ゆくかわのながれはたえずして

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森雪という女性・その2

2005-05-10 01:07:10 | Weblog
ピンクの芍薬の次に、私が古代君の恋人のイメージに近い花だと思うのは、蓮の花です。

phraseの言葉に睡蓮や蓮の素材写真を何度かそえたことはありますが、私の抱く彼女のイメージは、白い蓮の花です。


ピンクの芍薬が雪の優しくて甘い女らしさを表しているとすれば、白い蓮の花は、まっすぐですっきりとした彼女の女としての芯の強さを表している気がするのです。

不浄の中からでも綺麗な花を咲かせる蓮は、恋人の赴く「戦場」という修羅場に必ずともに向かいながらも、女らしさを失わなかった彼女の姿を彷彿させます。


古代進という優秀な軍人の恋人であった彼女は同時に彼の戦友でもあり同志でもありました。

そこに彼女の喜びと苦しさのすべてがあった気がするのです。


森雪は、もともと活発で元気のいいお嬢さんです。
母親のいうことを聞かずに、自分の思う生き方をしたりしています。


古代進と出会ったときに、既に彼女のそういったポリシーみたいなものは確立していました。
けれど、同僚である彼と恋に落ちたときから、そんな彼女の元気のよさ、みたいなものはがらりと変わってしまう。
悪い言い方をすれば、恋人である男がすべて、という女になってしまったのです。

もう、古代進しか視野にない女です。

行方不明だった恋人が目前で倒れているのを見ると、とっさに銃で自殺を図ったりもする危うさすら秘めている。

そこがつまらない、という見方もあります。
確かに、シリーズの初期と後半では彼女の性格は、かわってしまっている。

けれど、そこに森雪の持つ、女としてのかなしさがあるような気がするのです。

好きな男は、彼女を強く愛してくれているけれど、常に恋人よりは任務優先の男です。
惑星探査の旅に出るから、艦長の俺はお前のことは部下として扱いきる、というようなことまで言いながらも、地球を出発する前夜に自分の不安な気持ちを彼女に打ち明けたりもする。


融通のきかない不器用な男、といってしまえばそれまでですが、不器用だからこそ真摯であり、ものごとに対する集中力は凄いものがある。

矛盾を感じながらも戦い抜き、生還する男です。

そんな男のかたわらに彼女は常にいる。
戦いの修羅場に出ていくのですから、まったく、きれいごとのない世界です。

それでも何があっても、自分の「意志」で彼女は、そこにいるのです。

それを、「強さ」と言わずして、どう表現すればいいのでしょう?

だから、私は彼女の美しい強さには、白い蓮が似合うと思うのです。

先月、たまたま巡り合った蓮の写真集(大出一博『LOTUS』)があるのですが、その表紙の白い蓮は、まさに私の森雪そのものでした。



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