あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

これは問題作だわ!

2017-09-10 | 本(文庫本)
宮部みゆきさんの『荒神』を読みました。
先に書いちゃいますけど、この作品、かなりヤバかった。宮部さんの時代物って好きだし、ちょっとおどろおどろしいものも嫌いじゃないんだけど、これは、それとはちょっとテイストが違っていて、さらに人の業が凄すぎて気持ちの重さを感じること半端ない!

元禄の世の半ばの頃、東北にある小さな山村が一夜にして壊滅。何もかもを容赦なく壊してしまう「化け物」の仕業だ。太平の世と言われた元禄にあっても、隣り合ってはいるけれどずっと反目し合っている二つの藩。常に争いの火種がくすぶる地に生きている人間が生んでしまった悪の象徴のように出現した化け物を前に、逃げ惑うばかりだった山里に生きる人々は遂に立ち向かう。

何がビックリって、読後最初に感じたのが「宮部さんが怪獣映画の原作を書かれた!」ということ。「化け物」はこれまで怪獣映画に登場してきたどのキャラよりも謎で、でも出現した理由はゴジラと同じくらいに理にかなっていて、その破壊力は未知数!
どうしちゃったんですか、宮部さん。こんなの描く人でしたっけ?
でも、普通の作家さんが書けば、メインは化け物退治になるところなんだろうけど、そこはちょっと違っていて、じっくりと人間模様を描いきながらの退治。これがあるから「宮部作品」として成立するのだなぁと思うのです。
なぜ「化け物」が出現したのか。これが人の業とガッツリ関わってくるのですから。こういう展開にしておきながら、最後はスッキリ幸せにしてくれるっていう流れを作るの、上手い作家さんなんだよな~。

で、何やらこの作品、「NHKドラマ化決定!」なのだそうですよ。
いやいやいや、無理でしょう。デカいスクリーンで見せる映画化だって無理だよ。描き切れないって、こういう世界観。原作よりも半分ほどのショボいスケールになるだけだと思われるのです。ま、映像化されても見ないですけどね、私は。
そういう意味でもこれは「問題作」です。
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