悪魔の囁き

少年時代の友達と楽しかった遊び。青春時代の苦い思い出。社会人になっての挫折。現代のどん底からはいあがる波乱万丈物語です。

小金持銅銭先生のメインレース競馬予想

2017-09-30 10:36:36 | ギャンブル
「スプリンターズステークス予想」
「短距離戦はどうですか」
「抜けた本命がいないから難しいね」
「そうなると、ボックス買いですか」
「1本柱にはしにくいから、3本は立てないと当たらないかもしれないね」
「だとすると、馬単はやめた方がいいですね」
「そう。恐らく、軸が3着になるパターンだからね」
「じゃぁ~ 馬連も止めて3連複ですね」
「そうだね。複でも買う点数が多くなるから、単だとその倍は買うことになるからね」
「1番人気で決まっても可也付きますものね」
「もし、赤字になっても当たらないと面白くないからね」
「そうすると、絞らずに総流しで買いますか」
「臭いところは買っておいた方がいいね」
3連複
3 ⇒ 2 6 7 8 9 13 14 16
7 ⇒ 2 6 8 9 13 14 16
8 ⇒ 2 6 9 13 14 16

若葉と青葉と紅葉と・・・

2017-09-26 10:31:55 | 日記
第三話 [崩れる神話]


「店長。ヨツバ商事の新規オープンが決まりました」
「そうかい。それで、オープンは何時だい」
「来年のゴールデンウィークです」
「そう。よくやったね」
「ありがとうございます」
「それで、商品はどの位入りそうだい」
「用品、部品、アクセサラーは全部うちに任せてくれるそうです」
「すると、可也入るなぁ」
「金額を概算すると、1千500万円ほどになると思います」
――なるほどぉ. ――
「それで、搬入が一週間前になるので、商品手配を業務課に頼んで置きます」
「可也、大掛かりになるけど、搬入の頭数は揃うかい」
「はい。営業部だけでは、足りないと思うので、業務課の連中にも応援に来てもらうつもりです」
「そっちの方は、俺の方から根本係長に言っておくよ」
「お願いします。それと、熊倉課長は」
「課長は大川くんと同行で茨城県に出張しているから、帰ってきたら話をしておくよ」
「搬入は、課長も来てもらうと助かりますよ」
「それも、言っておくよ」
「細かいことは、後でおさらいして、抜け目のない要にしておきます」
「そうだねぇ」
「そうすれば、うちが、ヨツバ商事にどれだけ力を入れているか、持田社長も分かると思いますよ」
「うぅん~ 俺も行くかなぁ」
「店長は、オープンの時に挨拶に来てくれれば、持田社長とも話が出来ますから」
「そうか。じゃ、そうするかな」

地方課、都内課営業部は、オープン搬入は全員始めてだった。
対抗心を持っている、第二課にはオープンノウハウを聞く事は出来なかったので他店の店づくりを、見よぅ見まねで飾りつけをする事になった。
業務課でもイーストで扱っている商品を梱包しただけで値付けはしていなかった。
その為に、ダンボートの上に商品名が書いていず、平面図が商品別ゴンドラに書かれていても、梱包別に棚の前に並べる事が出来なかった。

オープン第一弾が4月29日金曜日から5月1日の3日となり、5月2日から2弾3弾と15日までオープンセールが続いた。
オープン一週間前の4月22日に、4トントラッ2台に商品を積んで、地方課営業部10人と都内課営業部5人、業務課5人の20人で午前9時から搬入が始まった。
「あるなぁ~ 何個口だ」
「70個ですよ」
「初めてだから、キツいよ」
「特売のウインドウォッシャー液とバッテリー液は、メーカーから20個口で直送されて来ます」
「それは明日でいいな」
「はい」
荷物を降ろしていて藤崎さん気がついた。
「あれ。箱の上に何も書いてないよ」
「ホントだ。これじゃ、中に何が入っているか、開けてみないと判らないよ」
「中くん。梱包した時に、ダンボールの上に商品名を書かなかったの」
「はい>皆商品を知っているので、別に書く必要がないと思いって、検品した順から箱詰めしたんですよ」
「そうかよ。一言云っておけば良かったな」
「仕方ないから、このまま二階に上げてゴンドラの前に置いて開けてみよぅ」
20人で1時間かけて二階に上げた。
「壁面の商品と判るものは奥に持っていって」
シートカバー、ボディーカバー、クッションダブル・シングル・ベビィーチェアー・マジックカーテン・サンシールド・ルーフキャリヤなど、大型用品が壁面にレイアウトされた。
「この重さだと、ケミカルだな」
「よし、賭けようか」
「いいよ。何を賭ける」
「そうだなぁ~ 生大一杯でどうだい」
――OK――
「それで、松永は、中に何が入っていると思う」
「この重さだと、俺は、ワックスだと思う」
「開けて見な」
「わぁぃ~ やっぱり、ケミカルだ」
「チックショウ~」
「遊んでないで、用途別に棚の前に並べろよ」と熊倉課長に怒られた。
「はい<<」

