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オリンピック開会式の入場順:ギリシャ語の場合

オリンピック開会式の入場行進は原則として開催国(開催都市)の公用語による国・地域名の文字の順番によって行われる。

今開催されている東京オリンピックは五十音順で、「ア」の次に「イ」だから「ア」が終わった後でYで始まるイエメンが来たので、「Aの後にいきなりYが来た」ということが話題になった。

さて、2004年のアテネオリンピックで実際にあったギリシャ語の場合はどうか。

ギリシャ文字の「Β(大文字)/β(小文字)」、「Γ/γ」、「Δ/δ」は古代ギリシャ語ではそれぞれ[b]、[g]、[d]と発音したが、現代ギリシャ語ではそれぞれ[v]、[γ/ʝ]、[ð]と発音する。現代ギリシャ語で[b]、[d]、[g]の音を表す時はそれぞれ「Μπ/μπ」、「Γκ/γκ」、「Ντ/ντ」と表記する。
外国の地名でB、G、Dにあたる部分はギリシャで古くから知られていたものはそれぞれβ、γ、δで書いて[v]、[γ/ʝ]、[ð]で発音する(ヨーロッパの国名はほとんどがこのパターン)。一方、ギリシャで比較的新しく知られた、もしくは新しく誕生したものはそれぞれμπ、γκ、ντで書いて[b]、[g]、[d]で発音する。

ということを、以前ギリシャ語における外国の固有名詞の特徴という記事で述べた。

これは、オリンピックの入場行進の順番にも現れる。

英語やフランス語などラテン文字を使用する言語でBになる所がギリシャ語では[v]音を表すβになっていることは多いが、Βιετνάμ(ベトナム)のようにVもβで表される。そのため、Β/β(ベータ)の所で頭文字がVの国とBの国が混ざる。

ギリシャ語以外の多くの言語でBが頭文字になる国・地域名のうち

Β/βで書かれる国・地域の例:
Βουλγαρία ブルガリア
Βερμούδες バミューダ
Βραζιλία ブラジル
Βέλγιο ベルギー
→入場行進でΒ/β(ベータ)の列に並ぶ。

Μπ/μπで書かれる国・地域の例:
Μπαρμπάντος バルバドス
Μπελίζ ベリーズ
Μπαχάμες バハマ
→入場行進でΜ/μ(ミュー)の列に並ぶ。

ラテン文字圏で同じBで始まる国・地域でもギリシャ語でμπで書かれるのとβで書かれるのとでは入場するタイミングが全く違うので、違和感を感じただろうなと、想像しました。

ちなみに、ギリシャ文字の「Β/β」の文字の名前も、ギリシャ以外の多くの国では古代ギリシャ語の発音に基づいて「ベータ(beta)」と呼ぶのが慣用となっているが、現代ギリシャ語では「ヴィータ(vita)」と発音する。


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