悪魔の囁き

少年時代の友達と楽しかった遊び。青春時代の苦い思い出。社会人になっての挫折。現代のどん底からはいあがる波乱万丈物語です。

若葉と青葉と紅葉と・・・

2017-10-31 10:29:49 | 日記
第一話[左馬](一)


「今晩は」
と入ると4坪ほどの細長いスナックパブで長いカンターの後ろに畳が敷いてあり4人座りのテーブルが2つ置いてあった。
「いらしゃいませ」
「もう終わりなの」
「あと、30分ありますよ」
「じや、飲んでいくか」
「水割りでいいですか」
「いいよ」
「お客さん。東京から来たんですか」
「そう」
「善光寺参りですか」
「いや、仕事ですよ」
「長野は初めてですか」
「大峰商事の仕事ですよ」
「あぁ。リンゴですね」
「違います。ホームセンター事業部ですよ」
「そんなのあったんですか」
「新しく出来たんだよ」
「それで、ホテルに泊まっているんですか」
「そこの、シティーホテルだよ」
「そうですか」
「オープンしたら来てくださいよ」
「何処ですか」
「若槻ですね」
「そこなら近いから行きますよ」
「よろしくお願いします」
「何処かで飲んで来たのですか」
「権堂ですよ」
「あそこは景気がよかったでしょ」
「何処の店も入っていましたね」
「うちは権堂から外れているから、客が流れてこないのよ」
「何、暇なの」
「バブルの頃は毎晩満員だったんだけど、弾けたら毎日まばらよ」
「そうなんだ」
「オープンしたら、また来られるのですか」
「搬入の時は来るけど長野の担当者は別なんだよ」
「だと、今回1回きりですね」
「ホテルに泊まるから、その代わり、担当の者にこさせるよ」
「そうしていただくと、有難いですね」
「そのうちの得意先の連中も連れてくると思うよ」
「そうしてくれると、助かるわ」
「それで、ママ1人なの」
「今日は早めに帰ったけど、女の子が1人いるのよ」
「いくつぐらいの娘」
「27歳だったかしら」
「あいつは女好きだから喜んでくるよ」
「可愛い子だから手を出されては困るけど、来てもらわないと店を閉めなければならなくなるしね」
「俺もたまに来るから潰さないでよ」
「わかりました」
・・・
「じゃぁ~帰るかなぁ」
「ありがとうございました」
「ママも帰るの」
「片付けてからよ」
「どう。行かない」
「いいわよ」
******


「昨日、中と別れてから、飲み足らなくて外に出たんだよ」
「何処かいい所あった」
「それで【よっこらしょ】と言うパブに入ったんだよ」
「変わった名前だなぁ」
「ローカルらしくていいじゃない」
「この辺にそんなところあった」
「お前は、酔っていたから気がつかなかったけど、ホテルの裏にあるんだよ」
「それで、車で来た時に分からなかったのか」
「そう。大通りの横道に入る形になるからな」
「面白かった」
「11時過ぎていて店仕舞いする所だったんだけど、1杯だけと言う事で飲ませて貰ったんだよ」
「何処に泊まっているんですか」
「そこの、シティーホテルだよ」
「近いのねぇ」
「店を閉めたら寄っていかない」
「いいわよ」
「それなら、早く閉めよう」
「チョット待ってねぇ~」

「それで部屋に来たんだよ」
「へぇ~ 気がつかなかったなぁ」
「それで泊まっていったの」
「いいゃ、一時間ぐらいで帰ったんだよ」
「でも、ダブルベッドで良かってねぇ」
「もしかしたら、こうなるからダブルベッドの部屋しか空いてなかったんだなぁ」
「それだけいい思いをしたんだから、俺に感謝してよ」
「お前も今度行ってこいよ」
「ママはいくつなのよ」
「俺と同じぐらいに見えたから40代だろうなぁ」
「一番美味しい年齢じゃない」
「良かったよ」
「へぇ、へぇ、へぇ、へぇ・・・
うまくやったねぇ~」
「たまたま運が良かっただけだけど、俺ぐらいの年になると40代以上の女は結構モノに出来るんだよ」
「そんなもんかねぇ~」
「50代60代でもOKだからなぁ」
「ママ一人なの」
「若い子も1人雇っているみたいだよ」
「カラオケはあるの」
「そう。カラオケバーみたいなもんだよ」
「なら、今度行ってみるわぁ。それでボトルは入れてあるの」
「時間がなかったから入れなかたよ」
「そうかよぉ。入れておいてくれれば良かったのに」
「失敗してなぁ。どのみち、搬入の時は来るから入れておいても良かったなぁ」
「そうだよ。そうすればお客さんも連れて行けるよ」
「接待に使えるか」
「話のタネにもなるしね」
「話が決まったら、早めにホテルの予約しておいてなぁ」
「シングルにする。ダブルにする」
「そうなに上手くは行かないからシングルでいいよ」
「ほんじゃ、俺はダブルにするかなぁ」
「無欲だから出来たんで、下心丸出しでは見破られて誰も付いて来ないよ」
「それもそうだねぇ」
「それに、チェックアウトする時に、連れ込み代金2千円追加で取られたよ」
「へぇ~ ホテル側もしっかりしているねぇ」
「泊まりだと、もっと取られたかもしれないなぁ」
「それでも、ママ代はタダでしょう」
「そうだよ」
「2千円で“やれた”と思えば大儲けだよ」
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \

