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昭和43年盛夏、初めて出会った人生の師匠は云った。
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2015年 秋季東京都高校野球大会 一次予選 代表決定戦

2015年09月20日 | 誓球の空2011-2015

[写真] 丁寧なピッチングで谷井を好リリーフした徳本、打っても技ありのブッシュバンドを決めるなど二安打して大活躍


2015年 9月20日(日) 09:54~11:47 晴れ 無風 東大和創価グラウンド

秋季東京都高校野球大会 一次予選 代表決定戦

中大付 (小金井市)  0  0  0   2  0  0   0  -  - =  2
創価   (小平市)  0  1  1   0  0  4  3x  -  - =  9

[ 投 手 ] 谷井(4)‐徳本(3)
[ 本塁打 ] 
[ 三塁打 ] 中山
[ 二塁打 ] 谷井、真下

1番 (左) 真下
2番 (二) 辻郷
3番 (右) 仁木
4番 (一) 中山
5番 (三) 近内
6番 (投) 谷井 → (5表/中)
7番 (遊) 塚野
8番 (中) 笠原 → (5表/投) 徳本
9番 (捕) 八柄


若干の雲はあるものの、爽やかな秋空が広がった東京北多摩
あと一つで三年ぶりの本戦が叶う創価の戦いは、定刻6分前となる9時54分に始まった。
この青空が、まさかまさかドラマチックな脇役を演じるとは・・・ この時点では、全く持って知る由もなかった。

今日の創価は、スターティングメンバーに変わりはないが、打線を少し変えてきた。
7番を打っていた真下を1番に起用すると、1番だった仁木をクリーナップの3番に抜擢する。
二戦連続して先制タイムリーを放った3番の近内は、当たりの出てなかった谷井に代わって5番を打ち、谷井は一つ下がって6番
7番以降は、6番だった塚野が7番で、8番八柄と9番笠原は打順が入れ変わり、8番笠原、9番八柄となった。
4番は・・・ もちろん、俊足強打の中山である。

対戦する中央大学付属(小金井市)は、観戦した感想で言えば、右の本格派エースを中心にした堅い守りと、
センターから反対方向へコンパクトに打ち返す基本に忠実なバッティングで、コツコツと塁を進め得点を重ねており、
一旦受け身に回ると、ちょっと厄介なチームカラーだ。
まずは先制点、そして中押し、ダメ押しを期待したいのだが・・・ 試合は思いもしなかった展開となっていく。

1回表、谷井は先頭打者にスリーボールツーストライクと粘られるもサードゴロに打ち取りワンアウト
2番はツーボールツーストライクから自慢のストレートで見逃しの三振、
3番も当り損ねでピッチャーゴロに打ち取るが、ここでファーストへの送球がショートバウンド、
一瞬ヒヤッとしたが、ここはファーストの中山が上手くすくい上げて三者凡退

その裏の創価は、トップバッターの真下がセカンドフライに倒れた後、2番辻郷が粘って歩く。
3番仁木は引っ掛け気味に三塁線を襲うが、相手サードが好反応を見せ5-4-3と渡るが、1塁は仁木の足が速くセーフ
すかさず仁木が盗塁を決めるが、ここで4番中山は勝負を避けられて歩かされ二死12塁
5番近内との勝負になったが、近内は初球を打って詰まった当たりのセカンドフライで得点には至らない。

2回表、ここから試合はじわりと怪しげな展開に傾きかける。
先頭の4番をファーストのファールフライに打ち取った後、5番には追い込みながらも、なかなか勝負がつけられず
決め球のボールを見極められフルカウントまで粘られると、あっさり歩かせてしまう。

先週もそうだったのだが、勝負球で決めきれずカウントを悪くすると6割ぐらいの確率で歩かせており、
粘りが足りないのが気にかかる。
また、配球も少し単調で、強気のストレートは悪いと思わないが、何球も続ければ相手の目も慣れて粘られてしまう。
谷井は基本的に八柄のサインに首を振ることはない。
バッテリーで投げたいボールについて、意思統一されているのだと思うが、もう少し工夫があっても良いのかもしれない。

