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        Umpiring is not built in a day. ~審判技術は一日にしてならず~

               【アメリカ・マイナーリーグ審判員のDaily blog】

California League へ昇格!

2014-02-02 | 日記
今朝早くに連絡があり、 High A(日本で言う4軍)・California League(カリフォルニアリーグ)への昇格が決まりました。


California Leagueのロースター(名前はアルファベット順)

California Leagueはその名の通りカリフォルニア州内に10チームすべてのチームが本拠地を置く比較的移動の少ないリーグで、過去には平林さん、内川さん、野中さんの3先輩が所属されていました。

MLB、ビデオ判定の範囲拡大を発表

2014-01-22 | 日記
週末の名古屋クリニックにご参加くださった皆様、誠にありがとうございました。
僕自身は今回で4度目の参加となりましたが、今までで一番参加者の方のやる気と熱意を感じた講習会となりました。

さて、もう既にご存知の方も多いかと思いますが・・・MLB機構は2014年シーズンより、これまでホームランか否かの判定のみに用いられてきたビデオ判定の範囲拡大を発表しました。監督は審判員が下した以下のプレーに関する判定に対して、1試合に1度だけビデオ判定を要望することが出来るようになります。(通称:チャレンジ・システム)

○ホームラン
○グラウンドルール・ダブル(エンタイトル・ツーベース)
○その他のグラウンドルール(悪送球によるアウトオブプレー等)
○観衆の妨害
○フォースプレー(ダブルプレーの際の野手の2塁触塁を除く)
○タッグプレー
○フェア・ファール(内野内を除く)
○キャッチ・ノーキャッチ(内野内を除く)
○死球
○タイムプレー
○走者の触塁
○走者の追い越し
○その他、記録に関する部分(打撃カウント・アウトカウント・選手交代等)

これらのプレーに関してビデオ判定を行った結果、審判員の判定が誤っていたと判断されれば、監督は引き続きチャレンジの権利を持つこととなります。

上記以外のプレーに関してはチャレンジの権利はありませんので、これまで同様ストライク・ボール、あるいはハーフスイングの判定に異議を唱えることは出来ません。また、オブストラクションやインターフェアの判定に対してもビデオ判定は用いられないこととなっています。

この件について非常に興味深いのは、フォースプレーのビデオ判定にダブルプレーの際の野手の2塁触塁を含まなかった点です。MLBをはじめとするアメリカのプロ野球では俗に【Neighborhood play】と言って、ダブルプレーの際にピボットマン(2塁手or遊撃手)が脚をベースから少し早く離す行為を、1塁走者がスライディングしてきた際にスパイクされるのを防ぐ意味合いで暗黙の了解で認めているのです。これはあくまで【良い送球がきていて意図的に脚を離した場合】であって、【送球が逸れたが為に脚が離れた】等の場合は当然ながらアウトはコールされません。
もしこのプレーにもビデオ判定が適用されれば、おそらくピボットマンの怪我が多発することでしょう。そういった意味でも今回は適用範囲からはずされたのだと思います。

ビデオ判定の範囲拡大によって、大なり小なり野球そのものが変わっていくことでしょう。
それが良い事か悪いことかは分かりませんが、少なくとも審判員の権威が損なわれてしまわないことを願ってやみません。

勝負は下駄を履いてもまだなお分からない・・・

2013-12-30 | 日記
年の瀬、皆様いかがお過ごしでしょうか?年末年始は皆様お忙しいかと思いますが、事故等には充分お気を付けください。お酒を飲まれる機会も増えるかと思いますが、飲酒運転は絶対にいけません。

さて、ことわざに【勝負は下駄を履くまでわからない】という言葉があるのは皆さんご存知かと思います。もともとは囲碁・将棋の世界から来ている言葉で『一局が終了し下駄を履いて家に帰るまで勝負を諦めるな』というニュアンスのようです。

今シーズン僕が現在所属していたMidwest Leagueの別のクルーが担当した試合でこんなことがありました。

動画は4-4の同点で迎えた9回裏2アウト満塁・カウント2-2からスタートします。ファールボールの後1球見送り、3-2(3ボール・2ストライク)からの速球を打者はセンター前にはじき返します。

通常であれば誰もがゲームセットだと思うでしょう。しかしながらこの後、事件(?)は起こります。


それでは、【こちらの動画】をご覧ください。(リンク先に移動します)


何が問題かお分かりになられましたでしょうか?

