新国立劇場「リチャード二世」(2020.10.2-新国立劇場中劇場)
浦井くんが「ヘンリー・ボリングブルック(のちのヘンリー四世)」役で出演している
新国立劇場主催の「リチャード二世」を観てきました。
新国立劇場 演劇 「リチャード二世」公式サイト
同、ご来場にあたってのお願い 必ずご覧ください。
歴史劇シリーズ完結作「リチャード二世」開幕に(ステージナタリー)
(関連して、朝日カルチャーセンター新宿教室では、
河合祥一郎先生を講師に迎えて10月14日に、
Zoomを利用したオンライン講座、なんてのもありますよ。
『「リチャード二世」の楽しみ方
シェイクスピアの歴史劇を読み解く 朝カルオンライン』
…ウチはZoom入れてないのだけれど(^^;)
タイトルロールである「リチャード二世」は岡本健一さんが演じています。
他にも王妃役の中嶋朋子さん、ノーサンバランド伯の立川三貴さん、
ヨーク公の横田栄司さん、ヨーク公爵夫人の那須佐代子さん、
…と挙げると全員書き出してしまいそうですが、
もう、このシリーズのアベンジャーズ状態(何)な顔触れで上演中です。
これは2009年上演の「ヘンリー六世 三部作一挙上演」、
2012年上演の「リチャード三世」、2016年の「ヘンリー四世」、
そして2018年の「ヘンリー五世」と、
同じ演出、同じスタッフ、同じキャストを中心に、
新国立劇場で上演されて来たシェイクスピア歴史劇シリーズの、
恐らくは最後の1作となる(の?)作品。
※今回、関連企画として、
上記の中から「ヘンリー六世」と「リチャード三世」の特別映像上映が決まっています。
歴史の時系列的には、
今回の「リチャード二世」が一番古い時代、
続いて「ヘンリー四世」「ヘンリー五世」、
それから「ヘンリー六世」「リチャード三世」と繋がりますが、
シェイクスピアが書き上げた順(=当時の上演順)は、
この新国立の上演順と(ほぼ)同じなのだとか。
※↑後日訂正。新国立公式のシェイスクピア年表によると、
「ヘンリー六世・リチャード三世」と、
「ヘンリー四世・ヘンリー五世」の間にリチャード二世は書かれたらしい。
でも、最初からシリーズ物上演として決まっていた訳ではなく、
(確か当時、新国立劇場「演劇」の芸術監督だった鵜山仁さんが、
任期満了で退任する前の最後の記念作でもあった)
上演時間9時間の大作「ヘンリー六世」一挙上演の評判が良く、
様々な演劇賞も受賞、
(浦井くんも「第44回紀伊国屋演劇賞個人賞」を受賞しています)
『続きのリチャード三世もぜひ上演して欲しい』の機運が数年後に実現、
それから更に、「六世」では冒頭に名前だけ出て来る「偉大な王・ヘンリー五世」の、
エピソードワン的な物語「ヘンリー四世」上演も、
そこから更に続編となる「ヘンリー五世」も、
…と、
1作品1作品上演が叶って行って、
そこから更に、薔薇戦争の発端である「リチャード二世」の上演も実現、
これはもう、何かの奇跡。
(さもなくば今現在の日本に『求められている』としか思えない。)
私自身、2008年11月4日に作品上演の第一報を聞いてから12年、
その間に身内を何人も見送ったりと様々な事があり、
時には観劇を諦めざるを得ないことも1度ではありませんでしたが、
このシリーズをここまで全て観ることが出来たのは、もう奇跡のように思います。
実際、今の状況では様々な理由から、
