トス小屋

中にあるもの。外にあること。

古都散歩

2008-03-01 | 
土日に奈良に行ってきた。

6、7年前まで毎年訪れていた馴染みの土地。
精一杯早起きして出かけたので、10時半頃にはもう鹿に挨拶。
ただし、もちろん鹿は話しかけてきたりはしない。
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登大路のゆるい坂を若草山に向かって歩き
いつものようにまずは東大寺へ。
東大寺は本当に雄大。宇宙を感じる。
で、南大門の金剛力士立像。写真右が阿形で左が吽形。
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盧舎那大仏a.k.a.大仏様にもお参りし一旦東大寺を出て、高畑交差点近くの『みりあむ』で昼食。前に伺った時と何も変わらない静かな空間に安心した。本棚には雑誌・太陽がたくさんあって、無駄のない動きで仕事を続けるマスターがいて。
今回はカレーでなくシチューを食べた。ここだけの味。
カウンター越しに見える厨房があまりに素敵だったので、帰り際にお願いして1枚写真を撮らせてもらった。
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午後は新薬師寺から。
こじんまりした佇まいで、奈良に行ったら必ず行きたいお寺のひとつ。唐招提寺や秋篠寺にも通ずる簡素な美しさが素晴らしいこのお堂の中に、薬師様と有名な十二神将が安置されている。
鳥山明さんのドラゴンボールとか好きな人はぜひ1度十二神将に会いに行ってみて。
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コーヒータイムのためにネットでみつけておいた新薬師寺の近くの『南果』は、見逃して行き過ぎてしまいそうな古い木造の長家にあるカフェ&雑貨屋。カフェオレ味のロールケーキがしっとりした食感で実に旨い。
雑誌『Re:S』のバックナンバーを1册自分で買い、相棒が見つけたへんてこな鳥をせがんで買ってもらう。
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東大寺に戻って、戒壇院に向かう。
芝生の間の石段を登り門をくぐって戒壇堂に入る。
宝塔を囲む四天王立像。何度見ても圧倒されるその姿。人が少なかったのでゆっくりぐるぐると何度も四方を回り拝ませていただいた。
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久々に訪れてもあからさまな変化はほとんどない奈良の街で、僕らに嬉しい変化だったのは古いものを生かしながら新しい生き方を示すような店が増えていたこと。
『NATIVE WORKS.』もそんな店のひとつ。
日常着の作り手でもある二人の店主さんが選び並べた品々を見れば、ものを育む自然とものを作る人々に対しての感謝と尊敬、そしてご自分達の美意識をとても大事にしていることが伝わってくる。
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二月堂のお水取りの期間だとは知っていたんだけど、宿をちょっと離れたところにとっていたので諦めた。
夕方の時間を興福寺からならまち界隈をぶらぶら歩くことで過ごした後、近鉄奈良駅から大和西大寺駅へ。相棒が前から行きたいと言っていた『秋篠の森』に到着。雑木林の中にひっそり建てられたレストラン『なず菜』と2部屋だけのゲストハウス『ノワ・ラスール』。
ゆっくり2時間かけての食事。地産の野菜を多く使い一品一品丁寧な仕事で仕上げられた新しいスタイルの日本料理においしいおいしいを連発。軽く焦げ目のついた新鮮な野菜の甘みが忘れられない。
シンプルにデザインされたゲストハウスは押し付けのない心配りが行き届いていてとても寛げた。枯れたもの、錆びたもの、朽ちたものの中にも美を見い出してさりげなく配しているのがここのかっこよさ。
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翌日は朝からいい天気。チェックアウトして秋篠寺へ。
東門から入って創建当時の金堂跡だという苔庭を眺めながらコの字形に廻りこむ。前日のにわか雨をふくんだ苔の緑に木漏れ日が綺麗。
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芸術の神様とも言われる美貌の伎藝天立像を拝観して東門のところまで戻ったところで散歩中と思われる近所のおじさんに話し掛けられる。宮中儀式に使われる水を汲み上げたという井戸のことやかつての伽藍についてなど、杖で砂利に図を書きながら教えてくれた。東塔跡の礎石が今でもあると聞いてせっかくだから見てきますと踵を返す。
東塔跡を確かめて南門から出たところで『秋篠窯』という小さな案内看板を見つけて住宅街を辿っていくとレンガの煙突が現れた。登り窯だ。向いに小さなギャラリーがあった。引き戸を開けてみると呼び鈴が鳴って奥様が出て来てくれた。今西方哉さんという陶芸家の窯場であることを知る。先代が築いた伝統の秋篠焼を守りながら、アートとしての染付磁器の作家活動もしているそうだ。
相棒が陶器のような風合いの生地にモダンなストライプが施された染付磁器をちょっと思いきって購入。
旅ならではの出会い。一期一会。
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奈良を離れる前にもう一度鹿に会っておこうということになり、また奈良公園へ。平宗の売店で柿の葉ずしとお茶を買い、広々とした芝生広場越しに大仏殿の見えるベンチでランチ。
ゆっくりふれあってから鹿に奈良に「So long!」。
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そして、旅の終りは京都で寄り道、タカダワタル的にイノダコーヒでしめくくり。
Inoda

Fin