あ可よろし

「あきらかによきこと」は自分で見つける・おもしろがる
好奇心全開日記(不定期)

生もの

2021-05-07 | 本(文庫本)
朝井リョウさんの『何者』を読みました。
映画化されている作品のようですが見たことないし、朝井リョウさんの作品自体お初です。私よりもずっと年若い知り合いから薦められて読んでみたものでした。

就職活動を控えた拓人は、同居人の光太郎や留学帰りの瑞月(光太郎の元カノ)、瑞月の留学仲間の理香、理香と同棲中の隆良と就職対策として理香たちの部屋で集まるようになる。しかし次第にSNSの言葉の奥にある本音が5人の関係を変えていって……。

朝井リョウさんはこの作品で戦後最年少の直木賞を受賞しています。「本屋大賞」ほど「直木賞受賞作」を面白いと思ったことがないので多少不安なものはありましたが、まずは読んでみようと。
読み終えて、不安的中でした。読んだタイミングも悪かったのかもしれません。
いちばん合わなかったのは、まったく広がりを感じない世界観だったこと。5人だけが住んでいる世界の話のようで、せっかく「就活」といういろいろな世界が描けるはずの材料が生かされていないと思った点。しかも最後のオチまですっと曖昧。心にガツンと来るものが何もなかったのです。残念です。
読んだタイミングが悪かったのかと感じたのは、この物語で語られているSNSを取り巻く状況が、今現在とはちょっと違ってしまったところ。
SNSって「生もの」なところがあるから、小説で取り扱うのはかなり危険だと思うのです。たった数年たったくらいで「古臭っ!」と感じてしまいますから。出版されたホヤホヤの新鮮な生ものの頃だったら違った感想になったかもしれません。
ひとつ言えることがあるとしたら「就活生は読んではいけない」ということでしょう。読んじゃうときっと悩む。迷う。コロナ禍の今ならなおさらです。
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