吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

結構特別なものかもしれない

2015年06月26日 | オルガン

自分所有のベビーオルガンを解体しました。

僕はベビーオルガンがとても好きです。
日本では俗に「金魚型」と呼ばれます。この前「木馬型」という呼び方を初めて聞きました。

日本の足踏みオルガンの原点で、最も単純軽量、それでいながら屋根型の天板という神聖なものが備える特徴を持つと言う、もっとも安価でありながら、高らかに自らを主張する姿がとても好きなのです。

前にも書いたのですが、世界的に上部が屋根型の箱というのは、特別なのです。
それは神聖なものや特別に大切なものを仕舞う箱のデザインによく使われるのです。
上に物が載せられることを拒否するメッセージなのです。
ゲームや海賊の話なんかでよくある宝箱もそうで、蓋がカマボコ型にラウンドしたでデザインです。これも屋根型の箱の一種です。  

僕のベビーは脚が折りたたみになっています。ずっと前から欲しいと思っていたのですが出張先の骨董屋で遂に巡りあったのです。

こんなのです
 

肝心の脚を折りたたんだところの写真が無い!
今、別のベビーを修復中なのですが、ついでに自分のも解体してみました。

驚いた!

鍵盤を押し下げた力を弁に伝える短い棒、リードオルガンではピットマン(連接竿)と言われる部品がやけに高価!

この部品ね
 

普通はただの木の丸棒なのです。
埃だらけで汚いけれどこんなの

真ん中あたりで一本抜いてあるけど、こんな風に簡単に抜けます。

引っ張ってみても抜けなかったので中から見てみました。
 

うわあ。やっぱり。
釘の頭のように平らになっているのは技術的には正しいのだけれど。

ただの丸棒に比べて、部品点数も増えるし組み立て時間も10倍じゃ効かないくらい増える。
しかも機能的には大した意味は無い!
強いて意味を考えるなら、技術力を誇示することか?

保証書は失われているけれど、風箱にスタンプがありました。
 

日本楽器製造株式会社
その下の漢数字は特許番号か?
山葉式◯子  ◯子はこのピットマンの事?
明治四十年九月 これは特許の取得年月?
大日本静岡県浜松

このスタンプも見たことがないなあ。
脚のロック機構を兼ねた送風ペダルの付け方も凝っているし、やけにステンシル装飾が多い。
もしかしてショーモデルだったのかな?想像がふくらみます。

 

この側板は型をとっておこう。複製出来るようにね。 


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
うわぁ-物欲をそそる写真ですね。 (tachinon)
2015-06-26 22:13:29
 うわぁ・・・欲しくなるような写真ですね。しかも、折り畳み式・・・1列笛ですね。 大袋はもしかして、「提灯」タイプだったりして
 1列でも意外と音が通るようだし、置き場所さえあれば、欲しくなりますね。

 この手で総2列のものを以前見たことがあったような記憶が・・・でもあれ国産ではなかったのかも・・・


 最近、縁があり、毎週仙台でオルガンばらしに参加させてもらってます。 年代によって製造しやすい工夫とか、こだわりとか、開発途上だった(?)合板の接着剤の問題とか・・・そんなのが見えてきておもしろいですね。
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一列半 (吉倉(ブログ主))
2015-07-01 20:36:24
tachinonさん、ようこそ!

僕は リードオルガンに於いては一列半が規模と効果のベストバランスのひとつだと
考えています。
国産ベビーで一列半はまだ見たことがないので興味があります。
改造して追加したものを作ってみようかと思っています。

カワイのストップ付きオルガンが構造としてはベビーに近かったので、その外装を折
り畳み脚ベビーにしたら面白いかも。
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