DOWN IN SMOKE 猫馬鹿無用編

再開!…忘れた頃に…そして、たぶんまた存在を忘れる…

山田風太郎「信玄忍法帳」

2009年01月31日 | 読書感想文(日本時代劇)
●あらすじ
信玄は言い残した。我の死後三年は喪を秘せ、と。

三方ヶ原以降の武田軍の妙な動きを訝しく思う家康に聞こえてきた信玄病の噂。
「三方ヶ原の戦で武田軍団にビビってウ●コもらしちゃいました」事件以来、信玄がトラウマの家康がその噂に飛びつかないわけがない。
彼は「信玄の死」が真実か否かを探らせるために、例によって「どこでその忍法を使うことを考えて修行したんだ!」とツッコミたくてしょうがない忍術を駆使する伊賀忍者9人を甲斐送り込んだ!
しかし、喧嘩上等な武田が黙って家康に探らせるわけがない!
「武田の裏技なら俺が仕切る!」と、闇から復活するのは山本勘助!
かくして、勘助の特命により「信玄の死」を隠し通そうとする真田源五郎昌幸と真田忍者の猿飛天兵衛、霧隠地兵衛の泥試合な苦労が始まるのであった…


…というわけで、先週まではマイホーム時代劇として好調だけど、そろそろ青臭い「義」が劇中で声高に主張されて鼻につくんじゃないかと不安な最近のNHK大河「天地人」と劇中の時間軸が合うので久しぶりに読み返してみました。
「天地人」見てたら、隣の武田さん家のこの頃の状況が気にもなりましたし(←山田風太郎はメインストーリーは破天荒でも、背景はしっかり調べてるので勉強になることが多いんですよ)。

そしたら初めて読んだ時より無茶苦茶面白い。
一昨年の大河『風林火山』にハマった人が読むと格別な忍法帳ですよ、これは。
『新選組!! 土方歳三 最期の一日』みたいに、この本を原作に『風林火山』の続編ドラマ『風林火山!! 山本勘助 最期のフグへのご奉公』を作りませんか、NHKさん?
復活した勘助はもちろん内野さんで!
読んでる間、脳内イメージはずっと内野さんでした。
読めば読むほど、この本の勘助は大河の勘助とイメージが重なってくるんですよ、もう不思議なくらい。
ドラマでも勘助は、知らないうちに武田滅亡の地雷を埋めまくりでしたが、この忍法帳で武田滅亡へのトドメの地雷を埋めちゃうとこもNHK大河の続編ピッタリだし(←そこ?)
え、勘助は最終回で死んでるって?
いやー、それがこの本によると、勘助は川中島の失敗以来いじけちゃって12年間も恵林寺に籠ってたらしいです。
もっとも、最終回で「思わずいいカッコしたら追い詰められたけど、変わり身の術で逃げました」と皆の前に出ていこうとしたら、みんなが合戦後の二次会で自分の死をネタに勝ち鬨なんかあげて盛り上がっちゃったりしてたので出るに出れずに12年過ぎちゃっただけかもしれませんが。
でも、物語の冒頭の信玄の死の場面で、6人の信玄の影武者と現れる内野さんの勘助を想像するだけで武者震いがするのう!!

内野さんが出るなら、フグとして市川亀治郎さんにも出てほしいところですが、フグは物語の冒頭で死んでしまうからもったいないあ…あ、そうだ、フグの死後、全国の目を欺く6人の信玄の影武者役も亀治郎さんにやってもらおう。
亀治郎さん、1人7役ということで。
家康の忍者に次々とエッチな忍術で殺される亀治郎さんの(きっと)濃い死にっぷりが6回も楽しめるなんて、お得すぎるだろドラマ。

真田源五郎昌幸と、今回の大物ゲスト上泉伊勢守を誰が演じるかも大事です。
物語の狂言回しとなる上源五郎昌幸は源五郎つながりで、田中幸太郎さんに。この物語では高坂昌信の出番ないからぜひとも真田の源五郎で内野さんとの師弟コンビの復活を希望。
泉伊勢守出番は短いながらも、相手の時間を操る忍者(ジョジョに出てきそうな術だな)と闘う姿は山岡荘八先生の「柳生石船斎」で描かれる伊勢守に匹敵するカッコよさ。
これを誰が演じるか難しいなあ…ただ、今回の場合は林火山ファンのために「千葉真一」さんが復活してくれるとうれしいところですね。
後半出てくる北条の忍者軍団 風魔一族の風魔小太郎には誰か歌舞伎の若手にいい人はいませんかねえ(原作読んだ方にはこの役のキャスティングが難しいのがご理解いただけると思います。)。
あ、勝頼は嵐の松本潤君をぶつけてみたらどうかと。彼の勝頼のイメージにピッタリな気がします。

ああ、書いてたらこの脳内妄想をホントに見たくなってきた。
あと、物語の舞台として甲斐の国の名所(下部温泉、恵林寺等)が次々と出てくるのもドラマでやるならポイント高いぞ、NHK。
来年の正月時代劇はこれにしましょうよ、NHK。

この物語は、常に武田家の滅亡を読者が連想するように描かれています。
でも、この小説のいいところです。
鉄砲に関する劇中での描写や、4人の武田二十四将の勝頼裏切りの「真相」。
そして何より勝頼の心理描写が、滅びの宿命を持つ者として読者の胸に迫っています。
また、家康の大悲劇である信康事変まで話を広げちゃうサービス満点な展開には感心しますよ、ホント。
忍術的にエッチな描写も多いけど、奇想天外すぎてどちらかというと読んでて爆笑ですし。

そんなわけで、NHK大河「風林火山」が好きな方におススメな山田風太郎の忍法帳でした。
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