!

その節はお世話になりました!
機能を回復して故障しなくなって安定したら、それからが本番です。
楽器として熟成させていくのです。

このオルガンは上級機種のようには送風量を調整しにくいですが、手を掛けてやれば同様の結果が出せます。

人前で歌うように造られた楽器ですので、その機会が持てると良いですね。
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