あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

老いてからの生き様

2017-09-17 | 本(文庫本)
三浦しをんさんの『政と源』を読みました。
ちょっとね、この前に読んだ宮部さんのが予想外にheavyだったので、ここはひとつ、しをんさんにパッと気持ちを明るくしてもらおうかと思ってのchoice。

東京の下町、荒川と隅田川に挟まれた墨田区Y町。つまみ簪職人の源は、弟子の徹平(元ヤンキー)と賑やかな日々を過ごし、幼馴染の元銀行員の国政は、妻子と別居しひとり暮らし。生き方も考え方も違い、一見、ソリが合わないように見える73歳の政と源だが、いつもどこかでお互いを思いあう老コンビ。ある日、昔の不良仲間に強請られた徹平のために、爺さん2人が一肌脱ぐ!

同じ土地に生まれ育ったけど、その後の人生の選び方でかなり、違う道を歩いてきた政さんと源さん。だけど、どちらの人生が幸せなのかなんて全然わからないものです。この小説を読んで、老いてからの生き様がいちばん大事なんじゃないかと思ったのです。
年を取るということ、老いるということは、決して悲しいことでも寂しいことでも不幸なことでもない。年若い人からは「孤独な老人」と見られていても、それは年若い人たちよりも孤独でもなく、哀しみがあるわけでもない。そんな人生が送れるかどうか。
何かね、だんだんと自分に近い話になってきているから、覚悟をさせられるような気がしました。結局、どう足掻いたって誰でも死から逃れることはできないのだし、そのときはひとりで逝くわけだしね。それまでの時間を良いもの(好いもので善いもの)にしておけば、十分なんじゃないかと。
だから、世間的には良くない評価を得てしまうであろう徹平クンとか、誰よりも良い人生を歩めるように思えるのです。彼の人生がうらやましく思えた、そして「さあ、いつでもかかってきなさい、老後!」と、元気が出る作品でした。
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