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個人的感想日記

遊んだゲーム、本、DVD等の感想です。

「発勁力―すべての武術に通ずる打撃原理」(藤松英一)

2007-12-10 10:20:45 | 
「発勁力―すべての武術に通ずる打撃原理」(藤松英一、愛隆堂、2001/05)

ブックオフで立ち読みしてちょっと面白かったから購入。

前半の日本の中国武術界に蔓延している思い込み批判はなかなか面白い。日本人の中国感への警鐘にもなるので一般の人が読んでも参考になるのではないか。

後半の打撃力理論はいただけない。伸張性収縮を完全に間違って解釈している。
伸張性収縮は受動的伸張(無理やり伸ばされる)なのでそこから打撃力が発動しているわけではないのに、伸張性収縮こそがカギだと解釈しているようだ。
おそらく、伸張性収縮で筋肥大が起こるのと打撃力発動を混同しているのでしょう。
ボクサーがミットにパンチを打ち込むと伸張性収縮が広背筋に起こり筋肥大を起こしますが、(だからボクサーは特に広背筋を鍛えなくても発達している。)パンチの発動に伸張性収縮を使っているわけではない。

為末大氏の本で、一流選手の言ってることと実際の動きが同じであるとはいえない。というようなことを書いて有りましたが、この著者も自分の体験的感覚と理論が上手く合っていないようです。

どうも”強力な打撃力を獲得するための発勁力の方法を学習する解説書”(「MARC」データベースより)という本ではなさそうです。

全体として、今までの日本の中国武術界からの脱却を狙っているようですが、微妙に嫉妬が感じられるような気がするのですが・・・

造語は使わずに、といいながらいきなり造語を作ったりと・・・もう少し弾けてくれれば、トンデモ本としてノミネートされるかもしれないのに惜しい本です。

「日本人の足を速くする」 (為末大)

2007-12-06 09:41:03 | 
「日本人の足を速くする」 (為末大、新潮新書、2007/05)

タイトルからすると速く走る為のHow To本かと思いましたが、自伝的本でした。

前半に日本人と欧米人(特にアフロアメリカン)との体の構造、使い方の違いから日本人が速く走る為の方向性を簡単に示しています。
特に具体的にトレーニングとか教えているわけではありません。

後半は自分のアスリートとして、どう考え、どう行動したかを陸上競技に興味がない人にも分かる様に語っています。

行間から陸上競技への熱い愛情が感じられて感銘を受けました。

さらに、大阪世界陸上前に出版されたので・・・自分の400メートルハードラーとしての集大成、大阪世界陸上、北京オリンピックへの新たな取り組み、手応え・・・

しかし、現実は・・・大阪世界陸上は惨敗・・・これを読んだ後、公式ブログを読むと現実の厳しさを痛感します。


多くの成功した人が本の表題にあげる、「夢は必ず叶う。」というのがありますが、本当は「叶うこともある。」ではないのか?

「トレーニングのホントを知りたい!―話題の「最新トレーニング法」をブッタ斬り! 」(谷本 道哉 )

2007-11-05 23:00:46 | 
「トレーニングのホントを知りたい!―話題の「最新トレーニング法」をブッタ斬り! 」(谷本 道哉、ベースボール・マガジン社、 2007/07)

分かりにくくなりがちか、トレーニングの理論を分かりやすく解説しています。

さらに最近流行のトレーニング(古武術を応用したナンバ走法とかインナーマッスルなど)をバイオメカニックス的に解説しているので、それらを実践している人には、理解の助けとなるでしょう。

それに筋力トレーニングにまつわる、数々の誤解を丁寧に解説しています。

あえて、細かい所には触れずに一般の人が、迷わないように書かれているので読んでいて大変納得できます。

この手の本は他の理論をこき下ろすような本もありますが、この本はそんなことなくて誤解されないように言葉を尽くしているのが好感もてました。

「紫禁城の黄昏―完訳」 (上下、R.F.ジョンストン 、祥伝社)

2007-07-17 23:50:35 | 
「紫禁城の黄昏―完訳」 (上下、R.F.ジョンストン 、祥伝社、2005/03)

「ラストエンペラー」の元になった原作の翻訳です。完訳とあるのは岩波書店のと違いを明確にするためのようです。
はっきり言って編者の政治的都合で勝手に編集する権利はないと思います。内容に疑問があるなら岩波書店は翻訳するべきではなかった。

内容は驚きました。国家という概念自体も日本は特殊だということが思い知らされました。
現代の感覚で過去の出来事を解釈する軽率さは戒めるべきですね。(実に多く居ます。)

歴史感覚を理解するためにもお奨めしたいです。R.F.ジョンストンは非常に現代的歴史観を持っている人ですね。

本の風景社より新訳で文庫本が出ているようなので、今ならそちらを購入するのが良いかもしれません。

「誰も知らない武術のヒケツ」(長野峻也、アスペクト)

2007-07-14 00:02:12 | 
「誰も知らない武術のヒケツ」(長野峻也、アスペクト、2007/06/25)

以前発売された「あなたの知らない武術のヒミツ」の続編ですね。
前著で触れられ無かったことの補足説明的になっているので、まず前著を読むことをお薦めします。この本だけ読むと纏まり付かない文章になってます。

この本を手に取る人は、ある程度武術のことや格闘技に興味がある人だと思いますが、それでも扱う話題が広範囲なので、ある程度予備知識がないと、話が飛んでしまったような感じがしたりします。(実はちゃんと繋がってたりします。)

