もうずいぶん昔になる
私が幼稚園以前のことだ。
その頃父親の会社の支店が小さいながら東京神田にあった。
国鉄を降りたら神田は大雪に埋まっていた。
夜の帳がとっくに降りていて町は街灯もまばらで雪明りのみ・・・。
大雪で小さい私はとても歩ける状態ではなかった。
大好きな母の背中に思わずしがみついた
今思えばあの時代は何という不便で素朴だったんだろうと思う
タクシーが駅前に停まっているなんてあるはずもないし・・・
移動手段は自分の足のみ・・・
傘を差しかける父の傍で母は雪で埋もれた冷たい足で歩いた
なんか、そんな風景は当たり前の時代だったのだろうが
ふと思い出すたびに何故か涙が浮かぶ・・・
何故か悲しい淋しい気持ちになってしまう
何故だろう?
列車の汽笛が聞こえる雪の中・・・
昭和20年代の話である!