野球を多少なりともご存知の方であればおわかりかと思いますが、2アウト・満塁(もしくは塁が埋まってフォースの状態にある場合)・カウント3-2という状況であれば各走者は投球と同時にスタートを切ります。当然ながら通常であればこの場面でもすべての走者はスタートを切るべきなのですが・・・1塁走者はそれを怠ったばかりか、試合が終了したと勝手に思い込み、2塁への進塁を放棄して歓喜の輪に加わってしまったのです。
それを見た野手はすぐさま2塁に転送し、アウト(フォースプレー)をアピールします。

そして、ここでも問題が発生します。

なんと塁審は打者走者の1塁到達に注視するあまり、1塁走者の2塁触塁(正確には進塁放棄)を確認出来ていなかったのです。

当然ながらビジターチームの監督はダグアウトから出てきて猛抗議をおこないます。この監督はリーグで一番気の短いことで知られており、『提訴する!』と言ってきかなかったそうです。(規則適用以外の部分での審判員の判定に対しては提訴することは出来ません)

先ほど塁審は1塁走者の進塁放棄を確認出来ていなかったと書きましたが、球審は全てを見ていたため、球審と塁審が協議した結果アピールを認め、ウィニング・ランを取り消し延長戦に突入することになりました。

さらなる問題は、ホームチームの監督、コーチ、そして選手たちです。彼らは試合が終了したと思い込み、すでにクラブハウスへ引き上げてしまっていたのです。塁審が事情を説明に行くと、サヨナラ勝ちで盛り上がっていたクラブハウスは打って変わってシーンとなってしまいました。
幸い(?)ホームチームの監督は1塁走者の進塁放棄と2塁でのアピールを見ていたようで、意外と素直に試合再開に応じてくれたようです。それでも『なぜこんなに時間がかかったんだ!?』と言われてしまったとのこと・・・
結局試合は延長10回表にビジターチームが勝ち越し点を奪い、ホームチームは敗れてしまいました。

そして、この話はこれでは終わりません。

なんとこの試合はPBUCの査定官が来ていて、塁審は深夜1時半まで指導(という名の
お説教)を受けたそうです!
もちろん塁審に落ち度があったことは間違いありません。ほんの一瞬気が緩んだが為に起こってしまった事態です。誤解のないように書くと、僕は決して彼を責めているのではありません。もし僕が彼の立場だった場合、本当に全てを確認したでしょうか・・・もちろんこういったことが起こり、映像を見た今であれば可能でしょうが、実際の現場ではそうはいきません。

このプレーは皆さんの試合で起こらないとも限りません。だからこそこの映像を見て、もし自分の試合で起こったときに正しく対処出来るよう準備して欲しいのです。

『勝負は下駄を履くまで分からない』ではなく、『勝負は下駄を履いてもまだなお分からない』というタイトルにしたのは、終わったと思っても本当に全てが終わるまでは気が抜けないという点を強調したかったからです。
今回の件に関しては、ホームチームにしてみれば差し詰め『家に帰ろうと下駄を履いたら鼻緒が切れていた』といったところでしょうかね・・・


それでは皆様、良いお年をお迎えください。

最強のコラボレーション!?【Wilson West Best × Team Wendy】

2013-12-27 | 日記
以前このブログでも少し書きましたが、審判道具マニアの方が喜びそうな(?)プロテクターが日本上陸です。

チェストプロテクターの代名詞【Wilson West Best】と今や大人気のマスクパッド【Team Wendy】がタッグを組んだチェストプロテクターです。

タッグを組んだと言っても、正確にはこの商品は一般的に市販されている物ではありません。いわゆる特注品です。

そもそも僕がこの存在を知ったのはメジャーリーグ審判員のAlfonso Marquezがキッカケでした。

昨年(2012年)に参加していたExtended Spring Trainingの最中にNestorとメジャーリーグの試合を見に行った際のことです。その日のクルーにはたまたまAlfonso Marquezがいました。事前に連絡をしてあったわけではないのですが、Nestorはメキシコ人の両親を持ち、Alfonsoとも以前から付き合いがあった関係で運よくロッカールームに入れてもらうことができました。当時僕はAlfonsoと面識はなくこれが初対面だったのですが、非常に良くしてくださったのを覚えています。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、Alfonsoはミズノ社製のマスクにWilsonのシルバーパッド、そしてBelguardのスロートガードを使用しています。その話になった際についでに見せてくれたのが、Alfonsoが愛用する【Riddell Power】というブランドのチェストプロテクターでした。

この【Riddell Power】というブランド、ご存知の方はかなりの審判道具マニアです!

