悪魔の囁き

少年時代の友達と楽しかった遊び。青春時代の苦い思い出。社会人になっての挫折。現代のどん底からはいあがる波乱万丈物語です。

若葉と青葉と紅葉と・・・

2017-05-25 10:09:56 | ギャンブル
第二話【桜のない校門】


『俺 住田さんが好きになり付き合ってくれて頼んだんだよ』
『バカ お前みたいなオカマを住田さんが好きになるわけないだろう』
『中だって 住田さんを気に入っていたじゃないか』
『だからって、抜け駆けすることないだろう』
『それはそうだっけど』
『住田さん もう来るのは辞めると言っていたよ』
『そうだろうなぁ。朝ホームで合わなくなったしなぁ』
『美人だったのに、もったいないことしたなぁ』
『もう 文化祭も来てくれないだろうなぁ~』
『そうだな』

『中 昨日、文化祭で知り合った女の子とデートする事になったんだよ』
とコマツ・スタンダードの布川が言った。
『すごいじゃねぇ~』
『しかし、2対2なんだよ』
『そうなのぅ。残念だねぇ~』と同情して言ったが、腹の中で笑っていた。
『それで、お前。行けるか 』
『なんで だよ』
『他に適当な奴がいないんだよなぁ~』
『藤吉はどうなの』
『あいつはダメだ 』
『どうして 』
『ねぇちゃん子だから、甘ったれているんだよ』
『そうだなぁ~ 何かと言うと姉ちゃんが口を出してきて、何でもやっとくれるからなぁ』
『だから、操り人形の木偶の棒になっているんだよ』
『好きな子がいるとねぇちゃん相談していたもんなぁ』
『それで、学校行く電車の中までついてきて品定めしているもんなぁ』
『孝 可愛い子だねぇ~』
『うん』
『四谷女学園だね』
『そう』
『お嬢様学校じゃない』
『そうだよ』
『告白したの 』
『まだ だよ』
『だらしないねぇ ねぇちゃんが言ってやろうか』
『いいよ』
『早く言わないと、誰かに取られてしまうよ』
『それならそれでいいよ』
『バカだねぇ 私が話してあげる』
『ねぇちゃん やめてよ 』
『どうして、好きなんだろう』
『でも、いいんだよ』
『全く 女のことになると、意気地がなくなるんだから』

藤吉のねぇちゃんは、美佐子歳は20歳、女子高を卒業して社会人になっていた。
私たちが通学する時間帯に合わせて、3つ年上の彼氏と会社に出勤していた。
『振られたらみっともないから言わないでよ』

『奴は、好きな娘いるんだよ』
『えぇ そんな女いたっけぇ』
『片思いだけどな』
『あの 意気地無しが、好きな女に“アタック”できねぇもんなぁ』
『だから、見ているだけなんだよ』
『そうだな』
『あの女も下げマンで、下げチンの男と同棲したんだよ』
『どいつと 』
『ポポで、ウエーターのアルバイトをしていた男だよ』
『あぁぁぁ~ あいつか』
『そう』
『名前なんて言ったっけぇ』
『俺も知らないんだよ。前に、一度 理恵子から聞いたような気がしたけど、覚えていないな』
『それで、何処に住んでいるの』
『2人でアパート借りたらしいけど、金がなくてカップラーメばかり食っているって、真希が言っていたよ』
『じゃ、学校はどうしたの』
『退学したみたいだよ』
『今は ガリガリになっているって言っていたよ』
『瓜実顔のいい女だけど、あぁ言う女は男を地獄に落とすタイプだからな』
『男だって甲斐性がないからアルバイトしかできないんだよ』
『子供が出来たらどうするんだろう』
『そうだよな。“マラサック”なんか買う金がないだろうしな』
『男は、親と喧嘩して家を飛び出しているし、女の方も家で同然で同棲したからな』
『男は、いくつなの 』
『俺たちより、1個上らしいよ』
『ふぅん~』
『あぁ言う女は、男と分かれても、次の男が出てきてすぐに引掛って同棲するんだよ』
『彼女としては、そんなつもりはないのだろうけで、好きそうな顔が男を招き込むんだろうな』
『損なタイプだよな』
『本人は、それでいいと思っているんじゃないか』
『モテ方が違うようだな』
『そう ゲス男に狙われるところが薄運なんだよ』
『それにしても 藤吉は 相手にされていなかったって事だな』
『藤吉も女と同じクラスの理恵子がいるんだから、頼めばいいのに、はにかんでばかりいて何も言わないんだよ』