泣く泣く観劇を諦めた方も多いのではないかと想像します。
(なので、そういう方々の為にも、
また、未来へ繋ぐ資料的な意味合いとしても、
このシリーズ全体のDVDやBlu-ray化を望みます。)
「ヘンリー六世」に浦井くんが出演すると知った2008年11月、
それまでシェイクスピアは難しいものだと思っていた自分は、
言わば『推し』が出てるから一度は勉強がてら観てみようかなー?などと
、
ちょっと姿勢を正して・お行儀よく(少し硬めの)席に着いたのが、
『意外にも』とても面白くて、ハッとするような先人の言葉の数々にも惹かれて
12年経った今では、このシリーズを楽しみに、ワクワクと初台へ通うようになりました。
恐らく、浦井くんが参加していなかったら、
この豊饒な作品群に触れることも無かったかも知れません。
当ブログ各感想
「ヘンリー六世 第一部」 「同 第二部」 「同 第三部」
「リチャード三世」 「ヘンリー四世」 「ヘンリー五世」
あいにく依然として『コロナ禍』と言われる状況に変わりはない世界の中、
今現在も楽観視できない現実が続き、上演だけでなくお稽古の段階から、
出来うる限りの感染対策を施した上での上演と言う事で、
ロビー内の景色も少し変わり、入り口にもトイレの個室にも消毒の準備が。
客席も前から5列目までは席を撤去、舞台との距離を開けたり(多分←(^^;)
今までは販売のあった軽食やデザートはなく、ペットボトルの飲み物販売のみ。
劇場に足を運ぶこちら側に取ってもやはり今までとは違う緊張感はあって、
個人的にもマスク等々『感染対策のため』の様々な準備や、
また事前の体調にも気を配るとは言え、
それまで前後左右1席空けの市松模様での座席販売が、
9月23日付で『都の劇場収容率緩和に伴うチケット追加販売』が決まり、
また、上演時間も『中休憩20分を含む3時間20分』の長時間、
これは個人的には2月の「天保」以来。
(夏の「メイビー」は中休憩なしの1時間50分でした)
また、自分の観劇初日は予定日の中でも一番緊張する席(前方席)だったので、
まずは一観客として自分が無事に参加出来ることに
(空席を作らない・健康で当日を迎える)
今まで以上に注意を払ってた感がありまして、観るだけなのにかなり緊張(笑)
とは言え、実際に上演が始まるともう、その世界に惹き込まれて、
このシリーズの発端の物語を充分に堪能して来ました。
リチャード二世(小田島雄志 翻訳)
(※上記は楽天ブックスへ。電子書籍も持ち運びに便利。)
事前に戯曲を読もうとしてはいつも挫折していたのが、
観劇後は脳内であのひとこのひとの声と映像で再生されてサクサク読める。
記憶を反芻してはふと、気が付いたことを確認したくてもう一度観たくなる。
ベテラン勢の一言の発声が至福だったり、若手の覇気が愛おしかったり。
コミカルな場面が楽し過ぎて、楽し過ぎてなんだか涙が出て来たり、
久々にドッッップリと、演劇の世界を揺蕩(たゆた)う幸せを味わいました。
ところで、
新国立劇場の最寄り駅は京王新線の初台駅ですが、
いまだに新宿駅での乗り換えに慣れない私は、
JR総武線快速の馬喰町駅から乗り換えて都営新宿線の馬喰横山駅に。
都営新宿線はそのまま京王新線に乗り入れしているので、
新宿で乗り換えるよりも楽なように思います。

初台の駅から中劇場への道のりの途中にポスターが。
プログラムは1500円。(安!!)