5月20日9時半にHCジョイマートの親会社大嶺商事の本社に行った。
本社の玄関入口に説前会会場の案内が出ていた。
「お早うございます」
「ご苦労様です」と本部の事務員さんが受付の前に2人立っていた。
名札を見ると左が向井加奈子。
右側が勝田知子と書いてあった。
「シンワ㈱です」
「お世話になります。お名前をお書きください」と名簿長を示した。
「専務。俺は字が汚いから代表で書いてよ」
「だめだよ。自分の名前ぐらい書けよ」
「いゃぁ~ 俺が書くとミミズが這った字になるんだよなぁ~」
先に専務が小さい丸みのあった名前を書いた。
「専務。字が上手いね」
「当たり前だよ。自分の名前ぐらい、まともに書けなければ恥ずかいいだろぅ」
「俺なんかボールペンで書いても、ツイストを踊っているような字になるんだよ」
「確かにお前が伝票にサインするとフラダンスになるものなぁ」
「そうなんだよねぇ。まして、筆ペンで書いたら、フラメンコを踊りだすよ」
「こう言った企業同士の会合に出る機会が多くなるから、綺麗に書く練習をしておけよ」
「分かってはるんだけどねぇ~」
「分かっているんだったら、明日からでもやれよ」
「なんか家に帰ると、何もしたくなくなるんだよなぁ」
「晩酌をやめればいいんだよ」
「それだけは、絶対無理だよ」
「それなら、飲む1時間前に30分でいいから練習してみな」
「恐らく、手が震えて書けないと思うよ」
「それじゃぁ~ アル中だよ」
「オレは、気狂い水なんだよなぁ~」
「たしかに癖が悪いし、普段から落ち着きがないからだよ」
「そうかなぁ~」
「精神統一して、1文字ずつゆっくり書いてみなぁ」
「なんか、面倒臭くなるんだよなぁ」
「30歳過ぎて、まともな字も書けないんじゃみっともないぞ」
「そうだなぁ~」
「今からでも遅くないから練習してみな」
「家に帰ったらやるよ」
「今日は汚い字でも構わないから、書けよ」
「うん。 どうですかぁ」
「本当に、汚いや」
「中さん面白い――」
・・・オホホホ・・・
「別にウケを狙った訳ではないいんだけどねぇ」
ハハ八八ノヽノヽノヽノ \
「ありがとうございます」
「会場は何階ですか」
「6階の会議室になります」
「このまま入っていっていいのですか」
「どうぞ左のエレベーターでお上がりください」
「中。左の娘。色が白くて可愛い子じゃない」
「左の娘。宮野さんのコレかなぁ」と小指を立てた。
「違うだろう」
「判んないよ」
「いくつかな」
「二人共22歳ぐらいかなぁ」
「そんなもんかしれないな」
「お前。絶対手を出すんじゃねぇぞう」
「俺は誠実が売りだから、お得意さんにそんな事はしないよ」
「それならいいけど。狭い街だから直ぐに噂になるよ」
「でも、面白くなりそうな気がしますよ」
「そうだな。第二課の時も長野に得意先はなかったからな」

6階に着き、扉が開くと会議室のドァーが開いていて宮野課長と20代の男性が立っていた。
「お早うございます」
「ご苦労様です」
「昨日は、お泊りですか」
「はい」
「権堂はどぅでした」
「ホント。面白かったですよ」
「スタンドバーに入ったら大嶺商事の事は知っていましたよ」
「うちは長野では信濃工業と二分する大手だからね」
「そうなんですか」
「するとホームセンターシナノの親会社ですか」
「そう。これから、HC事業部でも商売敵になるんですよ」
「それでは気合を入れて後押しないといけないですね」
「そうですよ。東京のノウハウを存分に使っていい店づくりをしてください」
「任せてください。私。プロですから――」
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \
「そうだ。時田くんです」
「時田義明です」と名刺を出した。
「大村です」
「中です」と交換した。
「今度。本部のバイヤー見習いになるので宜しくお願いします」と宮野課長が紹介した。
「カー用品部門ですので、よろしくお願いします」
「こちらこそ宜しくお願いします」とお互い頭を下げた。

「それでは、中に入って空いている椅子に座ってください」
「有難うございます」
「可也来ていますね」
「見た事のない顔は地元の業者だなぁ」
「そんな感じですね」
「この文だと、部門に寄っては可也混乱するだろうな」
「日用品雑貨部門なんかは何処でも扱っていますからね」
「おそらく地元の業者との話し合いになるだろうな」
「取り敢えず、カー用品は2社だからやりやすいよ」
「日商グループの問屋は全社来ているんだよ」
――なるほどぉ. ――

「あぁ。東京商事も来ていますね」
「大村専務。こっち」と今年から課長になった坂田久喜48歳さんが呼んだ。
「早かったですね」
「朝4時起きで出てきましたよ」
「泊りじゃなかったんですか」
「忙しくて、とんぼ返りですよ」
「責任者になると大変ですね」
「今までがいい加減だったから、立て直しが大変ですよ」
「それで、前任者の工藤課長は何処に行ったんですか」
「HC事業から外れて業務課長をしていますよ」
「そうですか。HC業界では顔でしたのにね」
「偉そうなこと言っていても、利益を出せなければ格下げですよ」
「会社が大きいだけに、そうかもしれませんね」
「長野は中ちゃんが担当するの」
「はい<」
「うちは山下くんが担当するよ」
「山下です」
「中です」と初対面の挨拶をした。
******

「宮野課長が出てきたから始まるな」
平沢社長、相沢先生、森本部長、が舞台横に並んで座った。
1番手前にりんご事業部から抜擢された元係長の持田久店長が座った。
本部勤務のアシスタントの三人がオープン資料を配った。
「時間ですのでそろそろ始めたいと思います」と各問屋の顔を見回した。
「ご苦労様です」
「お手元にお配りした予定でオープンをさせたいと思います」
「その前に、1号店店長を紹介します」
「持田くん。挨拶して」
「お早うございます」
「おはようございます<<<<」
「今度、若槻店店長を仰せ付け賜りました持田です。素人ですのでご指導のほど宜しくお願い致します」
拍手!! ――喝采!!
「先月まで西新井店で研修して来ましたが、経験不足ですのでお手柔らかにお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」

