潮ひかる/雑感

演劇(舞台)の技術や知識・公演案内や観劇レビュー

”表現”=”おもてにあらわす”

2013-02-02 12:13:36 | 演技技術
自分の初舞台は、ピッコロシアターのワークショップにて出演した、ミュージカル『マイフェアレディ』でした。
ウエストサイドやコーラスラインをミックスさせた初心者向けの演目でした。


歌ったり踊ったり。
この一件で、気持ちや感情を表出させるということに対しての喜びを得たのだと思います。


そして、今になって気づいたことですが、
そのときにとにかく行っていたのは、お客様へのアピール。
要はショーの要素を含んだものであったということ。


歌も、ここで面白いことをする。踊りも、何をしているのかをはっきりと振り付けとして踊る。
こんなことだったと思います。
すべて、リアルな演技からは遠く離れたわざとらしいものでした。


しかし、今思い返してみるならば、それらのことは至って大事な要素なのではないかと思うのです。
だって、自分たちは芝居人であるとともに表現者です。


ことばどおり表に存在させる。ことが必要です。”表に現す” ”おもてにあらわす


感情の発散を覚えた時は
思っていれば、それは自然と目に見えるものになるもんだと思っていたのです。
しかし、思っているだけでは伝わらないということを東京に来て教わりました。


心の中に思っていることがあれば、必ず、体や言葉にはその影響があるはず。
それを意識してコントロールしないと表現者とはいえないのではないかと思います。


だから、どんな作品であったとしても、そこに観客が居るのであるから
何を思っているのか、何をやろうとしているのか、登場人物の人間関係がどうなっているのか、作品の重要ポイントがどこにあるのか。
これらを、伝える必要があると俺は思うのです。


わかりづらいのは役作りができていないからだというのはナンセンスなんではないでしょうか。


あとは、説明がすぎる場合。


人間そんな動きしねえよ!そんな風にしゃべんねえよ!
というような説明芝居を自分もやってしまうことが多々あります。


そこにはリアリティが存在しない訳です。
”おもてにあらわす”のが大事なのであって、
無いものをひねり出す。とはちょっと違うということだと思うのです。

また、そんな怒鳴る必要の無いところで、共演者や観客に感情をぶつけたり大声出したり。
それでは、お客様は許容範囲をオーバーしてしまい疲弊しきってしまいます。
そんなに言わなくても分かるし伝わってるから少し黙ってほしい。なんて思われているかもしれません。


お客様は、作品を見るにあたり、次はどうなるのかな・・・あの人物は今後どうなるのかな・・・
とかいろいろ考えることで作品に集中していきます。
役者が心の中で思っていても、それを”おもてにあらわす”ことをしすぎてしまうと、
先に答えを示されたお客様は、興が醒めてしまったということにもなりかねません。



微妙なさじ加減が必要なんだと思います。



芝居はハートがあればそれでいいといいつつ、面白いと評価されている芝居があります。
きっとそこには、意図せずに、お客様を楽しませるための”表現”をそこに持ち込んでいることもあるのではないかと思うのです。

お客様を迎合するのはよくない、自分たちの信じた芸術をという風潮があるのは確かですが、
それでも、おれはやっぱりきていただいたお客様全員に楽しんで帰ってもらいたいのです。


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