この歴史劇シリーズを俯瞰した記事が沢山。
何より、今回の配役と人物相関図が、
同じような名前が沢山出て来る歴史劇には有難いです。
(ちなみに浦井くんは今回のちのヘンリー四世を演じていますが、
同シリーズで過去、ヘンリー五、六、七世も演じているし、
岡本健一さんも過去にリチャード三世を演じています。)

以下、twitterで呟いたものや、その後の感想をつらつらとメモしておきます。
内容にも少し触れているので、未見の方はご注意を。
懐かしい顔、懐かしい物、懐かしい衣装。悲しく哀しく、しかし滑稽で楽しい愉しい。笑いながら泣く、でも静かで優しい気持ちになる。(全然まとまらない)で、いま無性に、同じ座組のヘンリー四世を見返したい。
とにかく庭師役の吉村さん登場から心の中ではブンブン手を振る心地で(笑)
「ヘンリー五世」の時の3人の兵士のやり取りなどとても好きでしたし、
ニュートラルな立ち位置での飄々とした言葉に安心して心を寄せ観ていました。
今回も前にはランカスターな亀田さんに内心「弟!弟!」と(今回は弟ではなく従弟だ(^^;)
(※追記:間違えていました、ランカスターは浦井くんの側だ(^^;ややこしや。)
今までの様々な『濃い』キャラクターな皆さまを思いつつ、実体としては居ない方々も思い、
名前だけ出て来たひとには前回演じた方の姿や声が脳内で再生されたり、
まるで『廃寺の縁の下から見上げるような』席位置で庭師師弟と共にお芝居を眺めるような、
不思議な空間に身をゆだね、浦井ボリングブルックの勢いに歓喜し、
岡本リチャードの緩急に感情を連れ込まれ(?)
懐かしい記憶と共に作品を大いに楽しみ、同じ時間を旅して拍手を贈れたことが今まで以上にとてもとても嬉しく感じました。
戯曲で読んだ時にはピンと来ない部分も鵜山さん演出と懐かしい面々をはじめとした役者さんたちが言葉を発すると何も難しくなく受け取れ、楽しめるのが嬉しく 、
まさに、浦井くん切っ掛けて初めて「ヘンリー六世」を観た日の感覚を思い出しました。
まだまだ、『結局あのひとって あのあと どうなったんだっけ?』など、色々と分かってない部分が山積しているので、それは次回の観劇時に(無事に行けたとして、となりますが)確認したいと思います。
それにしてもこの12年、身内を3人、長患いで亡くしていたり色々と、観劇のタイミングが合わないことも多々あったのに、このシリーズ全部観られたのは何でだろう?と観劇中にボンヤリ思っておりました。
多分「観とけ!感想を言ってけ!」と言うご縁を得たのだと勝手に思っておきます(笑)
本当に色々な場面が懐かしく、また「あー、これは後年あのひとやあのひとが怒るのも無理ないや(^^;」等々色々感じるところがありましたので、出来ればここまでのシリーズ全作品、映像をBOXセットで手元に置いて繰り返し反芻したいと改めて書き記しておきます。

くまさんは今回も健在。

時間を置いて、じわじわと思い出すのは、登場人物たちの様々な思惑。
例えば発端の話。あれ、本当はどっちの言葉が正しいのか、演出に拠ってはどちらとも取れる感じがしたんですよね。あと、何て言うか電波受け取っちゃう感じ、発したひとのほうでは本心ではどう思っているのか、結果を本心ではどう感じていたのか、それも含めて色んな可能性を感じて面白かったなぁと。シェイクスピアって頭が柔らかいひとだったんだろうなーと
戯曲を既読のかたが「浦井くんがリチャードかと思った」と言うのを幾つか見ましたが、実際観劇して理由が分かりました。ヘンリー六くんとリチャード二くんはちょっと境遇が似ている。父親が伝説の英雄っぽく、
(「ヘンリー四世」の時だったかな、(多分)立川三貴さんが「ブラックプリンス!」と言う声がとても印象的でした、リチャード二くんの父上に当たるのね)
その威光を受けての即位だったり、本人は優柔不断な面があったり。
後年(上演は12年前だけれど)同じような立ち位置で同様の事が起こるよね?
