ウクレレとSwing(スヰング)音盤

The Waves And The Sun (1981) / Herbert Ohta & The Surfside Orchestra

オータサン、日本制作のポリドール盤。盤面に('81)と記載があり、ジャケットの時代を反映した意匠からしてリリース年度と判断して相違ないだろう。1980年代はオータサンの全キャリアを振り返っても比較的リリースされた音盤のアイテム数が少なかった時代ではあるが、本盤のような日本制作盤まで含めるとまだまだ未知の音盤が隠れていそうな予感がある。

さて本盤のユニークさを挙げればまず、そのジャケット・デザインである。まるで山下達郎かはたまた高中正義か、といういかにも80年代の時代感覚を反映したデザイン、そしてタイトルのどちらもオータサン作品としては異色な取り合わせである。



松尾博(P.C.C.)が出がけたデザインが本盤の「売り」だったことは間違いないようで、封入されているカードがジャケットにあしらわれた南国の写真をデザインした4種類の絵葉書となっている。

ジャケットを裏返し、タスキ帯の裏面を見ると「The Waves And Starlight」なる同シリーズとおぼしき別の音盤が紹介されており、これもオータサン作品かと思いきや、カタログナンバーを頼りに調べてみると、こちらはThe Starlight Quintet なる別の演者による吹込みと判明。となるとシリーズとしての根拠は如何に、という事になるのだがこれがなんと、本盤の表側にも印刷されているキャッチコピー『南の海では波の音までが甘美な音楽になる!!』にある。

どういう事かというと、本盤収録の音源の大半はポリドールが1971年に制作したアルバム『南国の夜 / ハーバート・オオタとサーフサイド・ストリングス・オーケストラ』をベースに、一部の楽曲を差し替え、さらに原盤ではラストに収録されていた波の音や鳥の声といったトロピカルなイメージの環境音を、アルバム全編にわたって"増し増し"に追加編集した音盤なのであった。(恐らくは「The Waves And Starlight」にも同様の処理が加えられているものと推測されるが、未確認。)

収録曲は以下:

SIDE-A
1.ブルー・ハワイ★
2.タイニイ・バブルス
3.スウィート・レイラニ
4.小さな竹の橋★
5.南国の夜★
6.ダヒル・サヨ★
7.バリ・ハイ

SIDE-B
1.ひき潮★
2.バリバリの浜辺★
3.真珠貝の歌★
4.ハワイアン・ウエディング・ソング★
5.珊瑚礁のかなたに★
6.アロハ・オエ★
7.ハーバー・ライト★

★=原盤LP 「南国の夜(1971) / ハーバート・オオタとサーフサイド・ストリングス・オーケストラ」およびその再発CD「Mood Music Collection 魅惑のウクレレ名曲集 (2008) / ハーバート・オオタ」との重複収録曲

また、上記で★印のついていない(つまり重複しない)数曲も、例えばA-7「バリ・ハイ」は1970年代のハワイSurfside Records盤「Love Story」収録の同曲と同じ音源に、波音をかぶせたものと思われる事から、あちこちから既発曲をかき集めた可能性がある。

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