アメフトのヘルメットやプロテクター等を手がけているメーカーなのですが、今から十数年前にほんの一時期だけ審判用チェストプロテクターを製作したことがあるのです。しかしながら版権等の様々な問題(裁判沙汰になった)で直ぐに製造中止となり、実際に出回ったのはほんの僅かだったそうです。
審判道具大好きのアメリカ人には根強いファンも多く、ごく稀にアメリカ最大オークションサイト【eBay】に出品されると、どれだけ状態が悪くても数百ドルの値が付くそうです。

現役のメジャーリーグ審判員にも愛用者は多く、AlfonsoをはじめGerry Davis、Jeff Nelsonら10数名が未だに使用しています。(正確に書くと、AlfonsoはRiddellWilson・Goldのパーツを組み合わせて使用しています)

そんなRiddell Powerですが、先ほど書いたように当のチェストプロテクターはとっくに生産が終了しており、アフターサービスを得ることが出来ません。プラスティック(シェル)部分はともかく、パッドは使用を続ければどんどん痛んできます。そこで目をつけたのが、脳震盪を防ぐマスクパッドで話題となっていたTeam Wendyでした。
元々Ed RapuanoがTeam Wendyに強いコネクションがあった(アドバイザー的存在であり、僕がEdからマスクパッドをいただいたのもその)関係で、チェストプロテクターのパッド交換も行うようになったのです。

チェストプロテクターのパッドはマスクパッドと違い、形を自由自在に変形させることは出来ません。その為こちらから一度チェストプロテクターをクリーブランドにあるTeam Wendy本社に送り、特注で仕上げなければならないので時間と費用がかかります。

僕はプロになった1年目から2シーズン、Wilsonのプラチナを使用していました。保護性能に優れており安心感からも非常に気に入っていたのですが・・・パッドが分厚く、なにせゴツく見えてしまって不格好なのが難点でした。Alfonsoは『あのパッドは分厚いのに、結局は大して衝撃を吸収しないんだ・・・』と言っていました。そういった理由で今シーズンはエバンスプロテクターを使用していたのです。エバンスプロテクターの使い心地は以前の記事に書いたとおりです。

たった2シーズンで終わらせてしまうにはもったいない代物ですので何か良い方法がないか考えていたところ、Team Wendyがマイナーリーグ審判員に対してディスカウントでパッド交換を行う旨がPBUCから発表されました。
まぁ、正確には以前から交換は行っていて僕の周りでも何名か既に使用していたのですが・・・大人の事情により公にはされていませんでした。現在でもメジャーリーグ及びマイナーリーグ審判員以外には公表されていません。

そんなプロテクターですが、ようやく僕の手元に到着です。

本邦初公開・・・というほどもったいぶるものでもありませんので早速お見せしますね。



裏面はこちら↓



標準のパッドと比べて薄く設計されています。裏面(体に触れる側)はマスクパッド同様、低反発素材に近い感じです。

送料等でそれなりの値段にはなってしまいましたが、モノは間違いありません。

実際に使用してみて着用感等を報告出来ればと思います。

NPB アンパイアスクール

2013-12-23 | 日記
22日の日曜日に、18日からロッテ浦和球場で開催されている第1回目の【NPB アンパイアスクール】を見学に行って来ました。
決して遊びで行ったわけではなく、ある方に会うためです。

その人の名は【Justin Klemm(ジャスティン・クレム)】、新聞報道等でも幾度となく名前が載っていますが、MLB公認審判学校長です。

Justinはマイナーリーグ審判員を統括するPBUCの最高責任者で、当然ながら僕の上司に当たります。上司が遠路遥々アメリカから来ているのに、挨拶しないわけにはいかない・・・ということで事前にメールのやり取りをし、ようやく日曜日に会いに行って来ました。

僕が現地に着いた時、Justinはケージ(ブルペン)での投球判定練習の指導に精を出していました。ハッキリと書いておきますが、Justinから直接指導してもらえる機会なんて我々でもそうそうありません。羨ましい限りです。
邪魔にならないよう端から見学していましたが、投球判定練習が終わったと同時にJustinが僕のことを見つけてくれ、タイミング良く挨拶をする機会が出来ました。色んな方に『My employee!(俺の部下だ!)』と言って紹介してくれたのは嬉しかったですね。
昼休憩を挟んだ後も少しだけ見学していたのですが、わざわざJustinから近寄ってきてくれて色々な話を聞かせてくれました。自身の経験や今のマイナーリーグやアメリカの審判学校の現状等、ここには書けないような内容も沢山あります。
Justinもメジャーリーグのフルタイムには届きませんでしたが、Call-up umpire(バケーションアンパイア)として多くのメジャーの試合に出場した経験を持っています。上司と部下と言っても、普段はほとんど接することはありません。顔を会わせるのは基本的に年に一度だけです。ここ日本で会うことが出来て良かったと思います。

さて、肝心のNPBアンパイアスクールですが、それまでの悪天候の影響で若干カリキュラムに遅れがあったようですが、とても活気がありました。特に受講生のやる気は見ていて良い刺激になりましたね。アメリカの審判学校へ行った頃の自分を思い出しました。人それぞれ目標は違うでしょうが、多くの受講生はプロになることを目標に頑張っています。その一生懸命さは日本であれアメリカであれ、違いはありません。Justinも『皆本当に一生懸命頑張っている。覚えの早さはアメリカ人よりずっと良いよ。』と褒めていました。

まだまだスタートしたばかりで課題もあるでしょうが、このアンパイアスクールから多くの優秀な審判員が生まれることでしょう。