私は初めての搬入だったので、商品関連平面図を見ても棚に並べたり、フックに掛け方が分からず店内を“ウロウロ”するだけだった。
「12時だな、飯でも食いに行くか」と熊倉課長が腕時計を見て言った。
「そうですね。皆、飯を食いに行くよ」と藤崎さんが言った。
「何処に行きますか」
「そうだなぁ~・・・」
「車で行ますか」
「あまり遠いと帰ってくるのが遅くなるから、このあたりで探そう」
「じゃ、町田店長に聞いてみます」と藤崎さんが言った。
「そして。俺たちは、駐車場で待っているよ」

「店長。この辺に食事のできるところがありますか」
「昼飯ねぇ~」
「はい」
「この店の裏に、うなぎ屋があるよ」
「そうですか。そしたら、行ってきます」
「ごゆっくり」
「課長。裏にうなぎ屋があるそうです」
「よし。行こうか」

「こんちは」
「いらしゃいませ」
「20人だけど、入れますか」
「大丈夫ですよ」
「オッ。皆入れ」
「いゃぁ~ くたびれたなぁ~」
「しかし、進まねなぁ~」
「何飲む 」
「取り敢えず。ビール」
「おねぇさん。ビール10本お願いします」
「後、コップ20個もお願いねぇ」
「はぃ~」
「何処まで進んだ」
「荷物を降ろして、ゴンドラの前に並べたところですよ」
「そうかぁ~  なら、午後から並べられるな」
「と、思います」
「お待ちどぅ様です」
「キタ きた 来た」
「取り敢えず、乾杯 」
「かんぱい~」
「まぃぅ~♪」
「おねぇさん」
「つまみ出して」
「何にしますか」
「お新香を大皿に分けて各テーブルに出して」
「俺は塩辛も」
「僕も」
「他に食う人」
・・・?・・・
「10人分お願いねぇ~」
「はい~」
「お待ちどう様です」
「おねぇさん。うなぎの上20人前ねぇ」
「はい~<」
「値段打ちもあるな」
「ラベラーはあったけ」
「事務所ありましたね」
「後で、店長に言って借りてきて」
「何台要りますか」
「あるだけ借りてきて」
「了解」
「これだと、今日中に終わりそうもないな」
「プライスカード入れは最後にして、分かりやすい商品からゴンドラに並べていこう」
「自分の好きなように入れていいんですか」
「関連性があればいいよ」
「藤崎くん。棚ごとに、用途別の貼り紙をしておいて」
「分かりました」
「そうすれば、早く終わるだろう」
「そうですね」

「1時半か。おねぇさん。お会計してください」
「はい――」
「領収書は、イースト㈱で書いてください」
「分かりました」

PM2時から棚入れが始まった。
営業部は、多少は他社のカーショップを見ていたので、どうにかこうにか格好が付く並べ方をしていた。
業務課の連中が棚に商品入れると営業部がやり直しをしていた。
・・・?!・・・
「6時か。藤崎くん。終わりそうかい」
「無理ですね」
「そうか。じゃ、一度中断して飯でも食いに行って考えるか」
「そうしますか」
「皆。飯を食いに行くぞぉ」
「はい<~ 」
「また、うなぎ屋に行きますか」
「遠くに行くのも面倒だな」

「今晩は」
「いらしゃいませ」
「おねぇさん。また、ビール10本ね」と熊倉課長が頼んだ。
「はい」
「それと、お銚子も10本」
「はいぃ~」
「何食うかな」
「皆、好きなもの頼よ」
「はい<<<<< 」
「値付けまで行った」
「ダメですね」
「やはり、今日は、終わりそうもないか」
「――ですね」
「検品まで行けるわけないものなぁ」
「取り敢えず、特売の値付けだけでもしておくか」
「そうですね。忘れるといけないですからね」
「しかし、まいったねぇ」
「全員搬入は素人と同じですからね」
「よし。営業部はPM12時までやろう」
「業務課はどうします」
「明日品出しがあるから飯を食ったら帰そう」
“ニャリ~”
「中くん。飯を食ったら業務課は帰っていいよ」
「そうですか。それで、明日はどうしますか」
「来なくていいよ。営業部でやるよ」
「分かりました」

「町田店長。また、明日来ます」
「終わりそう」
「どうにかなると思います」
「まだ、オープンまで一週間あるから、慌てないでやってください」
「そうですね。明日で終わらない時は、明後日来て手直しします」
「そうしてください」
「商品は棚の前に置いてありますから、邪魔にならないと思います」
「二階は藤崎さんのところの商品だけですから、混乱することはないと思いますよ」
「雑貨屋さんは、いつから搬入するのですか」
「藤崎のとこらが終わったら、始めてもらいます」
「入り乱れると分からなくなるから、その方うがいいですね」
「オープン搬入は慣れているみたいだから、一日で終わるそうですよ」
・・・なるほど・・・
「それで、一階は終わりました」
「やはり、明日まで掛かりますねぇ」
「納入業者も多いですからねぇ」
「そぅなんですよ。ハコモノの見本を組み立てるのに時間が掛かっているみたいですよ」
「それに、業者さんたちで混乱していますものね」
営業部は、半分棚入れを残し、予定通り外で夜中の12時に解散した。

「中くん。昨日で終ったかい」と根本係長に聞かれた。
「いゃぁ~ 全然ダメでしたよ」
「だと、今日も営業部が行っているんだ」
「そうです」
「それなら、業務課は行かなくていいねぇ」
「はい」
「昨日は、人手不足で急ぎでない商品は出荷していないから、午前中に全部終わらせて」
「分かりました」

