記事をアップするのが、ちょっと遅くなりました。まず、MMJという医者向けの雑誌の連載エッセイの記事から引用します。
引用元 MMJ ２０１４年6月号 １１０ページ
からだの歌こころの歌、 松村百利子より
引用開始
「胸部写真に白き影あり 医師の声 天気予報図をみるごとく聞く」 時田則雄
解説
天気図の見方を知っていると、等圧線や前線の具合からある程度お天気を予想することもできる。けれども、豊富な知識と経験を持つ気象予報士にはとうていかなわないのであり、胸部レントゲン写真の病変部もなかなか素人にはわからない。
歌の作者は、腫瘍や炎症のあることを示す「白き影」が存在する事を医師から告げられ、少なからずショックを受けたのではないか。「天気予報を見るごとく」という言葉から、自分の事と思えない心情が伝わってくる。
引用終わり
感想
いい歌だ。きっと背景は解説者の書いている通りなのだろう。
以前、NHK教育放送の短歌の番組を見ていた事がある。短い間だったけど、自分も短歌には興味を持ったのだが、今は時間が無いので深入りできないのが残念だ。
その番組では、専門家の歌人が、視聴者の短歌を修正するコーナーがあった。
専門家が作者の言いたい事を解説しながら、やおら赤ペンを持って、ちょっとだけ字句を変更すると、あら不思議！、短歌が激変してして作者の気持ちがダイレクトに伝わってくるようになってしまうのである。
いつも歌人の視点は素人とはまったく違うのだな、と驚かされたものだ。
対比
自分は、この短歌で面白いのがいくつも対比がある点だと思う。
天気図と胸部レントゲン、白い影に対しておそらく台風だろうか？そして気象予報士と医師という3つもの対比で作者が自分の困難な状況を突き放して客観的にながめている姿が見えてくる。
短歌でもなんでも、一度にたくさんの感動を盛り込もうとすると絶対に無理が来る。この短歌もどこかを削らなければならないように思う。
そう思って、自分なりにどこを修正するべきか考えてみた。
天気予報図を見るごとく聞く、という部分がすごく曖昧な感じがするので、そこを削る。
たとえば、「レントゲン、ポツンと映る白い影、天気予報みたいな、医師の説明」としてみたんだけど、コミカルになってしまう。パクリみたいなので、これはこれで終わりにします。
いずれにせよ、どんなシリアスな事でも、自分自身を突き放して客観的に外から見ようとすれば気持ちが変わって前向きになれるだろうことが大事だと思う。
血管がきれい
そこで、自分も思い出した事がある。
嫁さんが乳がんの脳転移で入院したときのことだ。最初に脳神経内科の先生がMRI画像を説明してくれた。
自分も嫁さんも医者なので、その先生は、慎重に言葉を選びながら淡々と脳幹部に大きな腫瘍がある事、それが脳幹部ヘルニアを起こせば致死的である事などを説明した。
そして、自分らが受けたショックを和らげようと思ったのか、おまけのように「だけど、血管はとてもきれいです。動脈硬化がまったく見られません」と言った。
転移性の脳腫瘍なので脳外科の先生が担当に変わります、と言ってその先生はそれで終わった。
説明の後、嫁さんが自分に、「あなたは死にかけですよ、と言った後に、血管がきれいだなんて、そんな事を言われても気休めにもならない」と、とまどいながらも2人で苦笑したことを想い出す。
あれから1年半、嫁さんは低空飛行だけど、随分元気を回復してきた。いつ再発するか分からないけど、脳血管は依然としてきれいなままなのだろう。
その先生を弁護すると、普段は脳卒中症例しか相手にしていないので、きっと動脈硬化の進んだ血管ばかりMRIで見ているのだろう。だから、素直に血管のきれいさに驚いたのだろうと思っている。
専門家は、圧倒的な知識と経験から、時にはとんでもないことをしでかす、という具体例なのかもしれないです。
検定試験を受験した
日曜日の朝、検定試験を受験した。気が向いたらそのうち詳しく書こうと思うけど、出来はもう一つだった。
勉強の進み具合が遅れてしまい、練習問題を十分こなせなかったのが敗因だ。明らかに点を取らせるための問題を３つも４つも落としてしまったことはショックであった。
逆に、難解な問題はすんなりと解けていたので、勉強法は間違っていなかったのだろう。８０点は取りたいと思っていたけど、60から70点くらいしか取れていないと思う。
合格するかどうかは全体の成績次第なので何とも言えないところだが、自分が納得できないので、もし合格していても再度11月に受験したいと思っている。
真剣に受験したなんて、大学院の入学試験（なんと34年前です）以来なので、勉強する能力自体が落ちているのは仕方がないけど、これから11月まで猛勉強するつもりです。
