【作・演出】 宮藤官九郎
【音 楽 】 富澤タク
【出 演】 阿部サダヲ 森山未來 三宅弘城 皆川猿時 近藤公園 平岩紙
宮藤官九郎 片桐はいり 松田龍平
初めてクドカンの演劇を見ました。予想通り小ネタが面白かったです。
そして初めて阿部サダヲを堪能しました。
…という感想を書く予定でロックミュージカル風の芝居(メカロックオペラ)「R2C2」を見に行ったんですが……
クドカンや阿部サダヲより森山未來くんを堪能してしまった気がします。
すごいよ、森山くん。
あんなに踊れるなんて。
ごめん、森山くん。
君をなめてました。
阿部サダヲと互角で異種格闘技戦な芝居だったよ、森山くん。
もう君テレビ出なくていいです。舞台だけで生きてください。
いやー、森山未來くんを堪能しましたねえ。
「メタル・マクベス」を見なかったのを真剣に後悔しました。
しかも、森山君演じるクアトロのキャラの基本に私の大好きなロックミュージカル映画「ファントム・オブ・パラダイス」のウィンスローが入ってるんですよ。
しかも、職業が音楽プロデューサーって、ウィンスローの宿敵スワンじゃないですか。
つまり、これは見ようによってはスワンがウィンスローになる物語ではないかと。
まあ、顔が「ああなっちゃう原因」がレコードプレスじゃなくて、(音楽がテーマなのに)ハンバーグだったりすんですが。この辺がクドカンですね。
さて、物語の柱となるのは阿部サダヲと森山未來くんの親子の対立と和解…、て、ラストまで和解してるようには見えなかったな、あれは。
違う見方をしてる感想も読んだのですが、いくらラストで仲良く歌っても、あくまで父親(バルコム)は人間の心を持たない“ロックの怪物”だったんじゃないでしょうか。
ラストまでバルコムは息子の気持なんかちっとも理解してない。
この辺はラストまで主役グループが全員ダメ人間だった映画「少年メリケンサック」に似てますね。
テレビドラマではあまりやらない彼の作風なんでしょうか?(「流星の絆」で、「彼」はもっと怪物に描けるはずなのに、原作よりちゃんとした人間に描いてたし)
でも、最後まで人の心が理解できない怪物としてバルコムを描ききったからこそ、この芝居が好きです。
というよりも、あれだけ動いて歌って観客を笑わせてながら、「怪物」を感じさせる演技をする阿部サダヲは、まだまだ役者としては森山くんより一枚も二枚も上手ですね。
でも、パンツ一丁で舞台に出てきた時に見た阿部サダヲの筋肉にはビックリしました。
ケンカしても勝てる気がしねえ。
三宅弘城のヌンチャクさばきも凄かったし、大人計画って武功度高い劇団なんですかね。
あ、あと松田くん(役名)もなんだか妙に可愛くて笑えました。
大河出るんだよね?
ぜひ政宗演じてる時に「「Yes!高須クリニック!」やってくれ。
あれ、大好きなんだよ。
さて、クドカンと言えば小ネタ。
この芝居も予想通り、セリフやギャグが毎回違うところがあるらしいです。
私が見た6月6日ベースを基にいくつかの小ネタ感想などを。
●冒頭の皆川猿時出演歴
私の見た回は「ロケットボーイズ」でした。
個人的には映画「デスノート」のバスジャック犯の時のを聞いてみたかったです。
●クアトロ教育
私が見たときは、「軽い!お前のステップの方が軽い!」「おまけに上品だし!」「それに、なんか伸び伸びしてるし!」と激怒してたんですが、セリフの前半は一緒でも最後が「もっと下品にやれ!」と言う時もあったとか。ひょっとして、その日の森山くんの踊り具合でセリフ決めてるの?
あとフレディのモノマネシーンも毎回違う…というか二人のフリーゾーンなのか?
●BLTサンド
私が見た時は「チリソースとスパイシーチキン」でしたが、「岩塩と牛肉」、 とか「天かすとうどん」とか、「にんにく醤油とかつおのおさしみ」とか、「もみじおろしと水炊き」とか、「豆板醤とマーボー豆腐」とか、「紅しょうがと焼きそば」(←それ、単なる焼きそばパンだろ)とか、「はちみつとクマさん」とか(←さすがに「そんなにクマ食べちゃダメだろ!」と 阿部サダヲがつっこんでたらしい)、もう全部のステージで中身が違ったらしいです。
何回もこの芝居を見た人は毎回ドキドキ楽しみにできてうらやましいなあ。
●パンツ一丁のバルコムさん
上記にも書きましたが、私は阿部サダヲの生セクシーは初めてでしたので、あの筋肉美にはビックリしました。
当然、「裸になってなにが悪い!」は旬な時期にちゃんとやってます。
また、別の日の感想で読んだのですが、このシーンで遅刻してきた上手前列のお客さんがお客を見つけたバルコム、「まず訊こう、今何時だ!」「バルコムを知ってるか? 知らないだろう?さっき、いなかったからな!」とお客さんが以後芝居に遅刻しないトラウマになるようなアドリブをしたそうです。
サダヲ、おそるべし…
●R2C2のモノマネ
しかし、ここまでストーンズネタ連発とは思わなかったなあ…て、ほとんど松田君が原因でミッ●・ジャガーネタが多かっただけなんですが。
でも、パスが多すぎだよ、松田くーん(←皆川さん風に)
●アドリブじゃないけど「東京ロンリ―サイボーグ」(の後)
えーと、歌ってるのは「あの人」なんですけど、まあ、それはいいんですけど、その後のクアトロのセリフも当然「あの人」なわけで。
あの、「けつのあな」まで言っていいんですか…?
