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昭和43年盛夏、初めて出会った人生の師匠は云った。
未来に羽ばたく使命を自覚するとき、才能の芽は急速に伸びる。

第95回 全国高校野球選手権 西東京大会 4回戦

2013年07月18日 | 誓球の空2011-2015

[写真] 試合を決めるホームランを放ち、ホームベースに向かう4番矢澤


2013年 7月18日(木) 13:01~14:21 晴れ 微風 市営立川球場

第95回 全国高校野球選手権西東京大会 4回戦  (6回コールド)

帝京八王子 (八王子市)  0  0  0   0  0  0   -  -  - =  0
創価    (小平市 )  0  0  0   4  5 1X   -  -  - = 10

[ 投 手 ] 内野

[ 本塁打 ] 矢澤(6回/右)
[ 三塁打 ]
[ 二塁打 ] 若林2(4回/右中間、5回/左)、小野(4回/左)

1番 (二) 奥
2番 (右) 松下
3番 (捕) 南
4番 (左) 矢澤
5番 (中) 海老原
6番 (一) 若林
7番 (投) 内野
8番 (三) 小野
9番 (遊) 林


昨夕から降り始めた雨は夜半には上がったものの、暑く寝苦しかった東京の気温を程良く冷やしてくれ、
クーラーの力を借りることなく、久々の熟睡で気持ちの良い目覚めだった。
厚い雲に覆われて、明け方は20度そこそこの多摩地域だったが、
10時を過ぎた当りから陽が射し始め、あれよあれよという間に気温は鰻登り、今日も・・・ 暑くなりそうだ。

頭からすっぽり被れるバスタオルを持ち、ドリンクを2本買って球場に着いたのは11時を過ぎた頃だった。
木陰で第一試合の進捗を確認しながら、満を持して12時前(第一試合の9回表)に球場内に入ったのだが、
9回の表裏にドラマがあったことから、創価の試合はそれから1時間先の13時となり、
試合開始前から既に汗びっしょりとなっていた。

プレーボールは13時01分、後攻めの創価のマウンドには、今日もエース内野が上がった。
トップバッターには上手くミートされたが、ライト松下の正面に飛んだライナーでまずワンアウト
ところが2番にライトオーバーの二塁打を打たれてしまう。

と言っても・・・ この当りは、記録は二塁打だが、これはライト松下の目測誤りといって良いだろう。
おそらく太陽が目に入って、一瞬ボールを見失ったのではなかろうか?
打球に気がつき松下が後ろを向くと、打球はフワリと松下の少し後方に落ちたので、普通なら捕れていると思う。

打ちとった打球が二塁打となって、内野は少し慎重になり球数が増えた。
高低と内外を丹念に突くが、コーナーは別にして高低はボール一つ高く低くくなりボールが先攻する。
粘って左打者の内を攻め、ストレートで詰まらせたが・・・ 打球は12塁間の真ん中へ飛んだ。

この打球を、2塁走者への牽制でベース寄りに守って居たセカンドの奥が懸命に追っかけ
グラブの先に引っ掛けると、振り向きざまに1塁へ送りツーアウト

このプレーは大きかった。
初回からビッグプレーが飛びだしたと言っても良いのではなかろうか。
打球が緩かったことと、初回故にライトの松下も前に守っていなかったこともあって
仮に12塁間を抜けていれれば、間違いなく1点だっただろう。

二死となったが、3塁へ走者を置いてバッターは帝京八王子の4番、
巨漢で、いかにもパワーのありそうな打者がゆっくりと左バッターボックスに入った。

しかし、ここで動じないのが経験を積んだ内野である。
強気にストレートで内を攻め、簡単にワンボールツーストライクと追い込むと、
ファールを挟んでツーボールツーストライクとした後、外に緩く抜いた変化球を振らせて空振りの三振
立ち上がりの想定外のピンチだったが・・・ さすが内野だ。

 
二試合連続で完封した創価バッテリー [写真左]キャッチャー南と[写真右]エース内野

1回裏、帝京八王子のマウンドには、エースナンバーを背負った吉田が上がる。
あまり大きくはなく、スピードも然程に感じないのだが・・・ とにかく制球が良い。
内野がボール一つ低く際どくボールになっていたところに、どんどん投げ込みストライクを取って来る。