「何かご質問はありますか」と再度問屋の顔を見回した。
「はい」と大村専務が手を挙げた。
「どぅぞ」
「棚割りと見積を提出すると本決まりになる訳ですね」
「はい。これで資金繰りを計算します」
「では、訂正はない訳ですね」
「今回は、日商グループをメイン問屋としますので相見積もりは致しません」
「分かりました」
「他にありますか・・・」
「はい< 」と文進社の池田課長が手を挙げた。
「どうぞ」
「送りの荷物の件なのですが」
「はい」
「搬入当日ですと運送屋が混乱すると思うんですが」
「そうですねぇ」
「それで、荷物は搬入の前日に着けていいですか」
「スタフがいますからいいですよ」
「駐車場は何台ほど止めることが出来ますか」
「50台です。当日荷物を降ろしたら車は路上駐車にしてください」
「駐車違反になりませんか」
「都会と違ってド田舎ですから、ミニパトは廻って来ないと思いますよ」
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \
「分かりました」
「他には」と見回した。
「なし<<<<――」
「それと、オープンが終わったら商談日には毎週やりますので、必ず来るようにしてください」
「いいですか」と私が手を挙げた。
「どぅぞ」
「商談は何処でやるのですか」
「この本社3階のHC事業部でやります」
「日にちは決めていますか」
「9時から始めますので、午前午後、ご都合の良い時間で宜しいですよ」
「カー用品のバイヤーは誰が担当しますか」
「まだ、一店舗なので仕入れは私一人でやります」
「じゃ、来る時はアポを取れば、いつでもいいと言う事ですね」
「そうしていただくと有難いですね」
「分かりました」
「後は、宜しいでしょうか」
「結構です」
「では、搬入日にお願いします」
「宜しくお願いします」と満場一致で1時間で終わった。
***◆◆◆***
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小金持銅銭先生のメインレース競馬予想

2017-10-28 10:21:18 | ギャンブル
天皇賞予想
「天皇賞も難しいですね」
「最有力馬がここからスタートするからね」
「キタサンブラックはどうですか」
「この馬は天皇賞・ジャパンカップ・有馬記念を全部勝つつもりでいるからね」
「サトノクラウンは」
「天皇賞を使って有馬記念が目標だろうね」
「そうなると、1叩きされたリアルスチィールですか」
「58キロを背負ったサトノアラジンに追い詰められていたから、58キロを背負って2000メートルをこなせるかだね」
「デムーロからVシュミノーに変わるから、勝つつもりでしょうね」
「だと思うけど、格から言ってキタサンブラックとサトノクラウンが上だからね」
「レース展開はどうなりますか」
「また、キタサンブラックのペースになると思うよ」
「だとすると、確実に逃げ馬を差せるサトノクラウンが軸になりますか」
「休養明けでも鉄砲が効くから、有力馬の3連単と穴馬の3連複で買うのがいいね」
「最近このパターンが多いですね」
「そこそこ付いて無駄がないからね」
「馬単・馬連・ワイドは暫くヤメですね」
「中心馬が2~3頭の時は、こちらの方がいいね」
「良馬場なら大丈夫と思いましたけど、重馬場になりそうですね」
「菊花賞は酷すぎて、直線だけで勝負した馬がっ込んで来たからね」

3連単ボックス
2 4 7 14
3連複
13 ⇒ 2 4 7 14
馬単
2-7 7-2
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若葉と青葉と紅葉と・・・

2017-10-27 10:26:53 | 日記
第一話[左馬](一)


事業拡大で新規参入したHI事業部の森本武総括部長は、本社から来た子飼いの無能で役立たずのお飾りだった。
量販店の仕組みを勉強して、指導権を握った宮野課長はHI事業部を仕切っていた。

宮野慎吾課長は、39歳、身長は細身の170cm、青山学院卒業だった。
輪郭は、面長の逆三角で色が黒く、白髪混じりの黒髪を左から7:3に分けていた。
耳が大きく、ヒゲがなく、眉毛が濃く八の字に垂れ下がっていた。
一重瞼に細い目で鼻は細くて高く、眉間に二本の縦ジワを刻ませ、額には五本のシワを深く刻ましていた。
鼻の下が長く上下の唇が薄く、へビースモーカーで歯は黒ずんでいた。
商談で話をしているとニコチン臭い息を吐いていた。
長野県出身だけに芯の回りに蜜がたっぷりと溜まった【ふじリンゴ】を食べているのか真冬でも艶やかな顔をしていた。
りんご事業部から、新規に参入するHI事業部に抜擢され係長から課長に昇進した。

