とにかくもう、仲里依紗が素晴らしい。それに尽きる。以上!
これだけで終わるのもナンなので、ちょっと内容を。
建築現場で働いていた裕次郎(宮迫博之)は親の遺産が入ったので仕事を辞め、思い付きで喫茶店を始める。一人娘の咲子(仲里依紗)は反対しつつも、どんな店になるのか楽しみにしていた。しかし、実物を見て唖然。外観も内装も調度品も、ことごとくダサいのである。しかも、自分は横文字のオシャレな名前を提案していたのに、父親が決めた名前は「純喫茶磯辺」だった。
それでも咲子は店を手伝うのだが、肝心のお客が全然来ない。にもかかわらず、ちょっと「不思議ちゃん」っぽい美女・素子(麻生久美子)をバイトに採用してしまい、またもや裕次郎は咲子に怒られる。
ところが、裕次郎が用意したミニスカートのメイド服を素子が着た途端、スケベ心を持った男たちが詰めかけて店が繁盛するようになる。おかげで裕次郎と咲子、素子は忙しい日々を過ごすようになるのだが、素子への恋心を募らせる裕次郎と、それに反発する咲子との関係は、ぎこちなくなる。咲子の望みは、離れて暮らす母親が裕次郎のもとに戻り、三人で一緒に暮らすことだったのだ。
と、こんな感じでストーリーが進むわけだけど、どのシーンでも仲里依紗が素晴らしい。不機嫌そうな立ち振る舞いや、時折見せる心細げな表情が、なんとも魅力的なのである。持ち味を100%活かしきっている、と言っていいだろう。
言うまでもなく、麻生久美子だって素晴らしい。しかも、あんな恰好をしてくれるんだから、そりゃあもう目が釘付けになるのは当然(だよね?)。というか、監督はあの服を麻生久美子に着せるために、この映画を企画したんじゃないか。そんな風にさえ思えてしまう。
ただし、次第に顕わになっていく素子の人間性には、抵抗を感じる人もいるだろう。麻生久美子はそんな女じゃねえっ、と心の中で悲痛な叫び声を上げた男子は少なくないはずだ。僕? えっと、まあ、ちょっとだけ叫びましたです。
とはいえ、映画が終わったあと、素子の心情に想いを馳せると、いささか気の毒にもなってくる。道徳観念こそ多少欠如しているものの、決して悪い女じゃないのだろう。おそらく、他人との距離の取り方を上手にコントロールできないのだ。なので、普通なら抵抗を感じそうなメイド服をホイホイと着る。さほど好きじゃない男とでも、誘われれば一緒に呑む。挙げ句の果てに、口説いてきた男を拒まず、軽い気持ちで「やって」しまう。一種の人格障害に近いのかもしれないけど、性根が腐っているわけじゃない。……と書きながら思ったけど、あの山本モナも同じようなタイプの人間かも。えっと、まったくの余談なんですが、例の騒動で山本モナが謹慎したりする理由、僕は特にないと思います。所詮、独身女が私生活で遊び呆けてる、というだけの話じゃん。警察沙汰になるような事件を起こしたわけでもないのに、仕事を取り上げることないじゃん。そりゃまあ、相手の奥さんは当然怒るだろうけど……すんません、話が完全に横道に逸れました。
ともあれ、仲里依紗と麻生久美子を眺めているだけでも幸せになれる映画だった。その点に関しては大満足。ただ、吉田恵輔監督の前作『机のなかみ』に感心させられた僕としては、ちょっと物足りない部分もある。なんちゅうか、後半に構成上の仕掛けみたいなものが用意されていると思ってたのよ。「へーっ」と唸らせてくれるような展開になると予想していたのよ。だから、ちょいと肩透かしを喰らったような気分になったのだ。すんません、『机のなかみ』を未見の方には意味不明なことを書きました。
あのインチキっぽい作家の正体が明かされないことにも、少し不満を感じた。観客の想像力に委ねるってことだろうけど、できれば明確に解明してほしかった。あと、ハッピーエンド好きの僕としては、最後に「再オープンに向けて親子で頑張る」という決意を見せて終わってほしかった。まあ、そういうのは好みの問題だろうけどね。
仲里依紗は『渋谷区円山町』『ちーちゃんは悠久の向こう』『ガチ☆ボーイ』でも好演していたが、この映画でついに若手女優トップ集団の仲間入りを果たした。谷村美月や堀北真希と並ぶ逸材であることを世に知らしめたわけである。ああ、また一人、出演作を見逃せない女優が増えちまった。
※『純喫茶磯辺』公式サイト→http://www.isobe-movie.com/
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