『神様のパズル』の感想 ※ネタバレ少しあり

　あちゃー、やってもうた。これが率直な感想。とにかくもう、さっぱり面白くない。まあ、前半には笑える箇所が少しあるけど、終盤に向かうにつれてどんどん薄ら寒くなってくるし、クライマックスじゃ眠気さえ襲ってくる。楽しみにしていた谷村美月出演作が、こんな失敗作とは。ああ、切ない。
　ニュースサイトでこの映画に関する記事を読むと「谷村美月の胸の谷間と脚がセクシー」だの「谷村美月は意外とナイスバディ」だのと書かれている。うん、つまり、その部分にしか話題性がないってことなんだろう。しかし、てめえら、そんないやらしい目で谷村美月を見るなっ。

　それにしても、なんでこんな映画が作られたんだろう。監督は三池崇史。当たり外れが激しい人であるが、外れた場合でも「よくわからんけどスゴかった」という印象を残す作品が多かった。しかし、『神様のパズル』には面白味は乏しいし、凄味もない。
　主演は市原隼人。うーん、はっきり言って、あんまり好きになれない。というか苦手。『虹の女神』『天使の卵』みたいに抑えた演技の時は割と好ましく見ていられるけど、『チェケラッチョ!!』『ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ』『僕たちと駐在さんの700日戦争』のようなハイテンションかつコミカルさを前面に出した演技を見せられると、申し訳ないけどゲンナリしてしまう。って書いてて思ったけど、この人、ものすごく主演作が相次いでるよね。なんでだろ。
　ただ、『神様のパズル』が面白くなかったのは市原隼人のせいじゃない。物語の展開が乱暴すぎることと、キャラクターの肉付けがしっかりなされていないこと。このふたつが大きな問題だろう。だって、谷村美月のあの行動、どう考えても身勝手すぎるじゃん。世の中に迷惑かけすぎ。しかも、そこに至るまでの心情がキチンと描かれていないから、観ている側は彼女に共感も同情もできない。ただ途方に暮れるのみ。そもそも、あの得体の知れない巨大施設が作られるという設定からして……まあ、いいか。
　あんまりケナしてばかりじゃ虚しいので、いいところも探してみよう。えっと、宇宙の成り立ちに関する討論は、聞いていてなかなか楽しかった。理系と言えども、未知のものについて語る時はどうしても観念的で文学的な物言いになっちゃうものなんだね。

　ともかく、心配なのは谷村美月である。昨年は『檸檬のころ』で観客のハートを鷲掴みにしまくったわけだが、その後の『魍魎の匣』『リアル鬼ごっこ』『長い長い殺人』、そして『神様のパズル』は、どれも不出来（『茶々』は未見）。もちろん、谷村美月に非は一切ない。それだけに、なんとも痛々しく思えてしまうのだ。なんか、一時期の宮崎あおいや長澤まさみみたいな状況じゃない？　もっと女優の持ち味を正しく活かせる作り手と組まなきゃ（その点、蒼井優は大したもの）。
　……なんて思ってたら、次は『おろち』？　そういう怖そう映画には出ないで〜っ。

＜追記＞

　信頼している映画通の方の日記をさっき盗み読みしてみたら、なんと市原隼人を大層お気に入りのご様子。この俳優が出ているだけで楽しい、というようなことまで書かれていた。う〜ん。まあ、人それぞれ。