1番奥は、外いっぱいのストレートを見逃して三振
2番松下は、止めかけたバットに当ってピッチャーゴロ
3番南は、外のボールをおっつけたが、ライトへの平凡なフライで三者凡退に打ち取られた。

3球投げたらワンボールツーストライクのパターンで、強気にぐいぐいと攻め投げ込んでくる。
創価打線はカウントを悪くしてから、ボール気味の球を振らされる悪循環が続く。
こりゃぁぁ・・・ ちょっと手こずりそうだ。

ふと今朝の出掛け前に、テレビで途中まで見ていた早実vs.都立八王子北の試合(J-COM)を思い出した。
八王子北の投手は、帝京八王子の投手のようにスピードはないが、丹念に丹念に四角を攻めると、
ブンブン振りまわしてくる早実打線は、完全に術中にはまり凡打の山を築いていた。
結果は1対0で早実が勝っただが、選抜大会に出場したシード校としては大苦戦と言っていいだろう。

創価打線のスイングが大きくなり、ボール球を振らされると思わぬ苦戦となるかもしれない。
事実、打者一巡までの創価打線は、なかなか芯で捉えることが出来ない。
天空はカンカン照りなのに、バットは重くスイングの冴えを封じられた立ち上がりとなった。
何となくだが・・・ 重苦しい雰囲気で序盤は進んで行った。

 
堅守が光った鉄壁の二遊間 [写真左]ショート林と[写真右]セカンド奥キャプテン

2回はともに三者凡退、3回は四球と内野安打でともに走者を1人ずつ出すも走者を進めることが出来ない。
互いに打線が2巡目に入った4回から試合は動き出した。

まず帝京八王子、先頭は3番は二遊間に転がすが、守備範囲の広いセカンド奥がナイスフィールディング
続くは初回三振に打ち取った4番、内野の強いストレートにバットは振り遅れ気味だったが・・・
芯に当っていたことと、しっかり押し込めていたことと、飛んだ位置がショートの頭上だったこともあり
打球は左中間を真っ二つに割る二塁打となった。

内野にすれば、あのボールを・・・ あそこに持って行くか? そんな打球だったが、
さすがに巨漢のパワーヒッターである、初回にこの打球が飛んでなくて何よりであったと思う。

一死2塁、打順は5番に回ったが、度胸良く抜いた緩い変化球を投げて空振りの三振
6番の時に、たぶんサインプレーの勘違いだろうと思うが、巨漢の2塁走者が3塁へ走って楽々アウト
これはラッキーであった。

ピンチの後にチャンス有りである。
その裏の創価は2番の松下、鋭く振り抜いた打球がセンターの頭上を襲った。
一瞬、「抜けた。」と思ったが、ここは相手のセンターが上手く背走しながらランニングキャッチ
アウトにはなったが・・・ 今日初めて、打線が芯で捉えた。

松下の痛烈な打球に、ここまでの3イニング眠っていた創価打線が目覚めるのだから高校野球は面白い。
ここまで芯で捉えられなかったのが、まるで嘘のように猛攻が始まるのだから分からないものである。

一死とはなったが、3番の南がファーストストライクを果敢に打って出てライト前に落とすと
4番の矢澤も積極的に初球を叩いてレフト前ヒットで続く。
ここで見逃せないのは、1塁走者だった南の走塁だろう。
やや左中間寄りで弾んだ矢澤の打球を、レフトが膨らんで処理に行ったのを見逃さず一気に3塁を落としいれたのだ。

一死13塁、一打先制の場面でバッターボックスに5番の海老原が入った。
ボールを1球見逃した後のファーストストライクを軽くミートすると、打球はあっという間に三遊間を割っていた。
3塁から南が小躍りしてホームに戻って来て、まず・・・ 1点

さらに6番の若林も初球を叩くと、打球はあっという間に右中間を割り、
2塁ベースの矢澤に続き、1塁から海老原まで戻ってきて2点追加を追加する。

この回、ここまでの打者は5人、でも・・・ 投げた球数は10球ぐらいじゃなかろうか。
前の回までの打者一巡、ボールを見極めていたのか? はたまた打ちあぐねていたのか?
たぶん後者で間違いないと思うが、この回からの創価打線はファーストストライクに的を絞っていた。
きっと監督からの指示だろうと思うが、フルスイングではなくコンパクトなミートに徹していた。