私が宮野課長と初めて合ったのは、担当している得意先のハーフライフ西新井店だった。
商品を山積みにして置けば飛ぶように売れる、怪物ホームセンターを参考にする為に見学しに来た時だった。
その時は、私も何処から来た人なのか判らなかった。
「毎度」
「いらしゃい」
「広瀬さん。注文を取っていくね」
「いいよ。売り場は穴だらけだから、目一杯ぶっ込んでいって」
「相変わらずよく売れますね」
「ここは化物ホームセンターだからね」
「舎人にできたコーヨーホームセンターなんか客が入っていませんものね」
「そう。客が入らないから、経費節約で暖房も入っていないんだよ」
「そうなると、半年後には閉店になりますね」
「コーヨーのことがから、株主が黙っていないからそうなると思うよ」
「店舗数が100近くになると不良店舗はいくらでも出ますからね」
「俺も、募集した時に行かなくてよかったよ」
「ここは給料が安いですものね」
「ホントだよ。平沢社長は人材を使うだけ使って使い物にならなくなると、直ぐ“クビ”にしますからさぁ」
「アメリカから帰ってきて学んだのはホームセンター経営ではなく、リストラの極意ですね」
「中さん。それは言いすぎだよ」
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \
注文書を書いていると、笠松常務42歳と宮野課長と広告店の安田さん32歳と三人でカー用品売り場を見に来た。
入口から並んでいるアクセサリー用品から順番に回りケミカル棚に来た時に、宮野課長は棚に並んでいる500㎖のタイヤワックススプレー缶を持ち、股間に当て嬉しそうに振回していた。
「どう。安田さん。ビッグマシ~ンみたいでしょう」
「課長。そんなに大きかったでしたっけぇ」
「俺は黒人さん並だよ」
「誰も見た事がないと思って、大見栄を張りますね」
「銀座赤坂六本木の高級クラブのオネェチャンたちは知っているよ」
「参りました――」
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \

「中ちゃん。今度、長野県にホームセンタージョイマートを開店する事になり研修に来た宮野課長です」と日商の笠松常務から紹介された。
「中です。宜しくお願いします」
「宮野です」
「広告会社の安田です」と3人で名刺交換した。
「カー用品は中さんの所で納品しているのですか」
「はい< 定番の五割はうちから納めています」
「凄いですねぇ」
「この中の、部品・外装品・アクセサリー用品・車内・外装小物は全部うちで入れています」
「では、飾り付けも中さんのところでやるのですか」
「はい。平面図から商品別レイアウトは全部、私が作っています」
「水物は何処の問屋ですか」
「ハード88関係のケミカル・WAXや純正オイルは東洋商事が担当しています」
「すると、カー用品は中さんのところと東洋商事で収めてくれると言う事ですね」
「はい。オーディオと2輪(バイク)を抜いて、そうなると思います」
「うちのオープンは各部門の基本仕入先は2社以上ですので喧嘩のないようにお願いします」
「大丈夫ですよ。東洋商事の坂田課長とは、いつでも話し合える仲ですから」
「そうしていただくと有難いです」
「わたくし、プロですから。お任せ下さい」
「期待します」
「それでゴンドラは何本ぐらいレイアウト出来ますか」
「60本まで商品を埋めることが出来ます」
――なるほどぉ. ――
「うちは35本でやると思っているので、お願い出来ますか」
「はい<」
「それならば説明会の時に来て貰えますか」
「何処でやるのですか」
「長野市内の本社でやります」
「その時に35本分のレイアウトを書いて提出します」
「チャリンコも出来ますか」
「出来ますが、二輪専門の問屋が納品すると思うので、レイアウトを書いてくると思いますよ」
「そうなると、二輪は、中さんでは扱って無い訳ね」
「いえ。バイク用品・部品はありますよ」
「それなら大丈夫か」
「5本ゴンドラまで飾れるアイテムはありますよ」
――なるほどぉ. ――
「じゃぁ~ よろしくお願いします」
「売れる店づくりをしますので、宜しくお願いします」
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \
その時・・・
「この人とは気が合うな」と直感した。 
******

「社長。長野に新規オープンがあるみたいですよ」
「そぅらしいね。専務も日商の平沢社長から聞いたみたいだよ」
「そうすると日商グループでオープンさせる訳ですね」
「そう。DMCより日商の問屋の方が品揃えもいいし、安定して供給が出来ると言う事で決めたらしいよ」
「良かったですねぇ」
「でも、長野は遠いなぁ」
「無いよりはマシでしょう」
「それはそうだけど」
「担当は俺がしますから、上手くやりますよ」
「まぁ、任せるから無駄な経費は抑えてよ」
「はい>」

「それで宮野課長が来ていたのか」
「会ったんだ」
「西新井店で会いましたよ」と名刺を見せた。
「宮野さんが責任者のなるんだね」
「そうみたいですよ」
「早いうちに顔を合わせておいて良かったね」
「運がよかったですよ」
「シンワを旗揚げした時から、付いていたからねぇ」
「だから、ここぞとばかり思いっ切り吹いておきましよ」
「チューさんらしいね」
ハハ八八ノヽノヽノヽノ \

「中。長野で5月20日火曜日に説明会があるから一緒に行くか」
「行くよ」
「それで、担当はお前がやれよ」
「そのつもりでいたよ。しかし、考えてみると長野は遠いなぁ~」
「得意先が増えるのだから贅沢は言えないよ」
「まぁ、そうだけど」
「社長。一緒に行っていいですね」
「そうだね。二人で行った方が相手方のも好印象になるだろう」と社長も賛成した。
「朝10時からだから、ビジネスホテルを予約しておいた方がいいな」
「あるかねぇ」
「長野市内だから一軒ぐらいはあるだろう」
「それとも、何処か近くの温泉にでも泊まる」
「温泉宿だと権堂に行けなくなるよ」
「権藤てぇ、何処のあるのよ」
「長野県では有名だよ」
「面白いの」
「らしいよ」
「そうと知ったら ビジネスホテルするよ」
「そしたら、お前が調べて予約しておいてよ」
「分かった」
「楽しそうな話をしているけど、目的を忘れないようになぁ」と社長に釘を刺された。
「大丈夫です」

