1つ下の更新で書いたように、8月31日は国立国際美術館に、見に行きました。そして同時にこの日は、聞きにも行ったんです。
美術館の開館時間は17時まで。一旦閉まって、夕暮れ時の18時会場18時半開演でライブパフォーマンス「靴が鳴る 音が跳ぶ」というイベントがありました。これを見に行きました。簡単に言うとインスタレーションとジャズのコラボです。
今回の展覧会は、モディリアーニさんの絵画よりも、塩田千春さんのインスタレーションの方が、実を言うと見たいと思っていました。月イチくらいで送られてくる国立国際美術館の会報に塩田さんの作品が載せられていて、ずっと興味を感じていたからです。
その会報に去年、神奈川県民ホールギャラリーで開かれた塩田さんの個展での作品≪沈黙から≫の写真が載せられていました(塩田さんのHPのトップページの画像がそれです、多分)。
焼けただれたピアノ。からみつく糸。これを見た時に「このピアノ、鳴るとしたらどんな音がするんだろう」と想像した事があって、頭の中に糸とピアノの2つがセットになってしまったという事もあり、だから今回の、塩田さんの糸のインスタレーションと高瀬さんのピアノの競演というのは、パンフレットが家に届いたその日に予約のメールを入れました。
実際のライブは≪DNAからの対話≫という作品の横にピアノが置かれて行われました。高瀬さんのピアノは、僕はあまりジャズは詳しくないですが、ほぼ完全にインプロビゼーションだったと思います。時には椅子から立ち上がり、鍵盤の上に身を乗り出して、ピアノの弦を直接何かでピッキングやスクラッチングをしていました(後でピアノの所まで行けたので見てみたらネジが数個置かれてました)。ヨーロッパで活躍されている方だからなのでしょうか、とてもメロディアスな面もあって、僕は作品の糸とピアノの音を行ったり来たりするように楽しんでいました。
圧巻だったのは、塩田さん本人が1階上のホール(吹き抜けになっている)から落ちてきた数十個の赤い糸玉を使って、ピアノの周りに糸を張り巡らせ始めた所でした。つまりインスタレーションのインプロビゼーション。
インスタレーションのインプロビゼーションとジャズビアノのインプロビゼーションとのコラボレーション、ってカタカナばっかりで書いてるこっちがワケワカラナクなってきますが、僕の座っている場所が高瀬さんの斜め後ろあたりで、高瀬さんへのスポットライトがこちらにも眩しく光っていたんです。
その幻影のような光の中で形作られる赤い糸の森と、奏でられるピアノの音、というのは今まで体験した事のない光景でした。心が震えたひとときでした。