寂れた辺鄙な村が、出生率日本一を誇るようになるまでの顛末を描いた作品。「土着的ファンタジー」とでも呼びたくなるような趣で、なかなか楽しめる。しかし、いかんせん長い。なんと2時間40分もあるのだ。まあ、『ぐるりのこと。』(2時間20分)のように長くても退屈させない映画もあるけど、そういうのは数少ない例外。やっぱり、娯楽映画は2時間以内に終わらせることを念頭に置いて作ってくれんと。
じゃ、ちょっと内容を。
14年前、一人の新聞記者(田口トモロヲ)が、辺鄙な漁村に左遷される。呑んだくれの支局長(佐野史郎)、軽薄そうな若手記者、やる気のない警官や教師など、村で出会う連中はどうにもケッタイで自堕落な人間ばかり。しかし、かつて過激派だったらしき男(石橋凌)は一人で漁船に住み込み、怪しげな研究をコツコツと続けていた。記者はその研究が何かを探ろうとする。
で、まあ、バラしちゃうと、研究は「縄文人の性欲」に関することだったのよ。革命を夢想する男は「世界平和のためには戦争よりセックス」と唱え、媚薬爆弾みたいなものを開発していたのだ。そして、ある晩、いろいろあった末に、その媚薬が村一帯を覆う。停電して真っ暗になった中で、老いも若きもギッコンバッタン腰を動かして性交に勤しんだのだ。それ以来、この村は異常に高い出生率を誇るようになった、というわけ。
などと大まかな筋を説明しちゃうと単純な物語のようだが、もうひとつ、記者たちが入り浸るスナックのママをめぐる奇妙な出来事も描かれるのよ。こっちの方が本筋よりも強烈。というか、あの女優さん、確か元タカラジェンヌなんだよね? ものすごく大胆に裸身を晒すので、かなりビックリしちゃいました。ただ、申し訳ないけど、どうも自分にとって苦手な顔立ちで……すんません。ともあれ、あの脱ぎっぷりは見事なものだと思います。
この映画、一部の場面(主に回想シーン)では、絵本作家のスズキコージが描いた絵が背景で使われている。ご存じの方も多いだろうけど、不気味で毒気たっぷりで禍々しく、でもどこかユーモラスな味わいがある絵だ。ものすごく緻密でもあり、どこか宗教的な風情も感じられる。
そのインパクトある絵を背景に繰り広げられる場面は、ものすごく楽しい。アニメと実写の合成は全然珍しくないけど、これほど効果的な例は滅多にないんじゃないだろうか。なので、いわゆるアート系のアニメを好きな人は必見。あと、三上寛の歌をたっぷり聴けるので、そっち方面をお好きな方も必見。それと、女の人の裸をじっくり見たい方も必見……かも。
※『世界で一番美しい夜』公式サイト→http://www.beautiful-night.net/
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