“もしもし”
「長野シティーホテルです」
「予約をお願いしたいのですが」
「お泊り日は」
「えぇ~と 5月19日月曜日です」
「お泊りは何日間になりなすか」
「一泊です」
「お一人様ですか」
「2名です」
「2人とも一泊ですか」
「そうですねぇ」
「同部屋でよろしいでしょうか」
「別にしてください」
「シングル・ツイン・ダブル・がありますがどちらにしますか」
「シングルを2部屋お願いします」
「少々お待ちください」
“もしもし”
「はい」
「お待たせいたしました。予約が一杯でツインは満室で、シングルが一部屋とダブルしか空いていませんね」
「そうかぁ~ それなら、ダブルとシンブルを一部屋ずつお願いします」
「分かりました」
「朝食はどうなされますか」
「お願いします」
「バイキングになりますので7時から9時半までにお上がりください」
「それで、一泊おいくらですか」
「シングルですと4800円。ダブルは6800円になります」
「なら、それでいいですよ」
「それでは、お名前と電話番号をお聞かせください」
「シンワ産業㈱03-・・・・・・・8です」
「部屋割りはどうしますか」
「中キミオがシングルで、大村淳二がダブルでお願いします」
「チェックインは何時になりなすか」
「PM5時には入ります」
「承りました。お待ちしております」
「それで、シングルとツインは、いつも混んでいるのですか」
「いえ。今回は今までより予約が多くて部屋が満室になったのですよ」
――なるほどぉ――
「それじゃ、よろしくお願いします」
「お待ちしております。有難うございました」

「専務。予約入れたけど混んでいるみたいよ」
「おそらく東京から来る問屋が泊まるんだよ」
「そうだろうな。社長。来週の月曜日に行ってきます」
「朝から行くかい」
「はい。途中で西新井店に寄っていきますよ」
「それがいいね」
「その時に、中山さんに注文を出しておくように言っておきますよ」
「そうしてくれる」
「もしかすると、面倒臭がって少なく出すと思うので、帰ってきたら追加注文取ってきますよ」
「だと、有難いなぁ」
「後は、社長の方で煽てておいてください」
「そうだね」
「白豚も煽てれば、忍び返しの崖でも登りますから」
「相変わらず、口が悪いなぁ~」
「中山さんが、ミニバイクで出勤してくる後ろ姿を見るとクマの曲芸ですよ」
「お前。何て事言うんだ・・・」と専務が納得した。
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \
朝10時にハーフライブ本部に顔を出した。
「お早うございます」
「いらしゃませ」と加賀美紗栄子事務員さん40歳が出てきた。
「平沢社長は」
「もう、相沢先生と一緒に車で長野に行きましたよ」
「えぇ 」
「シンワさんは行かないのですか」
「いゃ、社長の所に寄ってから行こうと思いていたんですよ」
「そうですか」
「なら、これから、こちらも行くことにします」
「よろしくお願いします」
「失礼いたします」
環七から関越自動車道高崎インター下りて国道18号線で長野に向かった。
「5時か。可也遠いなぁ」
「これ、普段通りに会社を出たら、いつ着くか分からないな」
「泊まりでくる他ないよ」
「そうですね」

「駐車場は空いているな」
「早かったからねぇ」
1階に置いて二階のフロントに入った。
「いらしゃませ」
「予約を入れた中です」
「はい。302号室がシングルです」
「俺だ」
「308号室がダブルです」
「シングルがなかったんだなぁ」
「そうです」
「ダブルの方がゆったりと寝られるでしょ」
「それも、そうだな」
鍵をもらいエレベーターで3階に上がった。
「302 ・・・ここだ」
「308は、もっと奥だな」
「それで、専務。何時頃飯を食いに行く」
「6時にしようか」
「それならロビーで待っているよ」
「そうだな」
******
11時にホテルに帰ってきた。
“トントン トントン”
「中< 朝食を食いに行くよ」
「分かった」
レストランに入ると顔見知りの連中が食事をしていた。
「お早うございます」と文進社の池田智和さん42歳に挨拶した。
「いつ来たの」
「昨日の5時に入ったのよ」
「それで顔を合わさなかったのかぁ」
「何時に来たの」
「8時だよ。しかし関越自動車道できたけど18号線が混んだよ」
「そうだよな。長野まで一本道だからなぁ」
「それで、ここは中ちゃんが担当するの」
「そうです」
「うちは、この辺見が担当するよ」
「辺見です。よろしくお願いします」
「中です。こちらこそよろしく」
「池田さんところは、長野に得意先はあるの」と大村専務が聞いた。
「うちは群馬までなんだよ。村さんところは」
「うちも初めてなんだよ」
「おそらく、一店舗じゃ利益が出ないな」
「そうなんだよなぁ~」
「しかし日商グループでオープンするからやらない訳には行かないからなぁ」
「そだよな」
「だから、デットストックをブ込んで終わりにしようかと思っているんだよ」
「それがいいかも知れないねぇ」
10分遅れで関東犬猫社の吉本専務39歳が部下に島田賢治28歳を連れて入って来た。
「おはようございます」
「おはよ」
「東京から来たの」
「いや、群馬県の得意先から来たんですよ」
「じゃぁ~ 群馬からなら近かったでしょう」
「でも、3時過ぎていたから、お勤め帰りの渋滞に巻き込まれましたよ」
「それで何時頃入れた」
「7時ですよ」
「やはり、そのくらいはかかるのか」
「長野は中さんが担当」
「そうなんですよ」
「面白くなるねぇ。うちは島田が担当するよ」
「島田です」
「中です」
「吉本専務のところは長野県に得意先はあるの」
「ないのよ。それで困っているのよ」
「せめて、山梨だったら得意先もあるから巡回出来るけど、長野じゃなぁ~」
「何処の問屋もそうみたいですよ」
「ところで、説明会場は駐車場があるのかなぁ」
「本社の横にあるらしいですよ」
「それなら、大丈夫か」
「会場は此処からだと何分」
「5分ぐらいらしいよ」
「分からなければ、みんなの後を付いて行かばいいか」
「そうですね」
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小金持銅銭先生のメインレース競馬予想

