新学期、医局会、研修医、私が弱いときほど私は強い

新学期みたい

ようやく夏休み体制が終わった。あれこれ会議が始まり、まるで新学期が始まったかのようだ。長らく病院の様子を書いていなかったので今日は最近の病院の話について紹介します。

大規模災害の話

水曜の朝、7時45分から医局会が行われた。救急の先生が担当で、「大規模災害への対応」という話があった。もし近隣で災害が発生したら病院中を巻き込んで対応に追われることになる。リーダーが救急の先生なのだが、どこでも救急をやっている人は頼もしく見える。願わくは、自分がこの病院にいる間は、大災害には遭遇したくないな。

セミナーが終わって、自分が指名され発言した。内容は、新病院で導入された質量分析機による細菌検査の話だ。原理を簡単に説明し、レジデントの先生4名で血培を中心に年末くらいまでデータを収集してもらうことをアナウンスした。その後、中心となる若い先生に挨拶してもらった。

世間一般でも質量分析って何なの？というくらい新しい機械である。また、異なる診療科の若い医者４人を率いて臨床研究をするという、この病院では画期的な試みになるので皆、期待してくれているようだ。何とか軌道に乗せたい。

研修医のこと

研修医は1年目、2年目それぞれ8名ずつ、合わせて16名いる。自分が知っている人は2人だけなのだが、そのうちの一人が、昨日の朝、朝礼でメッセージを話した。

さらにもう一人は、なんと来週、木曜の夜NHKで放映される総合診療医ドクターGに出演予定だそうだ。知り合いの若い子が大役を果たすので何となくうれしい。

歓迎会で同じテーブルに座ったのが最初の子で、もう一人は、昼飯を食っている時、同じテーブルになったのだ。

今日は朝礼の話を書き、ドクターGは来週の放映を見てから感想を書く。

私が弱い時こそ、私は強い （イエスの力は、弱さのうちに現れる）

新約聖書 第２コリント人への手紙12:9.10より

『しかし、主は、「わたしの恵みは、あなたに十分である。というのは、わたしの力は、弱さのうちに完全に現われるからである。」と言われたのです。

ですから、私は、キリストの力が私をおおうために、むしろ大いに喜んで私の弱さを誇りましょう。

ですから、私は、キリストのために、弱さ、侮辱、苦痛、迫害、困難に甘んじています。なぜなら、私が弱いときにこそ、私は強いからです。』
引用終わり

この先生は、昨年、石巻に被災者支援のため学生ボランティアで行ったそうだ。その時の経験を話していた。

何でも活動の最後の方で車をガードレールにぶつけて壊してしまったという。人助けに行ったつもりなのに、何で足をひっぱるような事をしてしまったのかと落ち込んで自分の弱さを知り、どん底の状態でキリストの愛を感じて助けられたというような内容だった。

メッセージで話すとき、多くの人は緊張して声がうわずったりしてテンションが上がっているものだが、この子は若いのに冷静で落ち着いて話をしていた。内容も良くまとまっていた。朝礼が終わった後、出てくるのを外で待って感想を伝えた。

「あ、そうですか、ハハハ」といつものように明るく笑っていた。研修医の１年目って、ホントに人生観が激変する時期だ。辛い事もいっぱいあるだろうけど頑張って欲しいと思う。

自分の弱さ

この病院に勤めるようになって、自分は何もやることが無いストレスを感じつづけていた。もちろん、自分の存在感を示す機会はあるのだが、普段は部屋でのんびりと時間を過ごしていればいい。そういう立場の辛さを初めて知った。弱さを実感していたおだ。

検体の受付業務

新病院になってから検査室で検体の受付をするようになり充実感を感じている。事務員のおばさんと一緒に検体をピッと言わせながらバーコードリーダーで読ませている姿は普通ではないように思う。実際、副院長が検査室に入ってきて、「先生、自ら受付されているんですか」とびっくりしていた。

就職直後に、兄に電話したとき、「何もすることがなくて暇で、暇で」と不平をもらすと、兄が「自分で何か見つけないといけないよ」と言っていた事を想い出す。ようやく仕事を見つける事が出来たのでさらに発展させる事を考えている。最近は、午前、午後1時間だけ手伝うようにしているのであまり負担にはならない。

管理職なので、そのような仕事をするべきではないと考える人もいるだろう。ただ、自分の場合、一日、椅子に座っているとノイローゼになりそうな気がする。見栄や面子を捨てて自分の本心に正直に向き合って良かった。

今回の聖書の言葉はまさに今の自分の生きるべき姿を暗示している。自分の弱さを感じるときにこそ、面子を捨てて開き直り助けを求めればいいのだ。そうすることで人間は弱さの中で自分の強さを実現できる。