務のよしなしごと

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「オペラ座の怪人」勝手に解説
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「オペラ座の怪人」第2幕 第5場

2021-09-28 | 趣味

※当ブログのシステム設定により、行途中でのスペースが意図したとおりに表示されないことがあります。英語の台詞や歌詞及び和訳ではおかしな表示が現れることになりますが、ご容赦ください。

(第4場、歌唱リハーサルの最後の部分で無人のピアノ演奏に合わせてコーラスメンバーやメグ、ピアンジ、カルロッタまでもが操られたかのように歌う中、クリスティーンだけが椅子から立ち上がりガウンを羽織る。バイオリンがメロディーを奏でる中、舞台が暗くなり、リハーサル室のセットが片付けられ、クリスティーンが舞台中央で客席を背にして立つ。照明が彼女に当てられ、次第に明るくなる中で歌が始まる。)

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"JOURNEY TO THE CEMETERY"

CHRISTINE:(クリスティーン)
In sleep he sang to me, in dreams he came...
眠りの中で彼は私に向かって歌い、夢の中に現れる
That voice which calls to me and speaks my name...
あの声が語りかけ私の名を呼ぶ…

(クリスティーンは徐々に客席の方に体を向け、その背後に夜の墓場の光景が投影される。オーケストラピットを境に下方には墓場の柵と入り口、上方には大きな十字架と墓場周辺の薄暗い風景が見える。入り口が開くとそのすぐ奥に「ダーエ」と刻まれた大きな墓が現れる。クリスティーンはつぶやくように・・・)

Little Lotte thought of everything and nothing...
小さなロッテはあれこれと考えた、そして何も思いつかなかった…
Her father promised her that he would send her the Angel of Music...
お父さんは「音楽の天使」を来させると約束した…
Her father promised her... Her father promised her...
お父さんは約束した…約束した…
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(クリスティーンは墓石に向かってつぶやく。彼女の心は幼い頃に無条件で頼っていた父親、そして主役を務めるようになるまで成長を見守り指導してくれた怪人両方への気持ちで揺れ動いている。以下の言葉は一見父親だけに宛てているかのようであるが、怪人に宛ててもおかしくない内容である。父親は墓の中にいるし、怪人に対しては今までの事件をきっかけに恐ろしいという感情が勝っている。そして以前までのような肉親同様の師弟関係に基づいた感情が壊れているが、それでも彼への感謝の念もいくらかは残っている。彼女は過去の状況が再現されることを望みつつ、そうならないであろうことも分かっている。)

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" WISHING YOU WERE SOMEHOW HERE AGAIN"

CHRISTINE:(クリスティーン)
You were once my one companion... you were all that mattered...
あなたはかつて仲間だった…あなたが全てだった…
You were once a friend and father - then my world was shattered...
あなたはかつて友人であり父だった — そして私の世界は粉々になった…
Wishing you were somehow here again...
あなたがどうか再びここにいてほしいと願いながら…
Wishing you were somehow near...
どうか近くにいてほしいと願いながら…
Sometimes it seemed, if I just dreamed, somehow you would be here...
時々夢を見れば何かしらあなたがここにいるような気がする…
Wishing I could hear your voice again... knowing that I never would...
あなたの声が聞ければと願う…決してそうならないと知りながら…
Dreaming of you won't help me to do all that you dreamed I could...
あなたの夢を見ることはあなたが私にできると夢見ていたことを実現させる助けにはならない…
※⇒あなたの夢を見てもあなたが私に期待していたことをできるようにはならない。「あなたの夢」とは父親が生前彼女に託したであろう夢であり、怪人が自分の音楽の具現者としてクリスティーンに対して抱いていた夢の両方であると考えられる。
Passing bells and sculpted angels, cold and monumental,
葬送の鐘や天使の彫像は冷たくてただの記念物、
Seem, for you, the wrong companions - you were warm and gentle...
あなたには似合わない仲間 — あなたは暖かくて優しかった…

(クリスティーンは浅く被っていたガウウンのフードを外し、改めて墓に顔と体を向ける。)

Too many years fighting back tears... Why can't the past just die...!
涙と戦ってきた多くの年月…   過去はもういらない…!
※どうして過去は死なないの! ⇔ 形式は疑問文だが強い反意を表す = 過去は死んでほしい

(客席に向き直って過去と決別する決意を述べる。)