2017-10-21 10:28:01 | ギャンブル
菊花賞予想
「秋華賞は的中したけど、点数が多くて、トントンだったね」
「でも、当たればいいじゃないですか」
「それもそうだけど。ボックスにして買う時は、もう少し絞らないといけないね」
「でも、気になる馬を抑えないと抜け目になりますよ」
「いつも、それで外していたからね」
「菊花賞はどうしますか」
「中心馬がいないから、ここもボックス買いになるかもね」
「どの馬を絡めますか」
「ブレスジャーニーがトライアルを使わずにブッケ本番で出てきたけど、2歳時は一番強かったからね」
「そうですよね。もし、骨折しなければ皐月賞は勝っていたましたものね」
「だと、思うよ」
「休養明けだと、3000メートルは苦しいですかね」
「サクラスターオーも長期休養から鉄砲で菊花賞を勝っているから、抑えておいた方がいいかもしれないね」
「やはり、軸にはできませんか」
「ここを使って次がわからないからね」
「すると、どの馬から入りますか」
「ミッキースワローが強い勝ち方をしたから、人気になってもここからかな」
「そうなると、ボックスではなく柱ですね」
「それが安全だね」
3連単ボックス
11 12 13 16
3連複
1 ⇒ 11 12 13 16
3 ⇒ 11 12 13 16
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若葉と青葉と紅葉と・・・

2017-10-20 10:12:14 | 日記
第一話[左馬](一)


「この前来たメーカーは『何処の問屋からでもいいから、弊社の商品を定番にしてくれ』と言ってきたけど、カー用品部門はそういうものなの」
「どうでしょうね。縄張りの境界がないのは、何処の部門も同じですよ」
「話に聞くと、カー用品はメーカーが直接取引をするらしいじゃない」
「自社製品と他社商品の区別のつかないメーカーに、カー用品全体のレイアウトなど出来ませんよ」
「そうだよね」
「外装部品・外装アクセサリー用品・車内部品用品・車内アクセサリー用品・ケミカル、WAX・オイルなど関連を付けて陳列させたら1週間経っても出来ませんよ」
「そうかもしれないなぁ」
「そう言う事を言っているのはケミカルメーカーだと思いますが、調子の乗っていると、その内に思いっ切り叩かれますよ」
「そんな事をされたら、問屋としたら面白くないでしょぅ」
「その通りです」
「するとメーカーも相性にいい問屋に自社定番商品を回すこともあるんだろうね」
「いや、問屋としては看板にしているメーカーですから、競合他社に取られるという事はプライドに傷をつけられるのと同時に、腸の煮え返るほどの屈辱ですからね」
「そうなると、どこの問屋にも看板になっていな2~3流メーカーなのかねぇ」
「そうだと思いますよ。ナショナルブランドだと量販店用に化粧箱を作っていますからね」
「そう言えば、これじゃ売るのは無理だよと思うほど台紙や化粧缶がダサかったなぁ」
「何処のメーカーですか」
「ここだよ」と名刺を見せてくれた。
「ハイセンスパロディーカンパニー」
「聞いた事がなですね」
「やはり」
「名前だけ聞くとパクリ屋商品みたいですね」
「中さんが知らないのでは三流メーカーですかね」
「だと思いますけど。でも、住所と見ると埼玉県ですね」
「中さんの家からそんなに遠くないでしょ」
「そうですね。江戸川を登っていけば一時間も掛からなですね」
「時間があったら寄って見ればいいのに」
「台紙を見たところホームセンターでは売るのは無理ですね」
「カタログを見るとアイテムは揃っているみたいだけどね」
「車内用品や外装品にしてもデカくて厚くて重たくて、今の車にはアクセサリーとしてはスマートさがないのですよ」
「だよねぇ」
「それにケミカル品は無いようですね」
「だとすると、10年前の商品かい」
「そんな感じがしますね」
「それに、無名の商品は定番化しても、直ぐ価格が乱れて廃番になりますからね」
「すると、無名の問屋が担ぐんだね」
「でしょうねぇ」
「なら、採用しない方がいいか」
「一点でも入れたら店の品格も落ちるし、価格は安くても売れなくなり店の評判も悪なすよ」
――なるほどねぇ~――
「しかし、一発当たると、次の日から大儲けが出来ますからね」
「一発大駆けだね」
「ホントですよ。ほら。つり革もそうじゃないですか」
「あれは、売れたねぇ~」
「あれで、傾いていた会社は立ち直りましたからね」
「それから、関連商品を開発して、シリーズごとにゴンドラを組めるようになりましたよ」
「どうして、あんなに売れたんだろう」
「作った当時は売れずに、全国に販売網があるイーストに紹介に来たんですよ。
それで納品率100%を目標にしているので在庫していたんですけど、新規オープンには
2~3年は定番で並べていましたねぇ」
「それで売れたの」
「いゃぁ~ リピートはなく見せる商品なっていましたね」
「他に採用した問屋はないの」
「ありませんでしたね。それで、デットストックで倉庫に山積みだったんですよ」
「ふぅん・・・」
「所が、暴走族に頭の良いのがいて電車のつり革を盗んで、自分の車に付けて箱乗りしていたのが流行したんですよ」
「そうなの」
「それが、一般乗用車やファミリーカーのお年寄りが乗った時に持つところがないから、つり革に捕まるようになったんですよ」
「あれは便利だったねぇ」
「198円で特売を打つと、一日で売り切れましたものねぇ」
「商材に困ったときは、つり革だったものなぁ」
「メーカーにしたら、泣く子も黙る、命綱でしたよ」
「座布団、1枚いる」
ウァハハ八八ノヽノヽノヽノ \
「最初はカラーも黒だけだったけど、今どのくらいあるの」
「ホワイト、レット、パープル、ブルー、グリーンと増えましたね」
「たまに似たようなものを持ってくる別の部門の問屋もいるけど、定番にしても売れるかね」
「止めた方がいいですね」
「やはり。かねぇ」
「偽物が出だしたら、殆ど全国に出回ったと言う事ですから、本物だけにしておいた方がいいですよ」
「特売に使うのもいいかね」
「今は、日替わりで売っても時代遅れで売れないと思いますよ」
「98円でも無理かね」
「車だけでなく、何処で使うかですよ」
「それもあるか」
「家の中でも十分に使えるところがありますからね」
「んじゃ、考えてみるか」
「それに、値段が乱れた時が終わりの時ですよ」
「やはり、追わない方がいいか」
「返品が出来なければ、ですけどね」
「そこなんだよな」
「まぁ、売り逃げされるよりは、いいと思いますよ」
「そうだなぁ」
******
「それにしても、中さん。お宅の会社は可也高く売っていたね」
「当たり前ですよ。それでなければ、オープンセールや周年記念セールで売れ筋定番価格580円が目玉商品として198円とか、一日限定日替わり商品98円や、お一人様先着100品限定1円など大赤字を出しの馬鹿げた値段は出ませんよ」
「集客力のある店は、大々的にやるからねぇ」