一死1塁から、6番には追い込むも変化球が抜けてしまい、足に当たる死球で一死12塁とピンチを迎える。
しかし、ここで谷井にエンジンが掛かると7番は変化球で見逃し三振、8番は外のストレートを振らせて空振りの三振
難なくスリーアウトにはなったが、ちょっと気になったのは中大付打線のスイング
現時点では空振りが多いとはいえ、ヘッドアップはしてなく、しっかりとしたスイングをしており、
バッテリーの単調な配球に合わせ、ストレート狙いが上手くハマれば・・・ 何となく胸騒ぎがしないでもない。

その裏の創価は、先頭の6番谷井がいきなりぶつけられてしまう。
ストレートが左の肩の下に当り、一瞬ヒヤッとしたが1塁へ歩く谷井をみれば、
利き腕ではなく、その後痛がる素振りがなかったので、まずは一安心なのだが・・・ あえて一つ注文をつけるとしたら
ぶつけられた後、谷井がしばらく相手投手を睨み付けていたこと、投手ゆえに気持ちは分かるが、
悪意のない投球に対し、威嚇することは正直言ってあまり感心しない、ここは一つ、ぐっと堪えて闘志を内に秘めてほしいものだ。

無死1塁から7番塚野は送らず強硬策、詰まった当たりが幸いして一死2塁となり、結果は送ったと同じになった。
さらに8番笠原は意表を突くセーフティ、相手投手が急いでマウンドを降りてくるがファーストには遅れず一死13塁
ちょっと思うに、無死から打たせて、一死から送りを選択、結果は内野安打で一死13塁
あえてセオリーとは違った選択をしてるのだろうか・・・ 結果が吉と出ているだけに問題ないが、気にならないでもない。

そして・・・ ここで9番八柄がスクイズ、投手の正面でタイミング的には際どかったが、
3塁ランナー谷井のスタートが素晴らしく、ピッチャーからのトスがキャッチャーに渡った時には既にホームベースを駆け抜けていた。
犠打野選だと思うが、スコアボードのランプはヒット、1塁へ送ってもセーフだったらその通りだが、このランプは間違っている。

さらに一死12塁で、押せ押せの場面だったが、ここからの攻撃がチグハグになってしまう。
まず2塁走者の笠原が牽制で刺されてしまいツーアウト、1塁走者の八柄が盗塁を決め二死2塁とするが
1番真下の痛烈なレフト前ヒットに本塁へ走ってしまい、ベースの2メートルぐらい手前でタッチアウト
これは明らかに暴走だろう、3塁コーチは手を回すでもなく広げるでもなく、走って来た八柄の勢いに押されて判断が遅れていた。
打順は上位に回っていただけに・・・ 一瞬の隙と、雑な攻めが残念でならない。 

[写真] 前の試合の7番から1番に抜擢された真下、7回裏無死満塁からレフト線に試合を決めるタイムリー二塁打を放つ。

3回表、死球を受けた後の谷井に注目していたが、一死から四球で歩かすとツーアウトは取るが、
3番打者に初球を痛烈にセンター前に運ばれてしまった。
二死12塁で4番、初球は外の低めのストレートを空振りしたものの、スイングは豪快で明らかにストレート狙い
いや、ファーストストライク(初球)のストレート狙い、初球はストレートでストライクを取りに来るバッテリーの心理を読んでいる。

結果的にはスリーボールツーストライクまで粘られたものの、変化球でタイミングを外し空振りの三振に打ち取ったが
2回と言い、3回と言い、無失点なんだけど・・・ スムーズに流れになっていない。
その裏、創価は二死塁から5番近内のタイムリーで2点目を挙げ突き放しに入るが、直後にこの試合最大のピンチがやって来る。

4回表、この回も始まりは、初球のストライクを取りに来るストレートだった。
相手5番が痛烈に叩いた打球は右中間を真っ二つ、
スタンディングダブルで無死2塁から、6番はスリーボールツーストライクから歩かしてしまい無死12塁
7番は手堅く送るが、キャッチャーの目の前に転がった打球を、キャッチャー八柄が打者との交錯を避けてワンテンポ遅れた上に
3塁へピリッとした速いボールを送らずセーフとなってしまう。