でも、岡本さまリチャードのチャーミングな部分、人間臭い部分等々とても素敵だったし、どこかグロスター公(リチャード三くん)を髣髴とする孤独の感触もあったり、
浦井「ヘンリー」も後年(リチャ三)とのリンクが感じられるからこれで良かったなと。
…で、まだまだ全部を観るところまでは至らなかったけれど、
ある場面で浦井ボリングブルックが薄く笑う瞬間を見たような気がして。
二くん妃は五くん妃の姉に当たるそうで。悲しい結末を迎えた姉の結婚を、妹はどう思っていたんだろう。更に戦争に負けた結果として、その国に嫁ぐことになった妹の曇った表情に、また1つ意味を見付けた心地がします。
後年、同じようにフランスから嫁いできた六くん妃が火のように怒る理由にも納得したり。
浦井ボリングブルックは睨む表情にも段々含みが感じられて、一方でパーシー原くんの真っっっ!直ぐ!な視線の強さに若い覇気が感じられてとても良き。あんなに味方してくれてたのに、後年(ヘンリー四世)の展開を考えると、だよねぇぇ!?ってなる。
あと、ハル王子の父上であるボリングブルックが噂されてた『とある行い』に「ああ、親子だなぁ」ってシミジミするなど。
ところで岡本さまと原くんはメタマクdisc2でも共演されてるんですよね、と言う事を今回の観劇後に思い出したので、改めてWOWOWのメタマク2録画を見直そうかなと思っています。でもその前に戯曲読み終わりたいし、米谷先生の解説ブログも改めて読みたい。
上演順が同じだとすると、当時観ていたひとたちも、シェイクスピアさんのちょっとしたサービスポイントでクスリとしたりジーンと来たりしたんだろうなって、これは確信に近いものがあります。(注)
ウェールズ訛りとか、ボリングブルックが不肖の息子(=ハル王子)を語る場面とか。
演出では亀田さんがあの旗を手にするところとか。椅子とか椅子とかフードとか、即位後の四世くん衣装とか。最後にかかる音楽(歌のある)は四世の時にも流れてたと思うんだけど、どなたかあの歌の題名を教えて下さい(前にも聞いた気がする)
きっとまだまだ深く濃く熟成されて行くのだと思います。どうかどうか、千穐楽まで思う存分、駆け抜けられますように。
※注:上のほうにも書きましたが、
執筆&当時の上演順としてはヘンリー四世・五世よりも、
リチャード二世のほうが先なのだそうで、ここの「確信」は全くの勘違い(汗)
演出での色々は今までの上演が視界に入っていることは間違いないと思うのですが。
以上、長々と失礼をば。お読み下さいまして、ありがとうございました!
浦井くんが「ヘンリー・ボリングブルック(のちのヘンリー四世)」役で出演している
新国立劇場主催の「リチャード二世」を観てきました。



(関連して、朝日カルチャーセンター新宿教室では、
河合祥一郎先生を講師に迎えて10月14日に、
Zoomを利用したオンライン講座、なんてのもありますよ。
『「リチャード二世」の楽しみ方
シェイクスピアの歴史劇を読み解く 朝カルオンライン』
…ウチはZoom入れてないのだけれど(^^;)
タイトルロールである「リチャード二世」は岡本健一さんが演じています。
他にも王妃役の中嶋朋子さん、ノーサンバランド伯の立川三貴さん、
ヨーク公の横田栄司さん、ヨーク公爵夫人の那須佐代子さん、
…と挙げると全員書き出してしまいそうですが、
もう、このシリーズのアベンジャーズ状態(何)な顔触れで上演中です。
これは2009年上演の「ヘンリー六世 三部作一挙上演」、
2012年上演の「リチャード三世」、2016年の「ヘンリー四世」、
そして2018年の「ヘンリー五世」と、
同じ演出、同じスタッフ、同じキャストを中心に、
新国立劇場で上演されて来たシェイクスピア歴史劇シリーズの、
恐らくは最後の1作となる(の?)作品。
※今回、関連企画として、
上記の中から「ヘンリー六世」と「リチャード三世」の特別映像上映が決まっています。
歴史の時系列的には、
今回の「リチャード二世」が一番古い時代、
続いて「ヘンリー四世」「ヘンリー五世」、
それから「ヘンリー六世」「リチャード三世」と繋がりますが、
シェイクスピアが書き上げた順(=当時の上演順)は、
この新国立の上演順と(ほぼ)同じなのだとか。
※↑後日訂正。新国立公式のシェイスクピア年表によると、
「ヘンリー六世・リチャード三世」と、
「ヘンリー四世・ヘンリー五世」の間にリチャード二世は書かれたらしい。
でも、最初からシリーズ物上演として決まっていた訳ではなく、
