道東を発見する旅 第3の人生

ドクターヘリ、猛暑が去った

7月は、自分にとって無我夢中で生き伸びた一か月だった。

7月初めには島民全員(希望者だけ)に対するワクチン接種が終わった後から救急搬送が相次いだこと、中旬には有休休暇をとって大阪に戻ったが、後半は猛烈な暑さになった事について書きます。

救急搬送

7月初め、2回目のコロナワクチン接種が前日の夕方に終わり、のんびりしていた土曜日の朝、突然消防から連絡が入り90歳前後の人が倒れているという連絡が入る。

すぐ現場に駆けつけ状況を判断しドクターヘリを要請した。

脳梗塞の疑いと伝えていたので、すぐに飛んできてくれて、大きな病院に搬送できた。

その日から始まって10日くらいの間に、80代から90代のご老人ばかり4人、脳血管障害や内臓疾患の悪化による急患が出て、それぞれを漁船やフェリーで島外の病院に搬送した。

ワクチンの影響なのかどうかは分からないが、それまでの3か月、特に何も起こらなかったので、緊張感が続く毎日を過ごした。急に夏になって体調不良になったのもあるかもしれない。

都会の温泉と近場の温泉

急患の発生が気になっていたが、代診の先生が来てくれることになっていたので、有休休暇をとった。

既に気温が30度を越えていた大阪に戻った。

1週間の休みでは、買い物などで慌ただしく過ごした。

休みの最後に、どこかに行くかと考えて、息子と一緒に一泊で有馬温泉に出かけた。

有馬温泉は、若いころ、嫁さんとドライブで近くまで行ったことがあるのだが、高級旅館が多いという話だったので、温泉に浸りに行く選択しは無かった。

老化が進んだ今、ちょっとはずんで有名高級ホテルに宿泊した。

一番びっくりしたのは、温泉街が、ものすごい山の中にあったことだ。

小さな谷をはさんで狭い地域にどでかいホテルがいくつも並んでいる。

自分の泊まったホテルは9階建てだった。8階の部屋で遠くを眺めながら最上階の大きな露天風呂に何度も入りに行き、のんびりして疲れをいやした。

あたりまえだけど、真夏の関西である。ホテルは、全館冷房完備で快適に温泉を楽しんだ。

その後、飛行機で北海道に戻った。

島に戻る前に島に近場の留萌市(それでも50キロ離れている)の古びた温泉旅館に一泊した。

そのころから、日本全国が猛烈な暑さに包まれてしまっていたようだ。

北海道でも連日30度を越える日が続き始めた。暑さにうだりながら、温泉旅館に行く。

暑さに苦しみながら旅館では、涼しい部屋で休もうと思い、チェックインすると、フロントのおばさんが、「クーラーはついて無いんです」、と言う。

ショックを受けて愕然としたが、引き返せない。暑い部屋で窓を開けたまま寝苦しい夜を過ごすことになった。

数十年ぶりの猛暑

次の日の朝、島に戻ると島民も暑さにへばっていた。

島民の誰もが口をそろえて「今年は暑い、こんなに暑いのは数十年ぶりだ」と言っている。

島にお嫁に来てから、こんなに暑いのは初めてだ、と言っているおばあさんもいた。

さて、島民が苦しんだ歴史的な猛暑です。この夏、島の最高気温は何度くらいだと思いますか?

10日前くらいで28度くらいだった。その後、30度を越えたのが2回で最高31.2度だった。

自分は大阪の連日35度を越える暑さを知っているので、島の最高気温が30度というのは本州の人にとっては猛暑とは考えられないと思う。

クーラーはぜいたく品?

しかし決定的な違いがある。クーラーが設置してあるかどうかは大きな差である。都会では、35度を越えたとしてもどこにでもクーラーがあるので身体を冷やすことができる。さらに、前の勤務先である大学や病院では、朝、建物に入ると暑さを感じずに一日過ごす事ができるし、それどころか夏の課題は「クーラーによる身体の冷えにどう対応するか」という事である。

一方、この島では、夏でも30度を越える日はほとんど無いので、クーラーがついている家は皆無である。例外は1,2軒あるようだが、役場やフェリーターミナルにもついていない。

幸い、我が診療所にも、数年前に購入した家庭用の小ぶりのクーラーがついている。

だが、待合室にあり、クーラーの下に冷たい風を出しているだけで、部分的でしか効いていない。診察室も暑さで窓を開け扇風機を回しながら、暑さにうだって診察している。

多くの島民はクーラーがいくらくらいするのか値段を知らないのでぜいたく品のように思っている。

そんなわけで、島に戻ってから2週間ちょっとの間、家の中では上半身裸で扇風機の風をあびながらオリンピックのライブ映像を汗だくで見ていた。

夜もなかなか眠れず、リビングの窓を開けっぱなしで寝ていた。

そしてオリンピックが閉会した翌朝、最低気温は18度となり、さわやかな朝を迎えた。今日の最高気温は21度で、数日は最高気温は20度前後らしい。

ローカルのテレビでは「秋の気配を感じる」と言っていた。短い夏だけど、なんとか生き延びる事ができそうだ。

来年もここにいるなら、自分で金を出してエアコンを住宅に設置しようと思っている。

この10日くらいで3人ほど暑さにやられたという人が来た。その中の一人、30代の観光客が話していたのは、「この島は夏とは思えないくらい寒い、と聞いていたから、来たのに何でこんなに暑いんですか?」と言っていた。

オリンピックが終わり盛り上がっていた熱気が台風で一気にさまされた。

今の島の風景は、夏とは思えない景色に戻っている。。もうじき秋がやってくるのを肌で感じている。

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