中国のCCTVで、放送された内容は次の様なものだ。
756年、安史の乱で絞首刑にされた楊貴妃、実は殺されたのは身代わりで、本人は船で東シナ海をわたり、日本の山口に落ち延びた。 その末裔が、山口百恵なのだ・・・・・。
CCTV(中国中央電視台)は、中国共産党の意思を人民に伝えるメディアであり、その報道は党の公式発表に準じる。 中国での権威は日本のNHKの比ではない。 新華社の権威も同様であるが、山口百恵が楊貴妃の末裔であると報じている。
しかも本人が、記者の取材に応じて、「私は中国の楊貴妃の末裔です」と語ったとし、さらに調査の結果、山口百恵の元の姓が楊だということが分かったというのだ。
この背景には、中国での百恵の神話的ななまでの、絶大な人気がある。
日本では歌手としての評価が高い山口百恵だが、中国ではドラマ、映画での人気が圧倒的だ。 女優というより、美女の最高標準なのだ。 その証拠に、中国では女性を称賛するとき「中国山口百恵(中国の山口百恵)」という表現が用いられる。
たとえば、鞏俐(コン・リー)、中国を代表する大女優だが、彼女自身、インタビューで、「小さい頃から、『山口百恵に似ている、将来女優になりなさい』と周りに言われたのが、この世界を目指したきっかけです」と答えているほどである。
多くの中国人に訪ねると、「赤い疑惑」などでの毅然とした態度とやさしさの女性像だ。 百恵人気を決定付けたのは、容姿の清純な美しさに見合う、内面の美だというのだ。
引退以来、決して人前に出ないという彼女の姿勢も、その神秘化に拍車をかけた。
こうした百恵人気は、中国に半日の嵐が吹き荒れても揺るがない。
そこで、中国での美女の基準が、日本の山口百恵であることを、正当化、あるいは合理化するために、当局がメディアを動員し、彼女を中国4大美女の一人である楊貴妃の末裔としたのではないか・・・。
日中関係がどれだけ悪化しても、山口百恵は、十三億の中国人を魅了し続けているのである。
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