●ハンバーグ描き中
私が見た回は「味やん、2044年に流行ってるギャグを教えてくれ」でした。味やん(クドカン)が真面目に「そう来たか…」と困ってました。で、出たギャグが「出っ歯」だもんなー。
他の回では
「味やん、いま一押しのハンバーグ川柳でつないでくれ!」
「ミミ!いち押しのものまねを頼む!」
「味やん、今日はどうしてもドリカムを唄ってくれ」
「味やん、何だか無性に東方神起が聞きたくなった!」
「味やん、倖田來未が気になるから歌って。 だってだってだって♪だってだってなんだも~ん♪」
「味やん、お祝いの歌を作ってくれ!」
…などの無茶ぶりがあったそうです。
ちなみに私が見た回の2044年に流行ってるギャグ「出っ歯」は、バルコムがわざわざクライマックスで使って、舞台で背中見せて笑い顔を隠すクアトロに「どうしたんじゃー、 2044年で流行ってるんじゃろー」と使ってました。
さすが、サダヲさん…
●R2C2の音痴確認
これも毎回けっこう曲が違うようです。
私が見た回ではありませんが、バルコムから「琵琶湖おーんーせ~んー」と無茶ぶりされて松田くん(関東出身)が素でキョトンとする場面があったそうです。
正解は、関西育ちなら皆知ってる「ホテル紅~葉~」なんですが、あまりにフリーズしてる松田くんに「もうやめよう。そんなにきょとーんとされると思わなかった。」とさすがのサダヲさんも言ったとか…
さて、いよいよ、今日が大千秋楽ですね。
最後のアドリブはどうなったんでしょう?
●オマケ:この芝居のミュージカルナンバー
2044-皆川
パルコム・ザ・ビースト-森山・阿部
アメージング☆ドンキー-ザ☆パルコムズ(阿部・宮藤・三宅・近藤)
こんな時になんだけど-ザ☆パルコムズ
アイ・アム・ザ・ティーチャー-阿部
お願いダディ-森山
ハンバーグ・オン・ザ・フェイス
抱き枕-阿部
ドゥ・ユー・デブ・ミー-片桐
シミ たるみ-阿部・森山・片桐
ロックの命日-宮藤
東京ロンリーサイボーグ-鰤谷P子
ベーシストの苦悩-近藤
半分自販機女-片桐
ジェノサイドロック
ロックスターはオンリーユー-森山・阿部
私のお気に入りは「パルコム・ザ・ビースト」と「ハンバーグ・オン・ザ・フェイス」です。
ところで、小●今日子さん。
この芝居を見てから一週間ほど「東京ロンリーサイボーグ」が頭から離れなくて困っちゃったんですけど。
でも、「マンハッタン・ラブストーリー」以来のファンとしては、クドカンの芝居に実際に出て歌う貴女が見たいです。
私の超お気に入り森山未來を堪能されたそうで何よりです。
よかったよかった(←??)
>もう君テレビ出なくていいです。舞台だけで生きてください。
それは私も同意見です。舞台で爆発してる時が一番輝いてますから。
でも、テレビ出ないとなかなか見られなくなるのでちと辛い…
>ラストまで和解してるようには見えなかった
ロックスターには反省とか後悔は似合わないってことでしょうか。
最後の最後も「抱きまくら~♪」って相変わらず息子の歌を
パクってるし。
個人的には、あの“他人の話を聞かない”っぷりが自分の父親と
シンクロして、「父親ってこういうものよね」と、妙に納得してしまったのですが…
コメントありがとうございます。
やっと感想書きました…が書く前の予想どおり半分以上が森山未來堪能日記になってしまいました。
めでたしめでたし…なのでしょうか?(笑)
でも、あの舞台見たらそうなっちゃいますよ。
爆発しすぎです、彼。
>でも、テレビ出ないとなかなか見られなくなるのでちと辛い…
ファンは辛いものですのう。
>妙に納得
え、そうなんですか?
少し意外感。
でも、私も「親の話を聞かない息子」だからなあ。
どっちかというとクアトロより“他人の話を聞かない”バルコムの気持ちのほうが分かる気がします、はい。
あ、今度お父さんに大事なことを言いたい時は「♪こんな時になんだけど~」と歌いながらお話になってはいかがでしょう?