一死12塁のはずが無死満塁、続く8番はバッテリーの動揺を見透かしたように、初球のストレートに反応してライト前に運ばれる。
1点取られて、なおも無死満塁、9番はファーストゴロに打ち取り本塁アウトで一死満塁となったが、
1番にはストライクが入らずスリーボール、スリーツーまで戻すが勝負のストレートが甘く入りライト前に運ばれると
3塁走者が戻って同点とされるが、勝ち越し点となる2塁走者はライト仁木の好返球で辛うじてタッチアウト

さらに二死12塁の場面だったが、谷井が意地で2番を三振に打ち取り、何とか同点止まりで凌ぐことが出来た。
もし・・・ 1番がライト前のタイムリーヒットではなく、押し出しの四球だったら、どうなっていただろう。
大量点を取られていたかどうかは分からないが、キチンとしたバンド処理と配球(制球の方かも)の見直しが大事だということだろう。
アウトは取れるときに取っておかないと、取りたいときに簡単に取れない、本戦に向けて良い経験をしたと思うしかないだろう。

その裏、創価も二死13塁と攻める、2番辻郷の打球はピッチャーの足元を襲うがグラブに弾かれセカンド前に転がってしまい無得点
5回表、何となく・・・ 流れがおかしくなって来たと読んだ創価ベンチがすかさず動いた。
制球が定まらない谷井をスパッと諦め、センターに回すと
センターの笠原に代えて、背番号11を付けた徳本をマウンドに送る。
さぁ、ここからもう一度仕切り直しだ。

5回表、徳本は先頭を四球で歩かし、続く打者に犠打で一死2塁とされるが、後続をキッチリ打ち取り流れを断つ。
さらに6回表、一死から再び四球を出すが、リードの大きい走者をキャッチャー八柄が牽制で刺し、打線の奮起を待つ。

[写真] 打球の伸びがワンランク違う。センターフェンス最上部に直撃する三塁打を放った4番中山の豪快なスイング

そして迎えた6回裏、爽やかな秋空がイタズラをしてしまった。
先頭の7番塚野がセンターフライに倒れた一死から、バッターは5回からマウンドに上がった8番の徳本が12塁間を割って一死1塁
9番の八柄はキッチリ送って二死2塁で、バッターは今日ここまで2安打のトップバッター真下

タイムリーヒットを期待したが、打球はピッチャーマウンドの少し前に高く上がったフェアフライ
万事休すだが、2塁走者徳本も打者走者真下も一生懸命に走っていた。
マウンドの少し前で気持ち1塁よりだったから、本来ならファーストが声をかけて捕球に行くのだろうが
ピッチャーが声を出した後、本当に自分で良いのか、そう思ったのだろうか、ほんの一瞬だけど目を離したように見えた。
再び上空を見上げた時、秋空とお昼ちょっと前の太陽がイタズラをしてしまい、打球を見失ってしまった。

それでも打球に触れていなければ、打球はそのまま転がってファールゾーンに出ていたのでファールになるところ、
ベンチは大きな声でそのことを野手に伝えるが、野手がアピールプレーをせず、主審もフェアのコールをファールに変更しない。
おそらくグラブに触れていたことを、一番近くの当事者が分かっていたということだろう。
そして、秋空のイタズラが終わったグラウンドでは、2塁走者の徳本は本塁を駆け抜け、打者走者の真下は2塁ベースに達していた。

勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなしとは・・・ 言うものの、
改めて野球には、本当に不思議なことが起こるものだと実感させられるワンシーンだった。

あっけないというか、想定外の形で創価が勝ち越し点を取ると、ここから創価の猛攻が始まる。
続く2番辻郷は、初球を痛烈に叩きセンター左へのライナー、センターが走りジャンプして捕球を試みるがグラブに当てたものの落球
ヒットでも良いような当たりだったが、これがエラーとなり1点追加
さらに3番仁木がレフト前にクリーンヒットで続くと、4番中山はセンターのフェンス上部にダイレクトで当たる三塁打を放ち2点を追加
僅か数分の間に起こった、あっという間の出来事は、この試合を勝敗を・・・ ほぼ決定づけるものになっていた。

