goo blog サービス終了のお知らせ 

        Umpiring is not built in a day. ~審判技術は一日にしてならず~

               【アメリカ・マイナーリーグ審判員のDaily blog】

MLB、ビデオ判定の範囲拡大を発表

2014-01-22 | 日記
週末の名古屋クリニックにご参加くださった皆様、誠にありがとうございました。
僕自身は今回で4度目の参加となりましたが、今までで一番参加者の方のやる気と熱意を感じた講習会となりました。

さて、もう既にご存知の方も多いかと思いますが・・・MLB機構は2014年シーズンより、これまでホームランか否かの判定のみに用いられてきたビデオ判定の範囲拡大を発表しました。監督は審判員が下した以下のプレーに関する判定に対して、1試合に1度だけビデオ判定を要望することが出来るようになります。(通称:チャレンジ・システム)

○ホームラン
○グラウンドルール・ダブル(エンタイトル・ツーベース)
○その他のグラウンドルール(悪送球によるアウトオブプレー等)
○観衆の妨害
○フォースプレー(ダブルプレーの際の野手の2塁触塁を除く)
○タッグプレー
○フェア・ファール(内野内を除く)
○キャッチ・ノーキャッチ(内野内を除く)
○死球
○タイムプレー
○走者の触塁
○走者の追い越し
○その他、記録に関する部分(打撃カウント・アウトカウント・選手交代等)

これらのプレーに関してビデオ判定を行った結果、審判員の判定が誤っていたと判断されれば、監督は引き続きチャレンジの権利を持つこととなります。

上記以外のプレーに関してはチャレンジの権利はありませんので、これまで同様ストライク・ボール、あるいはハーフスイングの判定に異議を唱えることは出来ません。また、オブストラクションやインターフェアの判定に対してもビデオ判定は用いられないこととなっています。

この件について非常に興味深いのは、フォースプレーのビデオ判定にダブルプレーの際の野手の2塁触塁を含まなかった点です。MLBをはじめとするアメリカのプロ野球では俗に【Neighborhood play】と言って、ダブルプレーの際にピボットマン(2塁手or遊撃手)が脚をベースから少し早く離す行為を、1塁走者がスライディングしてきた際にスパイクされるのを防ぐ意味合いで暗黙の了解で認めているのです。これはあくまで【良い送球がきていて意図的に脚を離した場合】であって、【送球が逸れたが為に脚が離れた】等の場合は当然ながらアウトはコールされません。
もしこのプレーにもビデオ判定が適用されれば、おそらくピボットマンの怪我が多発することでしょう。そういった意味でも今回は適用範囲からはずされたのだと思います。

ビデオ判定の範囲拡大によって、大なり小なり野球そのものが変わっていくことでしょう。
それが良い事か悪いことかは分かりませんが、少なくとも審判員の権威が損なわれてしまわないことを願ってやみません。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。