午後3時に値付けと飾りつけが終わり、検品を二手に別れて4時に終わらせた。
通路に平台を設置して特売品を山済みにした。
量販店に仕組みが解らない為に、日替わり商品や目玉商品を赤出で売ることが出来なかった。
ウインドウォッー液10円、バッテリー液10円、半ネリワックス280gが398円、曇り止め198円、潤滑剤198円、グローブモップ98円、カー香水が398円、HB・BKT共通汎用シートカバー3980円、12vバッテリー3980円、三ツ星オイル4Lが980円と魅力のない商品構成になった。

4月30日からのオープンヘルプは営業部が行った。
オープンヘルプは営業部が一日4人交代で行った。
「いらっしゃいませ。アクセサリー用品は二階にあります。上にどうぞ」
オープンヘルプで来ていた地方課営業部、藤崎・藤井・篠山・和久井の4人は、二階に上がってくる客を立チンボで見ていた。
「イーストさんたちの声を出してください」と町田店長に発破をかけられていた。
オープンヘルプの要領が分からず、糞の役にも立たないプライドと、恥が先に来て声が出なかった。
入口出口では、一階の納入業者が白黒、赤白のチェッカーフラッグを持って交通整理をしていた。

「ご苦労さん」と藤崎さんに沢田店長が労った。
「客の入りはどうだった」
「はい。オープン初日から駐車場は満車になりました」
「じゃ、上々じゃないか。よろし よろし よろし 」
「店内も混雑して、レジが2台でしたから裁くに大変でしたよ」
「そんじゃ、客も怒っていたろう」
「クレームは来なかったんですけど、いい顔はしていませんでしたね」
「だろうなぁ~」
「仕方ないから、仮設レジを2台つくって対応していましたよ」
「どうだい。定番も可也売れたろう」
「アクセサリー小物は、殆どが定価の二割引で売っていたので今ひとつでしたが、原価の分からない大物が売れていました」
「まぁまぁ。上々、上々。それで、特売はどうだった」
「量販店のような大胆さはなかったので、殆ど売れ残りがありましたね」
「そうかねぇ~」
「それでも、セール中の賑わいは続いていましたから、全体から見るとピットにも車が入っていた事だし、売れていたと思いますよ」
「それなら、持田社長も大喜びだっただろう」
「はい。ゴールデンウィークにオープンしたのも正解でしたよ」
「後は、リピートがどの位あるかだな」
「暫くは、マメに、訪問して様子を見てみますよ」
「それがいいなぁ」
しかし――
オープンイベントが終わると、客足はパタリと止まった。
***◆◆◆***

小金持銅銭先生のメインレース競馬予想

2017-09-23 10:15:51 | ギャンブル
神戸新聞杯予想
「セントライト記念を使わずに長距離輸送して神戸新聞杯を使うから、おかしいと思っていたら、菊花賞を使わずにジャパンカップに向かうみたいだね」
「何度も、長距離輸送はサトのクラウンやソールスターリングで結果が出ていますからね」
「やはり、馬体の大幅な増減は成長分や太目を1叩きしたのと違うからね」
「海外に目が向いていると、3000や3200メートルを使う意味がないのでしょうね」
「外国にはそんなに長いレースは、今はないからね」
「公営競馬も3000メートルはなくなりましたね」
「やはり、菊花賞は2500メートルにした方がいいね」
「そうですね。牝馬の1番強いのも出てきますものね」
「これで、牝馬が勝てば事実上3歳年度代表馬なるからね」
「それで、軸はロイデオロでいいですか」
「今まで、馬連で買うと3着になるし、馬単で買うと2着になるから、今回からは3連複でかうよ」
3連複
8 ⇒ 2 3 5 6 7 9 10 11

オールカマー予想
連複
2 ⇒ 4 5 8 9 11 14 15 16
4 ⇒ 2 5 8 9 11 14 15 16
9 ⇒ 2 4 5 8 11 14 15 16
14 ⇒ 2 4 5 8 9 11 15 16

若葉と青葉と紅葉と・・・

2017-09-22 09:52:35 | 日記
第三話【崩れる神話】


「そでいいんだよ。以下に、時間をかけて商売をするかだからな」
「でも、あまり長いと、逆に嫌われてしまいますよ」
「そのくらいしつこくないと、注文は貰えないよ」
「そうですかねぇ~」
「何しろ、訪問したら相手が根気負けするまで、居座り注文を出させるんだよ」
「課長はそうして売上を伸ばしたんですか」
「そうだよ。やる気と、根気と、集中力で、お得意先を納得させるんだよ」
「誠実さはいらないのですか」
「お前、そう言う揚げ足を取るから嫌われるんだよ」
「そうか。自分じゃ、気がつかないうちに言っいるんだなぁ」
「得意先に行ったら、言葉を選んで慎重に話をすれば、嫌われる事はなくなるよ」
「これからは、肝に銘じて得意先周りをします」
「その息で、頑張りな」
「はい< 」
「オッ 1時だ。今月の目標を達成して来い」
「分かりました< 」と立ち上がり後ろを振り向いた。