仕上げは7回裏、先頭の6番谷井がレフト線に二塁打を放つと、中継ミスを見逃さず3塁を落とし入れる。
7番塚野は前進守備の三遊間を真っ二つに割り1点
8番徳本は犠打の構えから、1塁へベースカバーに入るセカンドの左にプッシュバンドを決め内野安打
9番八柄はサードの前に犠打を転がすが、ダッシュが遅れたサードが1塁へ送球できず、またまた内野安打となり無死満塁

そして、またしても・・・ 1番の真下に打順が回って来た。
狙いすました打球はレフトの左を襲い、フェンスに到達する間に3塁から塚野、2塁から徳本が戻って来て7点差となりコールドゲーム
今日はクリーンナップに打点に加えて、打順変更の期待に応えた真下の大活躍が光る。
さらに谷井に代えて、徳本投入と言うベンチの采配も見事だった。

気がかりは、ここ二試合を通して谷井の制球に安定感がないことぐらいになるが、
強いボールは来てると思うので、あとはキャッチャー八柄のリードと、谷井の気持ちになるのだが
主将として責任を感じる中、3年ぶりの秋本戦を決めたことによって、次は肩の力が抜けることに期待しても良いのじゃなかろうか。

目標は、まだまだ先にあるが、
まずは一戦必勝で・・・ ガンバレ、創価


1 表/中大付 三ゴ、三振、投ゴ
  裏/創価  二飛、四球、三ゴ、盗塁、四球、二飛
 
2 表/中大付 一邪飛、四球、死球、三振、三振
  裏/創価  死球、一ゴ、投安(セーティバンド一死13塁)、投安(スクイズ、本塁セーフ)1点、牽制死(1-6)、左安(本塁アウト)
 
3 表/中大付 左飛、四球、三振、中安、三振
  裏/創価  二直、四球、左飛、盗塁、右安1点、中飛
 
4 表/中大付 右中間二、四球、犠打野選(無死満塁)、右安1点、一ゴ(本塁アウト)、右安1点(2点目は本塁アウト)、三振
  裏/創価  一邪飛、遊ゴ失(暴投)、捕飛、左安(二死13塁)、二ゴ
 
5 表/中大付 [選手交代・中/笠原→投/徳本、投/谷井→中] 四球、犠打、遊ゴ、三振
  裏/創価  左安、中飛、右飛、遊ゴ
 
6 表/中大付 二飛、四球、牽制死(2-3)、三振
  裏/創価  中飛、右安、犠打(二死2塁)、投飛失(落球)1点(二死2塁)中直失(落球)1点(二死2塁)、左安(二死13塁)、中三2点、中飛
 
7 表/中大付 二ゴ、三振、中飛
  裏/創価  左二(返球乱れ無死3塁)、左安1点、二安(プッシュバンド/無死12塁)、三安(バンド安打/無死満塁)、左二2点、試合終了

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2 コメント

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Unknown (武蔵砂川)
2015-09-21 09:48:39
多摩爺様

いつも的確で爽やかな記事をありがとうございます。

6回の落球以降、創価の選手はのびのびとプレーをすることができ、本来の力を出すことが出来たように思います。

私も2回戦と3回戦をバックネット裏から観戦しておりました。

2試合とも徹底的に外角低めのストレートにこだわっていることが誰の目にもあきらかでした。

あくまで個人的な意見ですが、ベンチの指示だったのではないかと感じました。

実践で外角低めにいつでもコントロールできるという自信をつけるという狙いがあったように思います。

武蔵砂川

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Unknown (誓球の空)
2015-09-21 17:45:12
武蔵砂川さま
コメントを頂戴しありがとうございます。

谷井君が本格化すれば、そんなに打たれる投手ではないと思います。
私見で申し訳ないのですが、唯一の難点は優しい顔立ちで綺麗なフォームですから、迫力と言うか威圧感に乏しいところでしょう。
しっかりと下半身を鍛えて制球が良くなれば、文句なしに東京を代表する投手の一人になると思います。
甘いマスクですから、実績がともなえば黄色い声援が増え、人気が出るんじゃないでしょうか。
今後の成長に期待したいと思います。
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