ウクレレとSwing(スヰング)音盤

Folk Songs Of The Balkans (1980s) / Herb Ohta (Ohta-San)


制作年度は不明だが、レーベルはオータサンの所属するマネージメント事務所の自主レーベルであるM&H。カタログナンバーがM&H2233で、ひとつ後のM&H2234がアンドレ・ポップとの再共演盤『And God Created Love(1984)』(拙稿では別題のドイツ盤CD『Sounds of Rainbows』として紹介済み』)である事から'84年以前の作と推定できる。恐らく同レーベルからのオータサン最初期のリリース作品ではなかっただろうか。同レーベルはリリース全貌が分かる資料を見た事がなく、一体全体どれだけあるのか謎である。

本盤のテーマはタイトルにある通り、バルカン民謡である。バルカン半島は世界でもロマ人口の極めて多い地とされ、同地の音楽はジプシー音楽の強い影響下にある。本盤の制作当時どのような企画意図があったかは計り知れないが、現代の耳で聴くならウクレレ演奏による唯一無二のマヌーシュ/ジプシー音楽集として捉えることも可能だろう。編曲は管弦楽器のオーケストラが加えられた荘厳な仕上がりとなっており、オータサン作品としてはかなりの異色作であり、意欲作と言えそうだ。

ジャンゴ・ライハルトはじめ多くのジプシー・ジャズのギタリストが演奏し、”ジプシー・アンセム"とも呼ばれる『Dark Eyes / 黒い瞳』(B5)もオータサンの演奏で聴く事が出来る。

A1 Two Guitars
A2 The Peddler
A3 The Shore Of Baikal
A4 Polushka Pola
A5 Mountain Of Rozaria
A6 The Road
A7 Under The Balkan Stars

B1 Misty Light
B2 Troika
B3 Red Sarafan
B4 Moscow Nights
B5 Dark Eyes
B6 Katushia
B7 Stenka Rasin

プロデュースはMignon Hickey。オータサン自身が望んだ企画を自主制作により実現した音盤か、はたまた企画として持ち込まれてオータサンが応じたものか。制作の背景に興味が尽きない、オータサンの数あるディスコグラフィー中でも異彩を放つ、一際ミステリアスな一枚である。


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