「いつまでやっているんだ。仕事に行け」と石野係長に怒られた。
「うるせぇな。これから出かけるんじゃねぇかぁ。この タコヤロ――」
と腹の中で口答えした。
***◆◆◆***

PM6時になると、麻布店で将棋好きの連中を12人集めて、参加料金一人千円を出し合い、優勝賞金1万2千円を賭けて将棋トーナメントと開いた。
噂が流れ、野次馬が集り大人数になると、必ず博打好きがいた。
高校野球でも何でも勝負になると、出馬表の枠順を作り出場者の経歴まで書き込み連勝複式を買わせた。
「うまいもんだなぁ~」
「プロだよ」
「よく、ここまで情報を知ることが出来ましたね」
「綿貫主任も競馬好きだし、15年イーストにいるから殆どの社員情報は知っているんだよ」
「昨日今日で出来るもんじゃない訳か」
「まぁ~ そんなところだな」
「本命は◎誰なの」
「やはり、熊倉課長だな」
「対抗は○ 」
「内勤セールスの下村さんだな」
「穴は△ 」
「業務課の乾さんだよ」
「大穴は×× 」
「無印の、瀬川かな」
「誰が勝ちそうだい」と沢田店長が聞いた。
「おそらく、熊倉課長だと思いますよ」
「課長はそんなに強いのか」
「他の連中より頭2つ抜けています」
「ふん~」
「店長も買いますか」
「買うから、俺にも出馬表をくれよ」
「はい」
「それじゃ、店長も参加でいいですね」
「よろし――」
欲の皮がツパッた30人から賭け金が30万円集まった
1枠・△1番、乾、業務課所属、気が弱い性格が、上位に食われている。
2枠・2番、上村、業務課所属、決め手がない為に詰が甘いが、ツボにハマると一発がある。
3枠・○3番、下村、都内課電話取り所属、先手になると、大崩しないのが強み。
4枠・×4番、片岡、都内課電話取り所属、銀櫓を組むとしぶとく粘る。
5枠・5番、瀬川、地方課電話取り所属、相手なりに手を打てる。
5枠・◎6番、熊倉課長地方課所属、テンよし、中よし、終よし、守りと攻めのバランスがよく不動の本命。
6枠・7番、鶴見、都内課電話取り所属、後手に回ると何処にも来ない。
6枠・8番、中、都内課営業所属、根気がない為に、先手を取っても、後手に回っても詰めきれない。
7枠・▲9番、野島主任業務課所属、守ると弱く攻めると強い。
7枠・10番、三浦、電話取り所属、気むらの為、何時勝つか分からない。
8枠・注11番、増山、地方課電話取り所属、忘れた頃来て、一発大駆けがある。
8枠・12番、渡部主任業務課所属、詰が甘いため切れ味なし。
不公平が無いように強い者は強い者同士弱い者は弱い者同士で戦った。
午後6時から4階の営業部で始まった。
縁台将棋なので、一局1時間程で終わった。
熊倉課長VS下村都内課電話取り・乾業務課VS瀬川地方課電話取り・渡部業務課主任VS三浦電話取り・中都内課営業VS上村業務課・鶴見都内課電話取りVS増山地方課電話取り・野島業務課主任VS片岡都内課電話取りで、一日目一回戦を戦った。
熊倉課長VS乾業務課・瀬川地方課電話取りVS中都内課営業・増山地方課電話取りVS島業務課主任で、二目日に2回戦を戦った。
大波乱が起き、大本命の熊倉課長が2回戦で消えた。
三日目決勝戦は乾業務課VS中都内課営業VS増山地方課電話取の、三つ巴で3回戦を戦った。
2勝した者は優勝となった。
ジャンケンで対戦を決めた。
“ジャンケンポン”
業務課のコーヒー買いでペテンに引っかかった私がパーを出し勝った。
決勝戦が始まった。
乾業務課VS増山地方課電話取、玉手雪隠詰で、乾さんが勝った。
四日目、乾業務課VS中都内課営業、逆転一手で私が勝った。
五日目、中都内課営業VS増山地方課電話取、私の得意技穴熊を崩せず、私が勝った。
馬の2着争いで、乾さんが勝ち、連勝複式1-6で決まった。
茶封筒に入れた賞金1万2千円を有り難く受け取った。
「おめでとう 」
「有難うございます」
「優勝の挨拶をして」と熊倉課長に言われた。
このたびは、多くの強豪がいる中か、皆様方のご声援に後押しされて、らみごとに、第一回将棋大会で優勝することができたことは、この上もない歓びです。
ますます将棋道に精進して、次回も栄えある将棋大会での、優勝を狙っていきたいとおもっています。
本日は、第一回将棋大会を企画していただいた、幹事様ならびにご参加の皆さま、誠にありがとうございました。
会社に置いてある、マニアル本を参考にして挨拶した。
拍手!! ――喝采!!
ノーマークの私が勝ち大穴が空いてしまい誰も的中しなかった。
私も自分が勝つと思っていなかったので買っていなかった。
集まった金は返さず関係者全員、食堂で宴会をした。
「上村と沢田でキリンビール大瓶30本。剣菱6本、買ってきて」
「寿司屋にも寄って10前頼んできて」
「分かりました」
「後は、自分の好きなつまみを買ってこいよ」
業務課の若手が手分けして宴会の準備をした。
***◆◆◆***

