満員電車
数日前、仕事帰りにゴールドジムに行き筋トレをした後、梅田始発の電車に乗り込んだ。
出発を待っている電車の中は満席だった。網棚にバッグを乗せつり革をつかみ出発を待っていた。
ふっと自分の前の席に座っている若い女性が、膝の上で開いている本に目がいった。
「フーン、料理のレシピ本だ、あれ英語が書いてある、ちょっとオシャレな本だな」と思った。
その瞬間、その女性が顔を上げて自分の方を見た。
そして間髪入れずに彼女は自分に向かってニコッと笑った。
そして軽く会釈しながら、声にならない声で「どうぞ」と言った。
自分は「エーッ、まさか、席を譲ってくれたのか」と頭が真っ白になる。
年寄りと認識されて席を譲ってくれたのだろう。自分が老人であるという理由で席を譲られたのは、人生で初めての経験だ。
譲ってあげたくなる老人
よく見かける光景であるが、若者から席を譲られた老人が「年寄扱いするな」とキレてしまうところまではいかなくても、頑固に拒否して若者が困っていたりすることがある。
それは嫌なので、自分はニコッと笑い返して「ありがとう」と言い素直に席に座った。
その彼女は、自分の前に立ち本を読んでいた。
結局、自分と同じ駅で電車を降りたので、その時、もう一度感謝の言葉を伝えたのだが、ニコッと笑ってスタスタと歩いて行った。
自分も、たまに老人に席を譲ることはある。
だけど、どうしても席を譲らなきゃいけない状況はあまり無い。
むしろ譲ってあげたら喜んでくれそうな善良そうな老人に声をかける。
そうでなければ、黙って立ち上がり隣の車両に移ったりして気楽に座れるようにしてあげる。
いずれにせよ、頑固で意地悪そうな老人には、そんな気にならない。
したがって、席を譲ってくれた彼女も自分のことを善良な席を譲ってあげたくなる気持ちになってくれたのなら、それはそれでうれしい。
そう考えると気が楽になるのだが、このエピソードにはもっと重要な意味があるのだと考えている。
人生の潮目
潮目、goo国語辞書より引用
http://dictionary.goo.ne.jp/jn/94130/meaning/m0u/
1 速さの違う潮の流れがぶつかり合う場所で、海面上に細長く伸びた筋が見える所。その筋に沿って、藻、木片や泡などが集まり、さざ波がたつことがある。潮境によく見られ、好漁場となることが多い。潮の目。「海釣りは―を読め」
2 流れゆく物事が向かう方向。また、情勢が変化するその境目。「汚職発覚で県政の―が大きく変わる」
引用終わり
人生の潮目
数年前、北海道の離島に住んでいるとき、フェリーで本土(北海道の港町)から島に向かう途中、船の揺れ方が大きく変化するところがあった。
そこは海の流れが、本土の近海から外洋(日本海)の荒波に変わるところで、そこから揺れ方が激しくなって慣れない人が船酔いし始める場所だ。
そこを過ぎてから青い顔をしてトイレに駆け込む人が多くなるのである。
自分は、離島に住むようになり潮目という言葉を知り、派生する意味も知ったのだ。
海の荒波の潮目のように、我々の人生にも大きな岐路に立つポイントがあると思う。
海の流れが変わる潮目は、大自然の自然現象で自分でどうすることもできない。
自分がとる態度は、次の2つのうち1つしかない。
潮目が変化した事を素直に受け入れるか、あるいは頑なに拒否するかである。
今回のエピソードでは、相手が若いお姉ちゃんで自分が本をのぞき込むという行為をした結果だとしても、年寄りで社会的に保護されるべき対象だと認識されたこと自体は、素直に受け入れるべきである。
たとえ64歳の自分がベンチプレスで100キロ近く上げていたとしても、年寄りは年寄りであると認めて、その分、無理すると大けがになるのは間違いない。
老化を認めて大事に至らないようにする、それが潮目の変化に素直に対応することだ。
そう考えて周りを見ると、40代とか50代の人で明らかに無理筋の事をしている人がいる。
例えばであるが、「自分は正しいことを言っている、それのどこが悪いの」と言って絶対に人に譲らない人なんかである。
若いころはそれが通っていたのだろうけど、ある程度の年齢に達すると孤立して誰も相手にしなくなっていたりする。
これなんか、本人もマズイかなと思っているようだけど認めないケースで、誰でも潮目を感じたら素直に従うほうが良いと思う。
映画を見に行く
最近、家からモノレールに乗り10分の万博記念公園に新しくアウトレットが出来た。関西でも有数の大きなショッピングモールだ。
もう3回も行ったのだが、いつも人がいっぱいだ。
そこには新しい映画館が出来た。早速、息子と2人で2回も映画を見に行った。
一つはエベレスト、そして先週の土曜、21時50分開始で午前0時30分終了の「007、スペクター」を見た。
いつの間にか、ダニエルクレイグも47歳になったそうだ。
映画の冒頭のシーンでスーツ姿で狙撃銃をかついで建物の屋上を歩くシーンがめちゃくちゃカッコよかった。
スーツの胸や肩がパンパンで、特に上腕がパンパンだった。
もちろんフルオーダーなので、腕回りも採寸してぴったりに作っているのだろうけど、スーツ姿で肉体を誇示できるのはたいしたものだ。
前作までと違い、今回は裸を見せるシーンがほとんどなかったようだ。
それでも真剣に走って逃げるシーンなんかもあったしハードな動きもこなしていたが、いかんせん47歳という肉体年齢は、007シリーズの主役の限界に近づいているのだろう。
ストーリーも、これまでの彼の全作品を総括するような内容だったし、これで007のヒーローとしては見納めになると思うと、ちょっと残念だけど、たくましい肉体は、もうしばらく維持されるものと期待している。
アウトレットについて時々話題にしたいと思います。もう一つ、ついでにテレビにノーベル賞をもらった大村先生が出ていたが、あの人の顔は80歳を越えているにもかかわらず、肌がツルツルで老人性のシミなどが目立たないのがすごい。
きっと充実して燃焼してきた人生を過ごしてこられたのだろうと感心している。