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吉倉オルガン工房物語

お山のパイプオルガン職人の物語

思い出の品

2012年01月12日 | 思うこと

ご覧の通り、ビクトリノックスのアーミーナイフです。

これは父の形見として僕の元に来ました。
このナイフにまつわる物語です。

これは父と僕と弟にプレゼントされたものです。
その後、残念なことに僕は旅先で無くしてしまったのですが。

これを贈ってくださったのは、今は亡き岩手県は花巻カトリック教会の開設者、アウグスト・ゲー
ヴィレル神父です。
父が花巻に転勤になった頃、僕は2歳で、ある日家を抜け出して近くのその教会にひとりで行っ
たのです。
恐らく大騒ぎになったのでしょうが、それがきっかけで、神父さんと親しくなり、父も教会の野球
チームに入ったりして知り合いも増え、大変にお世話になったのです。
僕は教会の犬(アルトゥールという名のコリー)に面倒を見てもらったり(犬の方が格上でしたか
ら)、神父さんが信者さんのお宅をまわる時に一緒につれて行ってもらったりしたのでした。
車はトヨタ・パブリカUP10だったかな。
2年ほどで花巻を離れることになったのですが、一度も入信を勧められることは無かったといい
ます。

時は流れ、僕も既にパイプオルガンの仕事に就いていた頃。家族で教会を訪ねたことがありま
した。
その時に、神父さんからそのアーミーナイフを頂いたのです。スイス人だからかな?
20数年振りに訪れた教会で、既視感と違和感(リフォームされていたので)頭がぼおっとして神
父さんとあまり話ができなかったのでした。
まだまだお元気そうだったので、次の機会にまたお話出来るかと思っていたのですが、数年
後、神父さんが突然帰天されその機会を逸したのは返す返すも残念なことでした。

幼い頃に触れたキリスト教会での経験は僕の中の原風景になっています。
庭の大きな木と立派な犬と鐘楼、人が吊り下げられた彫刻(磔刑像)、髪や目の色の違う人。
初めてヨーロッパに行った時にどこか懐かしさを感じたものです。

そして今、そのナイフが父の手を経てここにあるのです。思い出とともに。


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