ヒメコウゾ (姫楮 クワ科 コウゾ属 落葉低木 花期4,5月 雌雄同株 雌雄異花)
葉は卵形でクワ状の深裂葉も見られる。葉脈は葉裏に凸出、側脈は葉縁に沿い湾曲、微鋸歯。葉先は尾状鋭尖頭。
新梢の基部葉腋に頭状の雄花序、上方の葉腋に球形の雌花序がつく。雄花は花被4、雄蕊4。雌花序は小花が多数集まって球状になったもので、小花の花被又は花托が子房を包み、子房から花柱が出て柱頭(赤紫色)は2裂。
果実は多数の小花の花被又は花托が痩果を包んで肥厚・多肉化し、球状になった偽果-痩果の複合果(クワ状果)。「痩果・小核果・液果」の複合果と諸解説がある。
果実は6月頃に橙色に熟す。熟果はネバネバした液に覆われ独特の薬臭があるが甘くて食べられる。ヤマグワ同様に花柱・柱頭が宿存するので舌触りはよくない。
樹皮が強靱で縦には裂けるが横に手折ることが出来ない。
日本では古代から和紙の原料用に「楮」および中国原産の「梶の木」が栽培されてきた。後にこれらの交雑種が和紙原料の主流となり「和紙原料の楮」と呼ばれ栽培されるようになった。
古代から栽培されていた「楮」(元々の楮) は「交雑種の楮」よりやや小型であるため「姫楮」と呼ばれるようになったという。
学名Broussonetia kazinoki
属名Broussonetia 仏自然科学者名
小種名kazinoki シーボルトがkazinoki,kouzo,himekouzoを混同
カジノキ Broussonetia papyrifera パピルス(紙質)+持った
コウゾ Broussonetia kazinoki × Broussonetia papyrifera 交雑種
綴り間違いの他例
イチョウ属の属名Ginkgoは銀杏(ぎんきょう)に由来するが、日本で植物を収集したケンペルがヨーロッパに紹介する際に「Ginkjo」とすべきところを綴りを間違えて Ginkgo と記し、それがそのまま学名となったという。









TOP (目次) 画像・文 塩城 忠