「バカ< 何でお前が優勝するんだよぉ」
「大損だよ。金返えせ。コノヤロ――」とおめでとうの祝福の言葉より罵声の方が多く飛んだ。
「中。お前は、買っていたよな」
「とんでもない。買ってねぇよ」
「どぅして。だいたい、自分から買うのが当たり前だろう」
「絶対に、俺は勝てないと思っていたから、買う気がなかったんだよ」
「来ないと分かっていても、保険として1〇〇円で自分か総流しをするんだよ」
「そこまで、気が回らなかったな」
「だから、競馬も抜け目になるんだよ」
「そうだなぁ。1着が来ても2着のヒモを買ってないものなぁ」
「次はないからな」
「俺もそう思うよ」

不思議な事に私はゴルフコンペでも人気が無いと優勝していた。
穴人気になるとドン尻負けをした。
「お前は解んねぇなぁ~」
「何が」 
「買うと来ねぇもんなぁ~」
「俺、プレッシャーに弱いから、期待されると肩に力が入って実力が出せないんだなぁ~」
「タコ助。練習しないからだよ」
「練習しても金の無駄だよ。そんな金が有るなら酒と女に使うよ」
「それも、そうだよなぁ」
「コースに出て実践練習で十分だよ」
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \
「俺は、別定戦だとダメだけどハンデ戦だと力を出すからな」
東京の狭いゴルフ練習所だとネットの真ん中に当たった。
「ナイスショット」
其の距離まで飛んで当たっても実践だと、其の後からボールが右に大きくスライスするので実践には参考にならなかった。
得意先の週一ゴルフで、三回コンペに優勝した。
優勝カップのリボンに初めてサインをするので、舞い上がった。
黒のマジックで書き込もうとするとリボンの目が粗く、名前が滲んでしまいミミズが這ったような字になってしまった。
歴代の優勝者と並んで自分の名前が優勝カップのリボンに下がっていると、優勝した実感が沸いてきて嬉しくてたまらなかった。
「優勝のご挨拶をお願いします」と祝賀会で言われ満願の笑顔で挨拶した。
“いざ”となると・・・
考えていない珍事でしたので挨拶の仕方も分からず、自分で何を言っているか判らなくなった。
それからイナボレスのチューちゃんとも呼ばれる事になった。
***◆◆◆***



