道東を発見する旅 第3の人生

YMの不倫ネタ、臨床実習、知識の体系化、構成主義

YMの不倫ネタでガールズトーク

昨日、午後から大学で学生の講義に行ってきた。医局に入ると女性陣がガールズトークの真最中で、離婚したタレントのYMネタで盛り上がっている。ネットで見かけるスキャンダラスなタイトルで「ガッカリした」とか色々な言葉が飛び交っていた。

YMの間男騒動は、自分もネットで調べて色々知っていたので、皆が驚くようなエピソードを披露した。おかげで、いつの間に会話の中心になっていた。

イケメン

講義の30分くらい前に着いたのに、気がついたら7分くらい前だ。講義といっても、少人数(7人くらい)でパワーポイントの資料を見せながら質疑応答形式でやるだけである。自分にすれば気楽なもので、話の内容をYMの不倫話から、感染症の診断と治療に変わるだけだ。

ガールズ(といってもおばさんだけど)の一人が、「先生、今週の学生は割と良く知っていますよ」と説明してくれる。すると、もう一人の人が「一人だけイケメンがいるんですよ、よく勉強していて・・・」と高く評価している。

昼休みのイケメン

自分は、「じゃあ、イケメンを見てくる」と言って2つ隣の小さな部屋に出かけた。7人の学生のうち、男子が4人、女子が3人だ。自分がパソコンとプロジェクターの準備をしている間、イケメンの男子学生はテンションが高く女の子相手に無駄話をふっかけていた。残り3名の男子は退屈そうに講義が始まるのをまっていた。

やおら講義を始める。学生に色々質問してその答えを聞いていると、その学生の知識の量や理解度がおおまかに見えてくる。

そこで、この知識量なら、このレベルでの説明でいいだろうか、と考えながら、何故そうなるのか説明する。それの繰り返しで講義を終えた。

残念ながらイケメン君は居眠りばかりしていた。お昼休みでテンションが上がり過ぎていたのだろう。残りの男子3名は、自分の話を聞き漏らすまいとして一生懸命聞いてくれていた。

一方、女の子は聞いているのか、聞いていないのか反応に乏しく無かった。手前味噌だけど、絶対役に立つ講義であったと思っている。

臨床実習

自分がやっているのは診療参加型臨床実習である。学生たちは少人数であちこちの診療科を順番に回って、手術や外来診療を見学したり、簡単な手技を教えてもらったりする。毎日、色んな専門家からいろんな話を聞いて診療の現場をのぞいて回る。

この臨床実習を通じて、学生は医学部の基礎教育で学んだ知識を臨床に結び付けて頭の中に体系づけていくのである。だから、教科書で得た知識が実習で生きた知識となり、違う風景が見えてくるようになる。

これを言い換えると「教科書のコピー」だった知識を「自分の理論」へと頭の中で体系化していくのである。

最近、知ったのだが、こういう教育法を「社会構成主義」による学習観というそうだ。以下、Wikipedia「構成主義(教育)から引用する。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A7%8B%E6%88%90%E4%B8%BB%E7%BE%A9_(%E6%95%99%E8%82%B2)

構成主義(教育)

構成主義(こうせいしゅぎ)は、学習者たちがある対象について、彼ら自身による(それぞれ違った)理解を組み立てるようなかたちで教育すべきである、あるいは学習者たちの中に既に存在している概念を前提に授業を組み立てる必要がある、という学習・教授理論を指す。

ここでの教師の役目は、学習者がある対象範囲における事実や考えを見つけるのを手助けすることである。

語学における構成主義

従来は単語や文法を教師が一方的に説明し、学習者はそれを理解して暗記するのが教育であったが、例えば文法であれば構成主義の立場からは以下のような手法が採用される。

・教師が特定の文型を使った文を提示する。

・その中には文法的に正しいもの正しくないものが含まれている。

・教師はどの文が正しく、どの文が正しくないかだけ示す。

・学習者はそこから文法的に正しくなる要件を見つけ出す。

また、練習においても、従来は機械的にリピートしたり穴埋め型の文型練習を繰り返すのが中心だったが、例えば数字の学習であれば、フラッシュカードなどで練習するのは限定的にして、後はたとえば"Your phone number, please." "Thank you."だけ教えて、クラスの電話番号リストを英語で作成させるのが構成主義である。

この場合、自分にとっての意味付けが重要なので、電話する可能性の高い相手から番号を集めていく。こうした体験を通じて、数字や「Phone number」といった語彙を身につけるのは一見手間がかかるが、定着率が高いので復習の手間が減少し、長い目で見れば効率的である。

引用終わり

新生児の例

語学の例ではピンとこないかもしれないので、自分の質問例をあげてみよう。

昨日、「生まれたばかりの新生児に常在菌はいますか?」と質問したところ、全員がハイと答えていた。

これは間違いで、生まれたての新生児は無菌状態である。どこからも菌は検出されない。便や痰も無菌なのだ。だから産道感染とか経膣感染とかいう概念があるのだ。

生後すぐは無菌でも、12時間、24時間、48時間と時間を追うにつれてだんだんと常在菌が生着してくるのである。

このように、自分の役割は学生に新たな発見をさせる事なのである。これが構成主義の概念のようだ。

自分の能力

幼い頃の自分は、それこそ見たり聞いたりすることは何でも覚えていた。むしろ忘れられないほどであった。

しかし、小学校の高学年くらいに、暗記する力がどんどん低下してしまったのである。そこから学力が低下し始めた。

そして、今度は、高校生くらいだっただろうか、ある程度の量の知識を獲得してしまうと、体系化して自分の理論にしてしまうことが出来るようになった。この能力は人様より勝っているように感じている。

自分の問題点は、ある程度の知識を獲得するまでにやたらと時間がかかることである。これは人様よりも時間がかかる。根気が続かない事も多いが、根が飽きっぽいのだ。そのくせ、あれもしたい、これもしたいという移り気なところがある。

そんな自分でも、興味のあるテーマ、たとえばYMの不倫ネタでは、いくつものエピソードから、この人はこう考えて、こう行動していたという刑事ドラマにおけるプロファイリングのような説明が出来ていたのだろう。それで、ガールズの皆さんは面白く感じてくれたのだと思う。

今後の事

構成主義は、科学教育において問題があるそうだ。

科学の場合、絶対的な真理が存在し、それを前提に学問が発展するのであるが、そこに批判的な自分の理論を構築させていくような教育は向かないそうだ。

ただ、嘘がまかり通る部分もある生物系の実験系と物理や数学のような絶対的真理の世界とは全く異なる。自分の場合、挑戦するなら後者の世界だと思って、細々と勉強しているが、挫折しそうです。

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