道東を発見する旅 第3の人生

地下トンネル、中国人の苦悩、ニーハオ・トイレ

こんな所が開いた

用事があり、日曜日に病院に行った。IDカードで出入りする職員限定の制限エリア区域から、一般の人が出入りするエリアに通じるドアを出たところ、外の廊下を歩いていた、お見舞い客風のカップルが、突然現れた自分の姿を見て「あ、こんな所が開いた」とびっくりしながら中をのぞきこんでいた。

廊下から、自分が出てきた扉を見たら、白一色でこんな所が急に開くなんて誰も想像できない、隠し扉のようだった。きっと、カップルからは羨ましがられているに違いない。

夜間や休日は、外来のあちこちにシャッターが降りている。外来の一角にある検査室に行くには、シャッターを迂回する経路を探さなければならなかった。ウロウロして、ようやく見つけた経路は、秘密のエレベーターを使うことだ。それでシャッターの向こう側に入る事ができた。ほとんどクリアーしたが、最後の大物がまだ残っているようだ。

地下トンネル

もう30年も前の話である。アメリカで自分達の勤務していた米国国立衛生研究所は、世界最大のバイオの研究所だ。広大な敷地のあちこちに遠く離れて大きなビルが点在している。ある時、一時的にウサギだったかマウスかに免疫して抗体を作成する実験をやることになった。

テクニシャンに相談すると、特別の動物実験施設なら、すぐ動物を手配できるという。その代わり、ちょっと遠い所にあるという話だった。前日、準備できたから免疫に行くとテクニシャンに伝えた。

当日、テクニシャンが自分とN子さんの2人(一緒に実験していた)に、「さあ行こう」と声をかけてきた。その人は隣のラボの黒人テクニシャンから鍵を借りてメインテナンス専用のエレベーターに乗り地下2階か3階に降りた。すると、そこには見たことの無い地下トンネルがあった。トンネルは薄暗いが最低限の照明があり、電気自動車のような乗り物が置いてある。

テクニシャンがエンジンをかけて自分たちは後部座席に乗せて貰った。地下トンネルを10分くらい走り、地上に上がった所が初めて見る動物実験施設だった。かなり制限が厳しい所であり、HIV関連のノックアウトマウスが作成されている特殊な施設であったようだ。その施設から自分たちのいるビルが遠くのほうに見えた。

少なくとも、自分の回りの日本人で、地下トンネルを通った経験のある人はいなかった。アメリカでは、重要な施設の場合、このような地下トンネルが普通に存在しているようである。

バージニアの地下施設に避難

それで思い出したのが、例の「9.11テロ」の事だ。事件当日、当時の外務大臣田中真紀子氏は、記者から聞かれるままに、合衆国のブッシュ大統領は、「バージニアあたりの地下施設に避難しているそうですよ」と、アメリカの重要な国家機密を、新聞記者にベラベラ話してしまいアメリカ政府から不快感を示されたという、とんでもない話があった。

そう考えると、中国のあのスケールの大きさからすると、故宮や天安門など北京の要所にも地下トンネルが存在している可能性は高いのだろう。自分たちがテクテク歩いたあの広場の下にもきっと何か特別の施設があってもおかしくないように思う。

中国人の苦悩

さて、北京旅行の続きである。北京で興味深かったことの3つ目が中国人の表情だ。苦難を一身に引き受けているように眉間にしわを寄せて歩いている人がやたらと多い。さらに無表情で喜怒哀楽を忘れてしまったような表情のない人もすごく多かった。

日本に戻って、ラッシュ時の梅田の雑踏に大衆の表情を見に行ったが、中国人ほど深刻な表情をしている人は誰もいなかった。逆に、幸せそうな表情をしている人や愛想が良さそうな表情の人も多い。大阪は本音でしゃべる文化なので、中国人の感情を抑えないという習慣とも共通しているようだが、中国人の苦難に満ちた表情の意味がよく理解できなかった。

ニーハオ・トイレ

そして、たどり着いたのがニーハオ・トイレである。まずニーハオ・トイレについて説明したい。

北京に到着した日の午後、息子と2人で郊外にある「アートスペース798」という所に行った。中国の芸術家が出展しているギャラリーが、古い工場の広大な跡地にある。あちこちに色んなオブジェが展示してあり陶芸や絵画などたくさん売っている。そこはかなり面白い場所であったのだが、自分が最初にニーハオ・トイレに出会った場所でもあった。

初めて公衆トイレに近づいた時は、周辺がすごいアンモニア臭で、トイレの床がおしっこまみれで大変なところだった。大便をする場所には隣との仕切りがなく、しゃがんでふんばる所は丸見えである。入ってきた人と顔をあわせてニーハオ(こんにちわ)と挨拶しあうところから、ニーハオ・トイレと名付けられたという。

初日にこのトイレに入った時はビックリして、自分は死ぬまで、こんなトイレに慣れる事は出来ない、清潔で安心感のあるトイレのある場所で暮らしたいと思ったものだ。

それでも3日目に、古い北京の旧市街(胡同というらしい)を歩いているとき、公衆トイレをずいぶん身近に感じるようになっていたのには我ながら呆れてしまった。

トイレと羞恥心の関係

さて、トイレと眉間のしわがどう関係するのかという点である。難しそうな表情と便意を我慢している表情に共通点があるように思うのだ。我々日本人は、トイレは汚れた場所で、排便を我慢しては体に良くないという事を教えられ、羞恥心が発展して本心を他人に悟られてはいけないという自己防衛の心が存在するように思う。

一方、幼い時から人前での排便に慣れてしまっている場合、そんな方面での羞恥心は無いという。その結果、心の底を人に知られることに対しての羞恥心はないだろうし苦悩をそのまま表情に出しても罪の意識はないのではないかと考えた。

これが正しいとしてどちらが幸せかは分からない。最後は、無理矢理、結論に導いてしまったが、この仮説はじっくりと考えていこう。

読者の皆様、真夏まっさかりです。今週も暑いので身体の変調に注意してください。こんな時は無理は禁物です。7割程度でのんびり仕事をしてください。自分も風邪をひいてようやく治りかけです。無理しません。
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