沢田店長も運が悪かった。
太田課長横流し事件、松島商事商品貸出事件、佐藤一味の商品窃盗横流し事件など次から次と発覚して店長としての監督不行き届きの責任が問われ始めていた。
就任して一年、量販店が伸び盛りの時に、SS業者の得意先が多摩に大型カーショップをオープンする事になった。
「藤崎さん。来年の4月に多摩にカーショップをオープンさせようと思っているのだけど、イーストがメインで商品搬入してもらえるかい」
「初耳ですね」
「私独自の計画で、他の仕入れ業者には、まだ、話はしていないのだよ」
「それじゃ、噂は流れないですね」
「最近は、用品業界も量販店に押されて何処も売上が落ちているから、ここで、大型カーショップをオープンさせて、お客を引き戻そうと思いっているのだよ」
「場所は見つけてあるんですか」
「自前の土地だから、まるっきりゼロからのスタートではないのだよ」
「それは、いいですね。それで、敷き坪はどのくらいになるのですか」
「300坪の敷地に建坪が二階建て100坪で、駐車場が100台止められるようになるのだよ」
「可也、カーショップとしては、大きいですね」
「ホームセンターもカー用品には力を入れてピットを持っているから、こちらもピットを充実して行きたいと思っているのだよ」
――なるほどぉ. ――
「それで、オープンの日程は決まっているのですか」
「4月末から5月のゴールデンウィークにオープンの予定なのだよ」
「ほぅほぅほぅ・・・」
「店舗申請が12月に通ると思うから、1ヶ月後には工事を始められるよ」
「それなら、予定通りに行きますね」
「それで、搬入はオープンの一週間前にやって欲しいのだよ」
「それだけ時間があれば、楽に出来ますよ」
「それなら、二階の用品アクセサリーや部品は、藤崎さんのところに全部任せるから、ゴンドラを埋めてもらえるか」と平面図を見せられた。
「壁面を入れた60本ですね」
「全部埋められるかい」
「出来ると思います」
「後は、日用雑貨を置くのだよ」
「日用品なら足が速いから回転率が上がっていいですね」
「只、利益率が低いのだよ」
「雑貨用品は、そんなに掛率が悪いのですか」
「初めて扱うから安いのか高いのか判らないのだけど、業者の言うことには量販店も同じらしいよ」
「ふぅん~ 」
「それで、カー用品も量販店と同じ店づくりにして欲しいのだよ」
「それでは、商品構成は用品アクセサリーを中心にレイアウトしますよ」
「それなら、売れそうだなぁ~」
「本当は、お客は、二階に上がるのは面倒になるから、平屋がいいらしいけどね」
「魅力のある用品が豊富にあれば、お客も二階に上がってきますよ」
「それで、どのくらいの商品アイテムを入れることが出来る」
「ゴンドラの本数に寄って変わりますけど、見せる商品と売る商品で2千アイテムは収めることが出来ると思います」
「それだけあれば、ボリュウムが出るな」
「それで、他の卸業者の納品はあるのですか」
「一階は、オーディオ・フォーグランプ・アルミホイール、各、メーカー純正社外のオイル、レジャー用品など金額の張る大型商品はメーカー直で納品して貰うのだよ」
…..なるほどぉ.…
「ピットはタイヤメーカーが工具など揃えてくれるので、任せることにしたのだよ」
「外装部品用品は、何処のカーショップも、メーカー直ですからね」
「これなら、量販店に負けない店づくりが出来るだろう」
「で、しょうねぇ」
「チラシも2万枚は撒くつもりだよ」
「そうすると、オープン特売は、赤を切らないとダメでしょうね」
「そうだね。目玉商品や日替わり商品は、最大の客寄せだからね」
「やはり、魅力がある商品じゃないとダメですものね」
「この前、近所にオープンしたホームセンターのチラシがこれなのだよ」
と二つ折りの大判チラシを見せた。
「いやぁ~ 大きいですねぇ~」
「日替わりと目玉商品が第3弾まで載っているのだよ」
「こんな値段、何処が出すのですかね」
「量販店専門の卸問屋があるのだろうな」
「ウインドウォッー液1円、バッテリー液1円、半ネリワックス350g、98円。曇り止め98円。潤滑剤98円。グローブモップ10円。カー香水が198円。HB・BKT共通汎用シートカバー980円。12vバッテリー1980円。三ツ星オイル4Lが398円!?考えられない値段ですね」
「どうも、オイルは財閥系の商社らしいよ。解るかい 」
「おそらく、量販店だけに取引のある卸問屋かもしれないですね」
「間違えなく、赤出しだと思うけど、何処が出しているかだよね」
「可也、大きい問屋か、バッタ屋が入っているかですね」
「だから、量販店と取引のある問屋は、今回は遠慮してもらったのだよ」
「コンパイヤーやルールサービスに吉橋ブラシですね」
「うん――」
「このチラシを預かって行っていいですか」
「いいよ。これで、同じものが出せるか検討してもらいたいのだよ」
「これから帰って沢田店長と相談して“よろし”が出たら、特売リストを制作して持ってきます」
「宜しく、頼みますよ」とヨツバ商事の持田社長が頭を下げた。
「出来るだけ期待に添えるよう、前向きに努力します」
「近いうちに、私から、沢田店長に挨拶に行きますよ」
「社長。気を使わなくてもいいですよ。こちらから挨拶に来ますから」
「御社には、可也、無理な事をお願いするからね」
「我が社は業界でも最大手ですから、大船に乗ったつもりでいてください」
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \
「うちも、このくらいの大きなカーショップは名古屋に直営店を持っていいますから、それを参考にして商品構成しますよ」
「売れているのかい」
「調子はいいみたいですよ」
「そう 」
「じゃ、リストを持って、また来ます」
「よろしくお願いしますね」
「はい<――」
***◆◆◆***

若葉と青葉と紅葉と・・・

2017-09-19 10:08:46 | 日記
第三話【崩れる神話】


北海道支店から北海の【黒熊】沢田剛店長、【白熊】熊倉義雄課長が揃って栄転して来た。
沢田店長は北海の黒熊とアダ名を付けられるだけあり、色が真っ黒だった。
年は50歳、身長は150cm、額が狭く3本の深いシワを刻ませ、髪が一本一本太く生え際はと眉が近く、額を無くすほど剛毛で、右から7:3に分けた髪には白髪がなかった。
耳が大きく、濃いソース顔で三波伸介さんに似のブルドック型で四角い顔にシミが多く、眉毛が太く、二重瞼にドングリ眼でパーツ全体が鼻を中心に集まっていた。
低くい鼻が短かく、三角形で鼻の穴が上をくいて広がっていた。
鼻の下が長く、上下の唇が厚く、ヒゲが濃く朝剃って来ても昼には伸びていた。
首が太く、肩幅が広くヘビースモーカーだったので歯黒く黄ばんでヤニだらけだった。
手足が短く、がに股で、猫背で腹が出ていた。
仕事でも遊びでも決定ごとはガラガラ声で口を尖らせてツバキを飛ばして・・・
「よろし――」の一言が口癖はで、全て決めていた。
暇になる土曜日は仕事時間中に長デスクで真剣な顔で?資料を見ていた。
・・・うぅん~?・・・
「何か難しい事考えているのかな」と心配する程眉間に三本縦ジワを刻ませていた。
「何だろう」
出荷伝票を取りに行ったついでに、後ろに回って、ちらりと覗くと競馬の予想をしていた。
「へぇぇぇ~ なんじゃい」
「これで、よろし」
――決まったようだ。
昼休みになると会社の真向かいにある喫茶店コアに入った。
湯川マスターの知り合いがノミ屋をしていたので連勝複式を頼んでいた。
「マスター。10レース、1-1、1-3、1-6、3-6。11レース、1-4・1-5、1-6、4-5・4-6、5-6を千円ずつお願いします」と1万円を出した。
「いいところを突いていますね。それに、1-1は必ず買いますね」
「1-1のゾロ目が好きなんだよ」
「何度か大穴でも当てたんですか」
「昔、220倍の万馬券を当てた事があったのよ」
――なるほどぉ~. ――
「あの夢をもう一度ですね」
「まぁ そんな事かなぁ」
「中さんも好きで、1-1・8-8は必ず買いますよ」
「だから、最近1-1が来ないのか」
「店長も、ひどいこと言いますね」
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \
「一番人気から薄めに流して、保険でボックスにしてみたけど、マスターどう思う」
「頭は堅いと思いますから、ヒモは4番人気以下でいいと思いますよ」
「よろし――」
「日曜日の分は、明日自宅に電話しますよ」
「いいですよ」
「電話するのは、俺だけかい」
「いや、皆さん方、注文してきますよ」
「やはりねぇ~」
新橋ウインまで買いに行くのが面倒なので競馬好きの(私も入れて)社員全員が頼んでいた。
沢田店長は札幌支店長が長く、遊びは競馬しかしていなかったので博才があるのか一頭一頭全レースのデーターを分析していた。
「この馬から入るかなぁ~・・・
これで よろし――」と買うと予想通りに当たり続けていた。