『この前だってそうじゃねぇ~』
『なんだったっけぇ』
『ほら 毎朝電車の中で合う女子学生が気に入って、妄想が膨らんで修学旅行で九州に行った時に、彼女にプレゼントするんだって、お土産を買ってきたじゃねぇ』
『そう言うことがあったなぁ~』
『それに根性がないから・・・
『中 俺の代わりにあの子に渡してよ』
『そんなの自分でやれよ』
『断れたら恥かしいじゃねぇ』
『俺だって他人事で恥をかくのは嫌だよ』
『まぁ~ そんな事言わずに よ 頼むよ』
『そんな意気地のない事じゃ受け取って付き合っても長続きしねぇぞ』
『口火だけ切ってくれれば、後は俺が何とかするよ』
『でも 相手がどう思っているか分からないじゃねぇ』
『なに 彼女も俺のこと好きに決まっているよ』
『なんでわかるの』
『何時も同じ電車に乗っているからさぁ』
『お前 己惚れが強いのに、その先が不透明なんだよなぁ。それになんでそう思うの』
『仲間内では俺が一番いい男だからさ』
『それだけ自信があるなら自分でやれよ』
『露払いはモテない男がやって、真打は最後に仕上げで出ていけばいいんだよ』
『何処が真打よ。ただの引っ込み思案じゃないか』
『見方によってはそうだけどよぉ』
『どっちから見ても同じだよ』
『それで 明日渡してよ』
『まだ やるって言っていないじゃねぇ』
『なに 中ならできるよ』
『お前よ。他人様に前で断られたら恥をかくのはオレだよ』
『恥を書くには1人でいいよ』
『ふたけんな バカヤロー』

『結局俺が渡すことになったけどなぁ』
『あの時は散々な目にあったなぁ』
『すいませ。旅行に行った時のお土産です』
『要りません――』と押し返されたからなぁ』
『あのヤロー電車が錦糸町駅に着いたら1人で逃げ出したものなぁ』
『周りに人には笑われて、大恥かいたよ』
『それから 彼女たちも乗る電車を変えたよな』
『どこか、あの女に似ていたなぁ~』
『そうだなぁ~』
『美人だけど暗くて貧乏臭くて下げマンタイプの女だったなぁ』
『藤吉はああ言う女が好きなんだよ』

藤吉繁は、身長は160cm、髪は天然パーマの若白髪混じりで左から7;3に分けていた。
色が黒く、顔は彫りが深く、頬骨が飛び出していた。
額には5本の深いシワを刻み、眉毛が薄くて短く、一重瞼細い目が奥に引っ込んでいた。
鼻は細くて高く、眉間には神経質な3本の深いシワを刻ませていた。
鼻の下が長く、上下の唇が赤紫で薄く、裂けたような大口だった。
言うことはデカイがやることはセコく、忍耐力が無く、飽きっぽく何をやらせても3日坊主だった。
政治好きだったが言うことが的外れで、時代錯誤が大きすぎて話についていけなかった。

『もし 下げマンと下げチンが一緒になったらどうなってしまうんだろうなぁ』
『間違えなく 曽根崎心中だよ』
『若いのにかわいそうだなぁ』
『好きあって死ねればそれも幸せのうちだよ』
………………………………………………
『藤吉 彩のこと好きだって事を、理恵子の言ってもらえよ』
『俺は いいよ』
『付き合いたいんだろう』
『そうだけど』
『そんなら 頼めよ。今付き合っている奴がいないようだからさぁ』
『いいよ 俺は、彩を見ているだけでいいんだからさぁ』
『バッカじゃねぇの』
『いいんだよ それで 』
『解んねぇやつだなぁ~』

