ウクレレとSwing(スヰング)音盤

Song For Anna (1973) / Herb Ohta


ジェリー・モスとハーブ・アルパートが1962年に設立したアメリカのレコード会社、A&Mからのリリース。(別題「Ohta San Meets André Popp」でのリリースもあり。)フランス・パリでの録音による、イージーリスニングの巨匠アンドレ・ポップ(「恋はみずいろ」作曲者、オータサンはこの曲を自身のアルバム「The Look Of Love (1969?)」で取り上げていた)との共作。オータサンとは日本でヤマハが開催していた世界歌謡祭で知り合ったらしい。ここまでハワイ・日本・アメリカという三角関係の中でレコーディング活動を続けてきたオータサンが、Herb Ohta名義ではじめてその結界を飛び出しヨーロッパ(パリ)での制作に参加した、イージー・リスニング音楽のアルバム。

アルバム・タイトル曲「Song For Anna」はオータサン最大のヒット曲で、全世界でのセールスが600万枚を突破したとされる。その後CDの時代に入っても何度となく繰り返し再演・再録され、コンサートでも律儀に必ず演奏されており、オータサン・ファンにはあまりにもお馴染みすぎるシグニチュア・チューンである。

A1 Song For Anna (Chanson D'Anna)
A2 Apples Of Paradise (Toutes Les Pommes Du Paradis)
A3 One Day Of Love (Un Jour L'Amour)
A4 Living In Dreams
A5 Little Romance (La Romancita)
A6 The Sun Of My Heart (Du Soleil Au Coeur) (The Sky So Wide)

B1 A Shade Of Blue
B2 Gardens Of Marmara (Les Jardins De Marmara)
B3 Love Is Blue (L'Amour Est Blue)
B4 A Heart Too Tender (Le Coeur Trop Tendre) (Maybe Today)
B5 Keeping You Company
B6 Dawn Of Our Love (On N'Oublie Jamais) (One Never Forgets)

プロデュースはNewell Bohnett。収録曲の大半はアンドレ・ポップによるペンだが、欧州の巨匠を前にしても臆することなくオータサンも向こうを張って自作曲を二曲(A4,B5)楽曲提供もしており、ここまでに培ったレコーディング・アーチストとしての十分な経験と堂々たる自信をもうかがわせる。ウクレレ/ハワイアン人気が世界中の音楽マーケットにおいて長期低迷していた時期にありながら、本作の成功は国際的なセールスをもたらし、オータサンの全キャリアにおける代表的な一枚となったのは快挙である。

二人の相性は悪くなかったようで、10年後の1984年には再共演盤も作られたが、時代の変化を反映してサウンドのテイストは本作とはまた趣の異なる仕上がりとなっている。

セールスの規模が大きいと中古盤の流通量も桁違いに多く、入手しやすい。

さすがA&M、インナースリーブの広告は、バート・バカラック、カーペンターズ、ジョーン・バエズ、クインシー・ジョーンズ、ジョー・コッカーやビリー・プレストンなど超一流。レコード会社の住所はビバリーヒルズである。



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