30代の着物を着たお姉さんが、月曜日にハズレ注文の金を回収に来ていた。
平の社員や沢田店長の当たり分も4回5回分は月曜日に持ってきていた。
沢田店長は当たり続け配当金が溜まっていた。
昨日までの当たり馬券を催促に、昼休みにコアに行った。
「ノミ屋、金持って来ないけど、どうなりました」と湯川マスターに聞いた。
「今まで月曜日に金を持って来ていたんですけど、最近来ないのですよ」
とすまなそうに言った。
「可也貯まっているので、どうなったか聞きたくて来てみたんだけどねぇ」
「何度電話しても、相手が出ないんですよ」
とマスターにしたら大事なオマンマの種のお客様だったので困っているようだった。 
「店長。どうしたんですか 」
「ほら、あそこのノミ屋が金持ってこないんだよ」
「万馬券でも当てたのですか」
「それもあるけど、今まで当てていた分だよ」
「そんなに、当てていたのですか」
「うん。おそらく、50万円は貯まっているな」
「へぇ~ それは、大きいですね」
「なんだよ」
「ノミ屋のお姉さんは銀座のホステスだから、飲みに行って聞いてみればいいじゃないですか」
「いや、行ったら帰って高くつくよ」
「接待費で落ちるじゃないですか」
「それもセコイしなぁ~」
「そうですよね。それに飲み代を、当たり分から引いておいてとは言えませんものねぇ」
「ホントだよな」
「中くんは、銀座の店に行っているのかい」
「最近、ブルームーンも高くなったから行っていないんですよ」
「それじゃ聞けないな」
結局、回収する事なく退職する事になった。

熊倉課長は、白熊と言われるだけあって、柔道の無差別級の体格で色白でホクロが多かった。
年は43歳、身長は185cm、額が広く、7本の深いシワを刻み、髪は薄く左から7:3に分けていた。
下膨れのおむすび顔でヒゲがなく耳が大きく、眉毛が薄く、一重瞼に細い目で、黒縁の四角いメガネを掛けていた。
鼻が大きく、ワシ鼻の先端が長い鼻の下に近づく程だった。
上唇が薄く、下唇が厚くタラコ型だった。
登山家で世界の美山カレンダーを地方課営業部室に飾っていた。
「課長。これの何処がいいんですか 」
「ユー、山の魅力が分からないのかねぇ」
・・・うぅん~?・・・
「この、ナイアガラの滝を見てみろよ。どうだ。感動するだろう」
「俺だったグラビアアイルのカレンダーの方が、目の保養になりますよ」
「中くんとは美的センサが合わないな」
「俺は、現実主義ですから」
「君だって、外国の山を見れば、その素晴らしさが分かるよ」
「そうですかねぇ~」
酒と将棋が大好きで、昼休みになると毎日相手をさせられた。
「中くん。将棋教えてあげるからこっちに来いよ」と無理やり客用の応接セットに座らされた。
「もう一番」と私が勝つと負けず嫌いの性格で営業に出られなかった。
沢田店長の後ろの壁に掛かっている時計を見た。
「後残り五分か――
「王手、王手、王手、王手」と強引に、詰に行き差し切りでわざと負けた。
「弱いなぁ~ 明日も揉んでやるよ」
「いやですよ」
「何で 」
「負けるのが分かっているから、面白くないし時間が無駄じゃないですか」
「何言っているんだ。これも仕事のうちだよ」
「得意先に行っても将棋はしませんよ」
「訪問して将棋をやるようでないと、売りあげは上がらないよ」
「好きな人がいればやりますけど、嫌いな人だと、とっとっと帰れと言われても、将棋をやろぅなどと言う奴は、まず、いませんよ」
「お客に対して、奴はダメだよ」
「ふざけた事ばかり言われていると、言いたくなりますよ」
「今度、同行してやろうか」
「いいですよ。課長が来ると、話が長くなりますからねぇ」