『確かに、彩も大人びていて、俺たちを相手にしないとこらがあるからな』
『そう 俺なんか話もしなければ、目のも入っていなかったからな』
『お前は、落ち着きがないし薄ペラなところがあるから、頼り甲斐がないんだよ』
『言いにくいこと、はっきりと言うじゃねぇ』
『ホントのことだよ 』
『覚えていろよ てめぇ~』
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \

『誰に 』
『なんだぁ おかしいと思うったよ』
『どぅして 』
『何時も、デカイ事ばかり言って、口ばかりじゃねぇ』
『確かに、何をやらせても、3日坊主どころか、1日で逃げてしまうもんなぁ』
『そうだよ、新小岩の駅前でチンピラに絡まれたら、1番最初に逃げたものいな』

改札を出てアーケード街に向かって歩いていた。
何時も仲間が集まる喫茶店ポッポに行くところだった。
『お前ら、金持っているか』と六人で後ろから来た。
『ないよ』と私が言いた。
『お前は 』と一緒にいた平井に聞いた。
『ありません』
横に居た藤吉と布川は無言できびすを返し立ち去った。
『あいつら、逃げたのか』
『そうみたいなだなぁ』
藤吉と布川は中学時代の同級生だった。
『お前、今度返すから20円貸してくれよ』と私に言った。
『本当に返すのかよ』
『間違えなく返すよ』
『お前名前なんて言うんだよ』
『森本だよ』
『何処の学校だよ』
『国府台学園だよ』
『そうか、藤吉と布川を知っているのかよ』
『中学時代のダチだよ』
『それなら、返さなかったら、奴らから取ればいいんだな』
『そうだ』
『もし、取れなかったら、お前を探すからな』
『いいよ』
『俺も、この辺ではダチがいるから、俺の顔を覚えておけよ』
『あぁ 』
20円を渡したが、新小岩駅で二度と会うことはなかった。

『そんな事、あったっけぇ』
『とぼけんじゃねぇよ』
『アイツ、中学校の時、副番だったんだよ』
『それで、俺たち置き去りにして逃げたのか』
『そう』
『その時盗られた、金返せよ』
『いくら取られたの 』
『2〇円だよ』
『せこいなぁ』
『どっちがセコイだよ』
『もう、時効でいいじゃねぇ』
『そういうもんじゃないよ』
『女、紹介するんだから、それで、“チャ”らだよ』
『バッカヤロー』
『それに、6対4じゃ負けるよ』
『それもそうだけど』
『だから、逃げるが勝ちだよ』
『後ろから見ていたかど、二人とも逃げ足が早かったぞぉ』
『危ないと思ったら、すぐ逃げるんだよ』
『それじゃ、捕まった俺たちが間抜けなのか』
『そう事だなぁ』
『ふたけんじゃねょ』

『なんだよ。それ 』
『初めは、一緒にいた高柳が行く予定だったんだけど、もう1人の子が嫌がったんだよ』
『何処が気に入らないて 言うの』
『下膨れで口が1本筋で目がいやらしいだってよぉ』
『そうだろうなぁ。アイツ、ガキデカに似ているからな』
『分かる 判る 』
“へぇッ へぇッ へぇッ”
『それに、エロ小説の読みすぎだからな』
『宇能鴻一郎のファンなんだろう』
『毎日新小岩駅のキヨスクでスポーツ新聞買って毎日読んでいたよ』
『人妻日記シリーズだろう』
『そう』
『奥さんの挿絵に妖艶な色気があっていいよな』
『全般は、静かに出て、中盤で期待が出て、後半で爆発するもんなぁ』
『あれにハマると止められなくなるんだなぁ』
『それで、どうする。行くか』
『うぅん~ いいけど 』
『そしたら、予定に入れていいな』
『いいよ。それで、何処で会うの』
『今週の日曜日に渋谷で待ち合わせする事になっているんだよ』
『そこまで、話が進んでいるんだ』
『そう 相手も乗る気なんだよ』
『ふぅん~ それで何処で待ち合わせする』
『そうだなぁ~ 新小岩駅で待ち合わしようか』
『何時に会うの』
『10時だよ』
『そうなると、日曜日だから、1時間で行くな』
『そうだな』
『じゃ、9時に何時ものホームで待っているよ』
『わかった』
つづく


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