問屋の販売目標の利益は、定番利益20%特売7%が理想だった。
コンピューターに打ち出された日計の利益率を見て、定番と特売の比率をプラスマイナスしながら調整して最終粗利14%が健全な会社運営だった。
「それでなければ、特売や目玉商品の赤だし協賛は出来ませんよ」
「そうだよねぇ」
「今は、問屋も鴨がネギ背負って来て、調味料まで用意して寄せ鍋にされて食われてしますからね」
「うまいこと言うね」
「そして、てめぇでテメェの首を絞めて倒産して、“ジ・エンド”になるんですよ 」
「其れでも次から次へと名刺を交換すると、聞いた事のない卸問屋が沢山来ますよ」
「この業界は倒産するのも簡単ですが、会社を設立するのも早いのですよ」
「しかしこんな見積りの下げ合戦している様な“タコ”商売していたら、売れば売るほど赤字になり何を遣っているのか、サッパリ分からないですね」

生産すればするほど原価ゼロに近くなるメーカーもキャンペーンを旗印に赤を切らずに問屋に量販させた。
値引きして納品すると伝票が生きて仕舞い――
「前に、この値段で出たから此れからも同じくして」と脅された。
証拠が残らないように10ケース+1ケースの外回しの条件で見積もりを持っていった。
特売の販売目標が10ケースとしているのに1プラスされると、その分1ケース売れ残りセールが終わると・・・
「残りは持って帰って」の一言で返品になった。
それだと問屋のデットストックとして1ケース不良在庫となるのでプラスの不産から見方を反転させた。
生産側から考えると不満が残るが、此方から見積もり金額は変わらない、10ケース-1ケース=9ケースの見積りを変えずに納品できる内回しの提案を出した。
問屋もメーカーも、お互いに赤字を出さずに済、又、お店も商品が完売できて効率が良くなった。
次の記念セールも赤出し無しの特売の依頼が来た。
大量販売を目標としているメーカーにすると生産過剰のオーバーストックに成った。 

「これ、見て見な。派手に三周記念セールの安い商品プライスがB判大型に裏表びっしりと書き込まれたチラシが出ているよ」と岩下バイヤーに見せられた。
「派手ですねぇ」
「此の協賛品は、お宅からじゃないの」と商売敵のチラシを見せられ疑われた。
「いゃぁ~ 違いますが、何処の問屋からか分からないですね」
「本当だね」
「念の為に会社に帰って調べてみますよ。このチラシ借りていいですか」
「いいよ。持っていって。その代わり、うちも負ける訳には行かないから、来月は派手に遣るのでメイン問屋のお宅で面倒見てねぇ」と念を押された。
会社に帰り営業会議でチラシを見せた。
「安いチラシだなぁ。これじゃ問屋から出たらオール赤字だよ」
「盗品の横流しだと、精々2トンに積める位の商品しか出来ないだろう」
「問屋から出るには月10ケースしか納品していないのに100ケースも得意先に直送を掛けたら?如何の間抜けなメーカーでもおかしいと思うよなぁ」
「それに注文を入れて会社の倉庫から出荷しても販売能力からすると、いつもより数が多いとメーカーも『怪しいなぁ』と気が付くだろう」
・・・そうなると・・・
「どうもメーカーから出て来て居るみたいだなぁ~」
「ハード88の半ネリワックス280gが198円。ヤマト工業のくもり止め98円。RCCの潤滑剤が98円。ビンカードホワイトワックス350g98円。3星オイル4Lが398円。どう考えてもメーカーかバッタ屋としか考えられないなぁ?」