付いてこられると不味い理由があった。
自分の行きやすい得意先には長話して、相手にされない得意先は・・・
「こんちわ」
「なんだい」
「何かありますか」
「ないよ」
「んじや。サヨナラ」
「ご苦労さん」
「よろしく」で顔だけ見せて帰った。
その中でも、SS業者は、商品がガソリンに化けなくなり、サービスステーションの景気が悪くなった。
この時期までは、東京には環状線や国道に、二階建てのカーショップが出来ていた。
マイカーをピットに入れて、ドレスアップしている時間を待っている間に、二階に上がり用品アクセサリーや部品などを衝動買いしていた。
車を100台以上止められる駐車場付きで、客の入りやすい150坪の平屋でオープンが出来なかった。
それに郊外に行かないとホームセンターなどの量販店を建てられる、1000坪前後の土地がなかった。

ガソリンスタンドで燃料を入、洗車している間にカー用品を買っていた。
サービスステーションが最盛期の景気の良い時代は、カー用品、部品、アクセサリー、季節物用品、雑貨、など客が欲しがる商品を棚に並べたらたり、レジ前に置いておくと衝動買いをしてくれた。
「毎度」
「ご苦労様」
「新製品を持って来たんですけど置いてもらえますか」
と1ダース入り台紙付きセットを見せた。
「ライターかぁ~」
「そうです。新型のICです」
「点けてみてよ」
“カチッカチッカチッボッ~”
「いいですねぇ~」
「今までと違ってローラーを回さなくても、ワンタッチで着火するんですよ」
「ほぉ~ 便利になったんだねぇ~」
「これからは、ICの時代ですよ」
「それで、返品は出来るの」
「出来ますよ」
「それなら、試しに1セット置いていってよ」
「何処がいいですかね」
「金額も張るし、万引きされるから、レジ前に置いて下さい」

「この、ICライター点きがいいねぇ」と長距離トラックの客が試し火を出していた。
「新製品で業者が持って来たので昨日から置いているんですよ」
「いくらなの」
「5千円です」
「じゃ、この黒、貰うおか」
「現金でいいですか」
「ガソリンを入れたことにして付けておいて」
「分かりました」
「この、背当て付き冬物クッションいくらだい」
「3千円です」
「これも、買うからガソリンに付けておいて」
「ありがとうございます」

「いらっしゃいませ~ こちらにどうぞ~」
「オーライ~ オーライ~ オーライ~ ストップ――」
「いらしゃいませ」
「レギュラー満タンにしてください」
「お客様。ガソリンカバーを開けてください」
車から降りて、店内に入って行った。
「お客様。20リッター入りましたので、お会計をお願いします」
「いくらだい」
「消費税込で6030円になります」
「それと曇り止め、ウインドウォーシャー液、バッテリー液もね」
「現金で買いますか」
「いや、燃料を40リッターにしておいて」
「分かりました」

「この、カタログのマグネット付きクッションは在庫ある」
「それは、受注販売になります」
「長距離運転で、腰が痛くてしょうがないから、取り寄せてもらえる」
「いいですよ」
「いつ頃、入る 」
「業者さんに、確認してみます」
「お願い」
☎♪゜・*:.。. .。.:*・♪
“もしもし”
「マルカワ商事です」
「墨田商事です」
「毎度どうも」
「早速なんですけど、この前置いていったカタログのマグネットクッションはありますか」
「ありますよ」
「じゃ、チョット待ってよ」と電話を手でふさいだ。
「お客さんあるそうです」
「それなら、取り寄せて」
“もし”
「はい」
「お待たせ。注文が入ったから、一枚持ってきて」
「分かりました」
「いつ入りますか」
「在庫があるので、明日、午前中に持って行きますよ」
「お願いします」
「お客様。明日入ります」
「そう。それなら、明後日来るよ」
「お待ちしています」

「まいど~」
「ご苦労様です」
「一昨日の注文分です」
「来た。これ、仕切りいくら」
「定価5千円の7掛けです」
「そう。ありがとう」

「入った」
「はい。これですよね」
「あぁ。これだ、いくら」
「5千円です」
「高いな。少し値引きしてよ」
「うぅん~ じゃ、一割引きます」
「サンキュー」
「伝票はどうしますか」
「金額が大いから、2千5百円は現金で払って、残りの2千円は、いつものようにガソリンに化かして」
「了解した」

「お待ち道様です。伝票にサインをお願いします」
「あいよっ」
営業車のほとんどは、ガソリンに化かして買っていった。

全国の国道バイパスには24時間営業の大型サービスステーションが内回り外回り左右挟んで、1キロ間隔で立ち並んでいた。
駐車場には仮眠の出来る場所を確保して、店内には浴槽を完備していた。
一週間家に帰らないトラック運転手が生活用品を揃えていた。
ヘアーシャンプ、石鹸、歯磨、歯磨粉、タオル、トランクス3枚組、肌着Tシャツ、10枚組靴下、安全カミソリ、電気カミソリ、カップ麺、スナック菓子、菓子パン、その他雑貨小物を燃料やオイル交換などに化かして買っていた。
仮眠するトラック用敷布団定価6千円前後を、サービスステーション買い泊まっていた。
「AM5時に起こして」と従業員に頼んでいた。
「分かりました」
ガソリン代がカード決済になると、商品を燃料に化かす事が出来なくなった。
その為に、SS業者も売上が落ち出し、一気に下り坂になった。
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