(確か当時、新国立劇場「演劇」の芸術監督だった鵜山仁さんが、
任期満了で退任する前の最後の記念作でもあった)
上演時間9時間の大作「ヘンリー六世」一挙上演の評判が良く、
様々な演劇賞も受賞、
(浦井くんも「第44回紀伊国屋演劇賞個人賞」を受賞しています)
『続きのリチャード三世もぜひ上演して欲しい』の機運が数年後に実現、
それから更に、「六世」では冒頭に名前だけ出て来る「偉大な王・ヘンリー五世」の、
エピソードワン的な物語「ヘンリー四世」上演も、
そこから更に続編となる「ヘンリー五世」も、
…と、
1作品1作品上演が叶って行って、
そこから更に、薔薇戦争の発端である「リチャード二世」の上演も実現、
これはもう、何かの奇跡。
(さもなくば今現在の日本に『求められている』としか思えない。)
私自身、2008年11月4日に作品上演の第一報を聞いてから12年、
その間に身内を何人も見送ったりと様々な事があり、
時には観劇を諦めざるを得ないことも1度ではありませんでしたが、
このシリーズをここまで全て観ることが出来たのは、もう奇跡のように思います。
実際、今の状況では様々な理由から、
泣く泣く観劇を諦めた方も多いのではないかと想像します。
(なので、そういう方々の為にも、
また、未来へ繋ぐ資料的な意味合いとしても、
このシリーズ全体のDVDやBlu-ray化を望みます。)
「ヘンリー六世」に浦井くんが出演すると知った2008年11月、
それまでシェイクスピアは難しいものだと思っていた自分は、
言わば『推し』が出てるから一度は勉強がてら観てみようかなー?などと

ちょっと姿勢を正して・お行儀よく(少し硬めの)席に着いたのが、
『意外にも』とても面白くて、ハッとするような先人の言葉の数々にも惹かれて
12年経った今では、このシリーズを楽しみに、ワクワクと初台へ通うようになりました。
恐らく、浦井くんが参加していなかったら、
この豊饒な作品群に触れることも無かったかも知れません。

「ヘンリー六世 第一部」 「同 第二部」 「同 第三部」
「リチャード三世」 「ヘンリー四世」 「ヘンリー五世」
あいにく依然として『コロナ禍』と言われる状況に変わりはない世界の中、
今現在も楽観視できない現実が続き、上演だけでなくお稽古の段階から、
出来うる限りの感染対策を施した上での上演と言う事で、
ロビー内の景色も少し変わり、入り口にもトイレの個室にも消毒の準備が。
客席も前から5列目までは席を撤去、舞台との距離を開けたり(多分←(^^;)
今までは販売のあった軽食やデザートはなく、ペットボトルの飲み物販売のみ。
劇場に足を運ぶこちら側に取ってもやはり今までとは違う緊張感はあって、
個人的にもマスク等々『感染対策のため』の様々な準備や、
また事前の体調にも気を配るとは言え、
それまで前後左右1席空けの市松模様での座席販売が、
9月23日付で『都の劇場収容率緩和に伴うチケット追加販売』が決まり、
また、上演時間も『中休憩20分を含む3時間20分』の長時間、
これは個人的には2月の「天保」以来。
(夏の「メイビー」は中休憩なしの1時間50分でした)
また、自分の観劇初日は予定日の中でも一番緊張する席(前方席)だったので、
まずは一観客として自分が無事に参加出来ることに
(空席を作らない・健康で当日を迎える)
今まで以上に注意を払ってた感がありまして、観るだけなのにかなり緊張(笑)
とは言え、実際に上演が始まるともう、その世界に惹き込まれて、
このシリーズの発端の物語を充分に堪能して来ました。

(※上記は楽天ブックスへ。電子書籍も持ち運びに便利。)
事前に戯曲を読もうとしてはいつも挫折していたのが、
観劇後は脳内であのひとこのひとの声と映像で再生されてサクサク読める。
記憶を反芻してはふと、気が付いたことを確認したくてもう一度観たくなる。
ベテラン勢の一言の発声が至福だったり、若手の覇気が愛おしかったり。
コミカルな場面が楽し過ぎて、楽し過ぎてなんだか涙が出て来たり、
久々にドッッップリと、演劇の世界を揺蕩(たゆた)う幸せを味わいました。
ところで、
新国立劇場の最寄り駅は京王新線の初台駅ですが、
いまだに新宿駅での乗り換えに慣れない私は、
JR総武線快速の馬喰町駅から乗り換えて都営新宿線の馬喰横山駅に。
都営新宿線はそのまま京王新線に乗り入れしているので、
新宿で乗り換えるよりも楽なように思います。

初台の駅から中劇場への道のりの途中にポスターが。
プログラムは1500円。(安!!)