一死2塁から7番の内野は、少し力んでセカンドフライとなったが、
8番の小野がファーストストライクを叩いて三塁線を抜き、さらにもう1点
続く9番の林はバントの構えで揺さぶると、変化球が抜けて背中への死球となり二死12塁となった。

打順はトップに戻って1番の奥、ストレートに詰まってショートゴロに打ち取られるが、これをショートがファンブルする。
はじいた打球を素早く処理すれば、2塁は際どいタイミングだったと思う。
残念だが・・・ 炎天下での長時間の守備と、積極果敢にヒットを連ね得点を重ねる創価打線の圧力に
次のプレーに対する思考が、若干鈍くなっていたのかもしれない。

二死満塁で2番の松下が、この回2度目のバッターボックスに入った。
松下もファーストストライクを叩く、打球は右中間を完全に抜けたと思ったのだが、
相手センターの守備範囲が広く、これまたギリギリのところでランニングキャッチされてしまった。
相手の上手い守備で、松下は長打を2本損した勘定だが、しっかり捉えているので心配の必要はないだろう。

 
[写真左] スクイズ外しのボールをファールに粘った8番小野 [写真右] 二塁打2本と大当たりの6番若林

高校野球というものは・・・ 試合が動き出すと、ピンチとチャンスが交互にやって来る。
高校野球の神様は、炎天下で一生懸命にプレーする球児には平等にチャンスを与えてくれるのだ。

5回表、4点を追いかける帝京八王子は、先頭打者がライト前へのクリーンヒットで出ると
続く打者には送らせず、強硬策で攻めて来た。
打球は12塁間で大きく弾んで、ライト前に抜けたが・・・ 不運にも1塁走者の足に当っていた。
これはラッキーだった。本当にラッキーだった。
無死12塁が、一瞬にして一死1塁となったのだから・・・ これは大きかった。

この回のチャンスを逃したくない帝京八王子は、続く打者には犠打を指示する。
このバントが実に絶妙だった。
ピッチャー内野と、ファースト若林のちょうど真ん中に転がるが
内野は全く慌てることなく、素早くマウンドをかけ下りると、グラブの先で抑えて素早くカバーに入った奥にトス
ミスが起きやすい場面だったが、創価の守備陣は確実にアウトを一つ積み重ねて行った。

二死2塁、ここを勝負所と読んだ帝京八王子は、ここまで力投していたエースに代打を送り勝負を仕掛けて来た。
しかし・・・ 二死を取った内野は落ち着いていた。
速いストレートで素早く追い込むと、抜いた変化球を振らせて空振りの三振に打ち取った。
ピンチにも全く動じない、ここ一番の場面での制球は間違えない、エース内野に堂々の風格が漂い始めて来た。

 
[写真左] 先制点は5番海老原のバットから [写真右] 試合後の球場の外、満面の笑みで応えてくれた4番矢澤

5回裏、エースに代打を送った帝京八王子のマウンドには背番号16の投手が上がった。
時おり超スローボールを投げてくるが、ベースとなるストレートの制球がもう一つで、打ちにくさは感じられない。

先頭打者の3番南は、ストライクが入らずスイングすることなく四球を選び無死1塁
4番の矢澤は上から叩いてライト前、ここでも南が好走塁を見せ無死13塁とチャンスを広げる。
5番海老原の時、1塁走者の矢澤が走って無死23塁とすると、
ここで相手キャッチャーが、何でもないストレートを捕球ミス、パスポールで労せずして1点追加すると
海老原は低めのボール気味のストレートを高々とセンターに上げて犠牲フライ、さらにもう1点を追加する。

一死走者なしとなったが、6番の若林が超スローボールを巻き込むようにレフト線に運んで一死2塁
7番の内野はタイミングを外されたが、渋くセンター前に運んで一死13塁とチャンスを広げると
8番小野の当りは、当り損ねのボテボテのファーストゴロとなったが、
これを3塁走者のスタートに気を取られたファーストが、お手玉した上に足が縺れてしまいファンブルして1点追加
さらに9番林のサードゴロは暴投となってもう1点が入る。