巷にはびこる怪しげ(?)な武術のイメージを払拭しようと誰でも分かる表現で説明しています。
特に武術の表演を見学すると時々目にする見世物的表演を”実は大したことではないんだよ。”とばかり、コツやトリックをばらしていますね。

もちろん武術を侮辱しているわけではなく、それらの表演に目を奪われないで、真に奥深い武術の世界に目を向けて欲しいと願っているようで、深い愛情を感じます。

著者の思いつくまま話題が変わっていくので、飲み屋で武術談義を聞くような感じで読むのが正しい読みかたでしょうか・・・

一時期の武術とスポーツを安易に結び付ける風潮に危惧しているようです。
(武術でラクラク上達する・・・みたいなやつね)

”この本は、武術に関する誤解を解き、本当の武術は護身・健身が一体化した活殺自在の武医同術を極意とするものであり、・・・”
ということにはあまり触れられていません。これに関しては期待はずれです。

ナンバという用語は武術研究している甲野善紀氏からスポーツ界へ広まったようですが、(桐朋学園のバスケ部のコーチが試みて好成績を挙げたことがきっかけだったか)
過日、講習会に参加した時、ある人が
「ナンバは歌舞伎で、不自然な動きのことを南蛮と言ったことから来てるのではないか?」と質問したところ、
甲野氏「そうでしょうが、私は同側の動きを便宜上ナンバと呼んだだけで、歌舞伎とは関係ない。でも、間違って広まってしまったので訂正しなければいけないと思っている・・・」
というやり取り有りました。

「舞姫(テレプしコーラ)第一部全10巻」(山岸涼子、 メディアファクトリー)

2007-07-10 10:40:36 | 
「舞姫(テレプしコーラ)第一部全10巻」(山岸涼子、 メディアファクトリー)

第11回手塚治虫文化マンガ大賞を受賞したというのを聞いて購入しました。

1、2巻はバレエに深い情念を持つ人々を描いてる感じですが、その後の巻は往年の少女マンガ的スポ根のような展開です。大分現代的ですが・・・
最初の山岸的情念の世界観で押し通して欲しかったなぁ。
現在の日本のバレエ事情が垣間見える作品でもあります。
そして巻末の対談が面白い。魔夜峰央も登場するし。

10巻の衝撃的展開以外は「アラベスク」の現代日本版というところか。

「恐るべき子供たち」(コクトー、光文社文庫)

2007-07-09 15:13:37 | 
「恐るべき子供たち」(コクトー、光文社文庫、中条省平・中条志穂訳)

コクトーの豊かなイメージで表現される世界は非常に読みにくいと思いますが、難解になることなく読み易い訳になってますね。
本書に散りばめられて居るコクトーのイラストがまた、素晴らしい魅力になっています。
破滅に向かう姉弟の美しくも儚い美しさが、自然な魅力で不思議な感じです。

「カラマーゾフの兄弟1、2巻」(ドストエフスキー、光文社文庫)

2007-07-06 00:54:48 | 
「カラマーゾフの兄弟1、2巻」(ドストエフスキー、光文社文庫、亀山郁夫訳)

なぜ挫折する人が多いか、1、2巻を読んで分かりました。
亀山訳は読み易いですが、ストーリーの進行が冗長過ぎる感があります。登場人物一人一人の人間性を紹介するために非常に流れが阻害されるようです。しかも、飛び飛びにエピソードが入ったりするのが、リズム感をそこなっっています。

登場人物の時代がかった表現や言い回しは、まぁ、仕方ないとしても、意外に言ってる内容が薄っぺらなとこがあったりします。
もちろん宗教的な話や人間の真理に関するところには素晴らしい洞察力もありますが、ストーリーを楽しみにしている人にとっては、あまりにも長すぎて1、2巻で断念してしまうのでしょう。

ストーリーよりもサブで語られることの方が、重要なのですが、そこを理解するのは大変なことです。

「超能力番組を10倍楽しむ本」(山本弘、楽工社)

2007-07-04 02:00:35 | 
超能力番組を10倍楽しむ本」(山本弘、楽工社、2007/03)

これは素晴らしい本です。と学会は揚げ足取りで品がない、と思う人もこの本の役割には納得してくれるでしょう。

タイトル通り、テレビの超能力番組の見方、どういう態度で視聴するべきかを、パパと男女の子供との会話形式で進んでいきます。非常に分かりやすく、読みやすいです。
テレビは時には嘘を付く。頭から信じてはいけない。確信が持てない時は結論を保留する。という当たり前のことです。

テレビ局が如何に視聴者を騙そうとしているのか、番組作りに全く誠実さがないことが良く分かります。

お笑いタレントをゲストに呼んだりしている番組は、どんなに真実として演出していても疑ってかかるべきです。

こんな本を出してもテレビ局は反省しないし、なんにも変らないことが分かっていても、少しでも多くの人に読んで欲しいと思います。

「鼻/外套/査察官」 (ゴーゴリ、光文社文庫)

2007-06-26 01:15:00 | 
「鼻/外套/査察官」(ゴーゴリ、光文社文庫、浦雅春訳)

訳がくだけた落語調、あまりこってないので読み易いです。
古典的名作でしょうが、現代の私たちにはやはり捻りや刺激が少ないかもしれません。
「鼻」のナンセンス、「外套」の冴えない人物が変化していくさま、「査察官」ドタバタ喜劇・・・残念ながら今の読者の人々にはもう一つ捻りが欲しいと思うでしょう。
おそらくどの作品にも官僚の間抜けさをからかっているので、当時のロシアではそういう作品は、危うさを感じるジョークだったのかもしれません。

ゴーゴリの「鼻」と「外套」は不思議な幻想感を味あわせてくれる作品です。