第一話【小さな目】
自分たちで食べて置いて人のことは言えないが、残酷なことするなぁと思っていた。
また、釣りの名人で同じ長屋の真ん中に住んでいる弟子もいた。
弟子の木村康夫さんは、歳は、13歳で身長は150Cmの小太りだった。
顔が丸く、眉が太く短かった。
目が単で細く鼻が短く団子鼻だった。
上下の唇が厚く顎が短かった。
声が低くて野太く、藤正樹に似ていた。
額が広く五厘刈りの丸坊主にしていた。
『キン坊!釣り行くの?』
『うん』
『それなら、釣り方を教えてあげるよ』
『知っているよ』
『釣竿見せてみな』
針とオモリをシブ糸に通した竹竿を見せた。
『こんな、針の結び方では魚に取られるよ』
『えぇ!どうして?』
『団子結びだからさ』
『何時も、これで釣れていたよ』
『魚が小さいからだよ。鯉やマルタだと、シブ糸が切れてしまうよ』
『そうか、だから夜釣りの時逃げられたんだ』
『こうやって、二重に丸を作って通すんだよ』
『ふぅん!?』
『引っ張ってみな!』
『あっ!切れないやぁ』
『そうだろ、オモリも5匁にしたのがいいよ』
『重くない?』
『3匁だと軽くて下まで沈まないんだよ』
『沼で釣っていたけど、大丈夫だったよ』
『沼や池だと流れがないからね』
『シブ糸も4号にしたのがいいね』
『竿は!?』
『釣具屋で売っていた20円の延べ竿だね』
『うん』
『竹竿だからしなるから大丈夫だけど、タモを持っていたほうがいいよ』
『この!碇みたいな針はなに?』と聞いた。
『これは、ボラを引っ掛け釣りする時に使うんだよ』
『変わっているなぁ?』
『ボラは、秋になると目に脂肪が溜まって良く見えなくなるんだよ』
『でも!こんな針じゃ釣れないでしょう?』
『釣んじゃなく、引っ掛けるんだよ』
『どうやって?』
『この!色とりどりのゴム風船を長方形に切って針の上に結んだよ』
『そして、オモリを5匁にして針の下に結ぶんだよ』
『あとは、釣竿を指で握って手首を柔らかく上下に動かしてボラを釣るんだよ』
『餌がないと釣れないでしょう』
『その為に、脂肪で見えなくなったボラをゴム風船揺らせて呼び寄せて当りを見るんだよ』
『何か!当ったな?と手応えを感じたら、斜めに一気に引き上げるんだよ』
『そうするいと、顎あたりに引っ掛って上がってくるんだよ』
『ふ~ん』
そして、孫弟子になり指導を受けた。
つづく