一死23塁でバッターは1番奥、前進守備のセカンド左に痛烈に弾き返すと、相手セカンドが横っ跳びで反応
捕っていれば2塁走者が飛び出していただけに併殺だったが、打球はグラブをはじいて2塁ベースの横に転がっていた。

1点入って9点目が入り、なおも一死13塁、あと1点でコールドの場面でバッターは2番の松下
ここで奥が走って併殺の可能性を消すものの、松下は四球となり一死満塁、バッターは3番の南
スタンドは、誰もがここでコールドと思っていたが・・・ 現実は甘くない。

南の打球は緩いショートゴロ、前進守備のショートは本塁へ送球してツーアウト
ここで相手キャッチャーが機転を利かす。
おそらく2塁走者の奥が、3塁ベースを回っていたのが見えたのだろう。

相手キャッチャーは、1塁へは投げる素振りを見せただけでサードへ投げた。
既に3塁ベースを回っていた奥は、躊躇することなく本塁へ向かって走る。
再びサードからキャッチャーへ送球されると、回り込んでブロックを交わしてベースタッチする。
タイミングは際どかったが主審のコールは惜しくもアウト、
珍しいショートゴロの変則ダブルプレーで、この回のコールドはお預けになってしまった。

詰めが甘いと言えば確かにその通りだと思うが、一方で積極果敢な見応えのある場面でもあった。
仮にショートゴロから6-2-3と渡って1塁がセーフだったとしたら・・・
2塁走者の奥は、ホームベースを駆け抜けていたことは間違いない。

次が4番の矢澤だから、無理することはない場面でもあるが、6-2-3が成立していたらそれで終わりだし
キャッチャーからの送球が仮に逸れていたら、それこそ悔いが残る場面でもある。
捉え方はいろいろあるが、躊躇なく3塁ベースを回った走塁は、ナイスランと言って良いのではなかろうか。

そして・・・ 決着の6回
内野は二死からヒットを1本許すが、続く打者をセカンドゴロに打ち取り難なくチェンジ

その裏の創価は、4番の矢澤から
何となく、この回で決まる雰囲気はあったが、まさか一振りで決まるとは・・・ 思わなかった。

2球目だったと思う。
矢澤の特徴でもある1本足打法のダウンスイングからはじかれた打球は、
夏空に大きな放物線を描き、吸い込まれるようにライトスタンドに落ちていった。
5回裏の変則ダブルプレーが、粋な演出だったかのようにすら思えるエンディングとなった。

相手の有ることだけに簡単には行かないが、
連日の炎天下だけに、投手の消耗を考えれば、試合は決めるところで決めなきゃならない。
そう言った意味では1イニング余計だったが、応援する側にとってはホームランが見れたのだから文句はない。

次はミラクルの連続で勝ち上がってきた都立大泉
初戦の2回戦では11四球を出しながら粘り、4回戦では9回二死から相手の連続エラーで逆転、何かしらの運を持っている。
攻撃も守備も、投手の調子も上がってはきたが、絶対に負けられない戦いは、これから胸突き八兆にさしかかる。
目指す西東京の頂点までは・・・ あと四つ。

ガンバレ、創価
一気呵成に、駆け抜けろ


1 表/帝京 右直、右二、二ゴ、三振
 裏/創価 三振、投ゴ、右飛

2 表/帝京 一ゴ、三振、遊ゴ
 裏/創価 二ゴ、左飛、遊ゴ

3 表/帝京 二ゴ、三振、四球、三振
 裏/創価 右直、一安、二飛、三邪飛

4 表/帝京 二ゴ、左中二、三振、盗塁死
 裏/創価 中直、右安、左安、左安1点右中二2点、二飛、左二1点、死球、遊ゴ失、中飛

5 表/帝京 右安、守備妨害(打球が走者に当る。)、犠打、三振
 裏/創価 四球、右安、盗塁、捕逸1点中犠飛1点、左二、中安、一ゴ失1点三ゴ失1点二安1点、盗塁、四球、
      遊ゴ併殺(6-2-5-2)

6 表/帝京 三直、投ゴ、右安、二ゴ
 裏/創価 右本1点、コールドゲームで試合終了

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