この歴史劇シリーズを俯瞰した記事が沢山。
何より、今回の配役と人物相関図が、
同じような名前が沢山出て来る歴史劇には有難いです。
(ちなみに浦井くんは今回のちのヘンリー四世を演じていますが、
同シリーズで過去、ヘンリー五、六、七世も演じているし、
岡本健一さんも過去にリチャード三世を演じています。)

以下、twitterで呟いたものや、その後の感想をつらつらとメモしておきます。
内容にも少し触れているので、未見の方はご注意を。
懐かしい顔、懐かしい物、懐かしい衣装。悲しく哀しく、しかし滑稽で楽しい愉しい。笑いながら泣く、でも静かで優しい気持ちになる。(全然まとまらない)で、いま無性に、同じ座組のヘンリー四世を見返したい。
とにかく庭師役の吉村さん登場から心の中ではブンブン手を振る心地で(笑)
「ヘンリー五世」の時の3人の兵士のやり取りなどとても好きでしたし、
ニュートラルな立ち位置での飄々とした言葉に安心して心を寄せ観ていました。
(※追記:間違えていました、ランカスターは浦井くんの側だ(^^;ややこしや。)
今までの様々な『濃い』キャラクターな皆さまを思いつつ、実体としては居ない方々も思い、
名前だけ出て来たひとには前回演じた方の姿や声が脳内で再生されたり、
まるで『廃寺の縁の下から見上げるような』席位置で庭師師弟と共にお芝居を眺めるような、
不思議な空間に身をゆだね、浦井ボリングブルックの勢いに歓喜し、
岡本リチャードの緩急に感情を連れ込まれ(?)