「楠田さん。これ見てみな」
「98円ですか安いですね」
「この半ネリ東洋商事から出ていんじゃないの」
「違うと思いますよ」
「おたくのメイン問屋は東洋商事でしょう」
「そうですけど。こう言った赤だし販売はしないと思いますよ」
「なら、オイルはそうでしょ」
「と、思います」
「それなら、半ネリが出てもおかしくないじゃないの」
「半ネリは別の問屋からだと思うのですけどねぇ」
「現に出ているんだから、隠しようがないだろう」
――!?――
「俺の担当しているホームセンタージョイフルオオヤマから、うちが協賛しているんじゃないかと疑われているのよ」
「定番は中さんのところじゃないのでしょ」
「そうだよ。それども扱っているのが分かっているから、定番欲しさに出したんじゃないかと思われているんだよ」
「もし、そうだとしたら取引中止にしますよ」
「出来もしないこと言わないのがいいよ」
「半ネリは定番でも780円前後で売れている弊社看板ですからね」
「確かに通常特売だと380円はうちでも出せるけど、この価格は赤を切らないと出ないよ」
「弊社の物流センターもシリアルナンバーで商品管理は出来ていますから、横流しされる事はないと思うんですけどね」
「おたくのダミー会社はどうなの」
「あそこは小さい問屋のために商品を出しているんですよ」
「そこから出ているという事はないの」
「販売力から言って無理だと思いますよ」
「そうだよな。普段1ケース2ケースの注文が“いきなり”100ケースも注文が来たらおかしいと思うものなぁ」
「そうですよ」
「じゃぁ~ 何処からだい」
「僕には、分かりませんね」
「おたくの営業マンも商談に行っているんだろ」
「はい。小堺が行っています」
「それなら、調べさせて、もう一度、言い訳に来てよ」
「分かりました」
******

予想通りメーカーは資金繰りが苦しくなると、ダミー会社を設立して面の割れていない人物に直販させた。
「ウエスタン商事です。よろしくお願いします」
と商品を無地の4トントラックに山積みにして、バッタ屋に裏から商品を流していた。
同じ手口で直接店舗数の多い量販店や大型ディスカウントストアーに現金支払いを条件に捨て値で売り、ケース単位をロットに切り替えて、看板の無い影の倉庫から無名の運送会社で出荷して、量販店の物流センターに放り込んでいた。
「生産した日付と問屋別の商品ナンバーが打ち込んで在るので、バッタが流れても何処から出たか分かる様に成っています」と問屋には薄らトボけたことを言っていた。
正式な問屋は取引するのに一千万近い保証金を積まされていた。
毎年売り上げが伸び支払い金額が増える度に保証金も追加された。
一ヶ月の売上がオーバーすると、商品は納品しても伝票は締め切後来月勘定にしていた。

正直にメーカーの言いなりになり正規価格で商品を買って、幽霊会社と喧嘩させられる問屋はたまったものではなかった。
「毎度」
「どうでした」
「やはり東洋商事から出ていないようですね」
「なら、何処からよ」
「皆目見当がつきませんね」
「とぼけんじゃねぇよ」
「いや、とぼけてはいませんけど」
「それに、どうしてゴミ虫みたいな問屋の見積が安くて、うちみたく販売力の在る問屋の見積が高いのは、どう言う事なの」
「其れはですねぇ~ 御社は取引年数が浅く、向こうの問屋の方は昔からの付き合いが長いので、同じ見積は出す事が出来ないのですよ」
「ふざけんなよ。此方は市場が大きく高く売っても消化してしまい、拡販出来るし利益率が高くなるから、販売力の無い糞みたいな問屋に安く卸しても損をしないからだろう」
「ホントに違いますよ」
「何が違うんだ」
「うぅん・・・」
メーカーにすれば自分の所の商品が入れば、何処の問屋からでも構わなかった。
「黙っていたってしょうがいないだろう」
「僕は平営業マンなので、北原部長に言われた事をやっているだけなんですよ」
「なら、部長を連れて来いよ」
「分かりました。これから帰って、時間を取れる用に調整してもらいます」
「問屋が黙っていれば、これで良いのだと思っていたんだろ」
「そんなのとないですよ」
「自分の都合の良い様に解釈して舐めた真似して居ると、お前のところの商品は店の定番から全部無くすぞ」
と新規オープンからは黙っていても売れるスタンダード定番品3点ほど並べて新製品は入れなかった。

量販店のHCゴルフコンペ懇親会が在ると必ず大型チェーン量販店のオーナーにゴマをする問屋がいた。
同業他社の儲け方などオーナーの味方の振りしてバラして、自社だけ優遇して貰おうとした。
「社長。カー用品部門は儲かるらしいですよ」と日商の平沢社長に告げ口をした。
「ふぅん~」
「特売で赤を切っているようでメーカーに協賛させて、自分のところは赤を切らないらしいですよ」
「そうなのかい」
「はい< シンワの大村専務などは『ブッ込のシンワだ』と問屋懇親会で堂々と言い放っていていますよ」
「あいつ、そんな事言っているのか」
「そうですよ」
「今度、懲らしめないとダメだな」
「それがいいですよ」
そして――
「問屋に儲けさせるな」
を合言葉に、メーカー・問屋・量販店の連結は、共に三宝一両得とは行かなかった。
仕入れ仕切りが下がっても売価は変えない欲の皮のツパッタ量販店と、自社が安全なら他人の苦しみなど気にせず転んでも、タダで起きないメーカーだけが儲かった。
資金繰りに奔走する、お人好しの世間知らずの問屋だけ三両損となり、利益は減るばかりだった。
開発能力の無いメーカーなどは一枚看板の主力商品も客寄せの目玉商品となり、STD定番化して生産すればする程赤字となり廃番となった。
その見返りはと言うと――
「最近、あのメーカーコマーシャルが入らないなぁ」
と思っていたら、いつの間にか倒産していた。
量販店の仕組みを理解していない卸問屋は、回転率の悪い定番商品を入れるとポスコンピューターに戦力外商品として弾き出されて、1ヶ月で返品になるのが当然だった。
「返品は勘弁して下さいよ」と逆らった。
「卸問屋など幾らでも居るから、嫌ならお宅の会社は切るよ」
とバイヤーに脅かされると、言いなりになる他なかった。
使いパシリの便利屋で終わって仕舞い、潰されるのを待つばかりだった。
――チ~ン――
“南無阿弥陀仏・南無阿弥陀仏・南無阿弥陀仏”
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