懐かしい記憶と共に作品を大いに楽しみ、同じ時間を旅して拍手を贈れたことが今まで以上にとてもとても嬉しく感じました。
戯曲で読んだ時にはピンと来ない部分も鵜山さん演出と懐かしい面々をはじめとした役者さんたちが言葉を発すると何も難しくなく受け取れ、楽しめるのが嬉しく 、
まさに、浦井くん切っ掛けて初めて「ヘンリー六世」を観た日の感覚を思い出しました。
まだまだ、『結局あのひとって あのあと どうなったんだっけ?』など、色々と分かってない部分が山積しているので、それは次回の観劇時に(無事に行けたとして、となりますが)確認したいと思います。
それにしてもこの12年、身内を3人、長患いで亡くしていたり色々と、観劇のタイミングが合わないことも多々あったのに、このシリーズ全部観られたのは何でだろう?と観劇中にボンヤリ思っておりました。
多分「観とけ!感想を言ってけ!」と言うご縁を得たのだと勝手に思っておきます(笑)
本当に色々な場面が懐かしく、また「あー、これは後年あのひとやあのひとが怒るのも無理ないや(^^;」等々色々感じるところがありましたので、出来ればここまでのシリーズ全作品、映像をBOXセットで手元に置いて繰り返し反芻したいと改めて書き記しておきます。

くまさんは今回も健在。

時間を置いて、じわじわと思い出すのは、登場人物たちの様々な思惑。
例えば発端の話。あれ、本当はどっちの言葉が正しいのか、演出に拠ってはどちらとも取れる感じがしたんですよね。あと、何て言うか電波受け取っちゃう感じ、発したひとのほうでは本心ではどう思っているのか、結果を本心ではどう感じていたのか、それも含めて色んな可能性を感じて面白かったなぁと。シェイクスピアって頭が柔らかいひとだったんだろうなーと
戯曲を既読のかたが「浦井くんがリチャードかと思った」と言うのを幾つか見ましたが、実際観劇して理由が分かりました。ヘンリー六くんとリチャード二くんはちょっと境遇が似ている。父親が伝説の英雄っぽく、
(「ヘンリー四世」の時だったかな、(多分)立川三貴さんが「ブラックプリンス!」と言う声がとても印象的でした、リチャード二くんの父上に当たるのね)
その威光を受けての即位だったり、本人は優柔不断な面があったり。
後年(上演は12年前だけれど)同じような立ち位置で同様の事が起こるよね?
でも、岡本さまリチャードのチャーミングな部分、人間臭い部分等々とても素敵だったし、どこかグロスター公(リチャード三くん)を髣髴とする孤独の感触もあったり、
浦井「ヘンリー」も後年(リチャ三)とのリンクが感じられるからこれで良かったなと。
…で、まだまだ全部を観るところまでは至らなかったけれど、
ある場面で浦井ボリングブルックが薄く笑う瞬間を見たような気がして。
二くん妃は五くん妃の姉に当たるそうで。悲しい結末を迎えた姉の結婚を、妹はどう思っていたんだろう。更に戦争に負けた結果として、その国に嫁ぐことになった妹の曇った表情に、また1つ意味を見付けた心地がします。
後年、同じようにフランスから嫁いできた六くん妃が火のように怒る理由にも納得したり。
浦井ボリングブルックは睨む表情にも段々含みが感じられて、一方でパーシー原くんの真っっっ!直ぐ!な視線の強さに若い覇気が感じられてとても良き。あんなに味方してくれてたのに、後年(ヘンリー四世)の展開を考えると、だよねぇぇ!?ってなる。
あと、ハル王子の父上であるボリングブルックが噂されてた『とある行い』に「ああ、親子だなぁ」ってシミジミするなど。
ところで岡本さまと原くんはメタマクdisc2でも共演されてるんですよね、と言う事を今回の観劇後に思い出したので、改めてWOWOWのメタマク2録画を見直そうかなと思っています。でもその前に戯曲読み終わりたいし、米谷先生の解説ブログも改めて読みたい。
上演順が同じだとすると、当時観ていたひとたちも、シェイクスピアさんのちょっとしたサービスポイントでクスリとしたりジーンと来たりしたんだろうなって、これは確信に近いものがあります。(注)
ウェールズ訛りとか、ボリングブルックが不肖の息子(=ハル王子)を語る場面とか。
演出では亀田さんがあの旗を手にするところとか。椅子とか椅子とかフードとか、即位後の四世くん衣装とか。最後にかかる音楽(歌のある)は四世の時にも流れてたと思うんだけど、どなたかあの歌の題名を教えて下さい(前にも聞いた気がする)
きっとまだまだ深く濃く熟成されて行くのだと思います。どうかどうか、千穐楽まで思う存分、駆け抜けられますように。
※注:上のほうにも書きましたが、
執筆&当時の上演順としてはヘンリー四世・五世よりも、
リチャード二世のほうが先なのだそうで、ここの「確信」は全くの勘違い(汗)
演出での色々は今までの上演が視界に入っていることは間違いないと思うのですが。
以上、長々と失礼をば。お読み下さいまして、ありがとうございました!