Wishing you were somehow here again...
あなたがどうか再びここにいてほしいと願いながら…
Knowing we must say goodbye...
さよならを言う時だと知っている…
Try to forgive... teach me to live... give me the strength to try...
私を許し…  生きることを教え…  為すべき力を与えて…
No more memories, no more silent tears...
もう振り向かず、密かな涙も流さず…
No more gazing across the wasted years...
もう無駄にした年月を見つめることもせず…
Help me say goodbye. Help me say goodbye.
さよならを言わせて。さよならを言わせて。
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(客席からの拍手が1分ほど続いた後、オーケストラピットの前、クリスティーンの父の墓の上方に設けられたルーフバルコニーのような場所の装飾の陰から怪人が現れ、クリスティーンに優しく誘うように話しかける。)
※ハー・マジェスティーズ等の劇場では高く大きな十字架の陰から姿を現す。

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"WANDERING CHILD"

PHANTOM: (怪人)
Wandering child... so lost... So helpless... yearning for my guidance...
さまよう迷子…  道を失い…  無力で…  私の指導を求めている…

(怪人の声を聞いてクリスティーンは戸惑い、息を乱して呟く。)

CHRISTINE:(クリスティーン)
Angel... or father... friend... or Phantom?  Who is it there staring...?
天使…  それともお父さん…  友達…  それとも怪人?   そこで見ているのは誰?

PHANTOM:(怪人)Have you forgotten your Angel...?       お前の天使を忘れたのかな?

CHRISTINE:(クリスティーン)
Angel... oh, speak... What endless longings echo in this whisper...!
天使…  あぁ、話をして…  そのささやきには何と果てしない憧れが響いているのかしら…!

(ここで暗がりからラウルが現れ、一瞬この光景を見るがそのまま動けないでいる。この辺りから3者がそれぞれ同時に語り出す。)
※第1幕第8場 -4 の「プリ・マドンナ」のように二重唱、三重唱や主旋律と対旋律の対比、ちょっとしたカノンのような複雑な音の動きがある。

PHANTOM:(怪人)Too long you've wandered in winter...      長いこと冬をさまよい…

RAOUL:(ラウル、独り言を言う。)Once again, she is his...       また彼女は彼の…(生け贄 …or 弟子…になるのか?)

PHANTOM:(怪人)Far from my fathering gaze...      父親のような眼差しから遠く離れて…

RAOUL:(ラウル)Once again, she returns...      また彼女は帰って行く…

(クリスティーンは興奮し、葛藤を口に出す。)

CHRISTINE:(クリスティーン) Wildly my mind beats against you...       私の心は激しく抗う…

PHANTOM:(怪人) You resist...       お前は抵抗する…

PHANTOM/CHRISTINE:(怪人とクリスティーン) Yet your/the soul obeys...       しかし お前の / 私の 魂は従う…

RAOUL:(ラウル)
...to the arms of her angel... angel or demon... still he calls her... luring her back,
…天使の腕へと…  天使それとも悪魔…  まだ彼女を呼んでいる…  呼び戻そうと…
from the grave... angel or dark seducer...? Who are you, strange angel...?
墓から…  天使それとも闇からの誘惑者…?   得体の知れない天使、お前は誰なんだ…?

PHANTOM:(怪人)
Angel of Music! You denied me, turning from true beauty...
音楽の天使!お前は本当の美しさから顔を背け私を否定した。
Angel of Music! Do not shun me... Come to your strange Angel...
音楽の天使!私を避けるな…  お前が不思議に思う天使のところへ来るのだ…

CHRISTINE:(クリスティーン)
Angel of Music! I denied you, turning from true beauty...
音楽の天使!私は本当の美しさから顔を背けあなたを否定した…
Angel of Music! My protector... Come to me, strange Angel...
音楽の天使!私の保護者…  不思議な天使、私のところに来て…

(ここから怪人がクリスティーンを誘うように手招きを始める。クリスティーンは夢遊病のような状態になり怪人の方へと歩みを進める。)

PHANTOM:(怪人)
I am your Angel of Music... Come to me: Angel of Music...
私はお前の音楽の天使だ…  音楽の天使、私のところへ来るのだ…

RAOUL:(ラウル、遮るように・・・) Angel of darkness! Cease this torment!       暗闇の天使!彼女に苦痛を与えるな!

(容赦なく怪人はクリスティーンを手招きし続ける。)

PHANTOM:(怪人)
I am your Angel of Music... Come to me: Angel of Music...
私はお前の音楽の天使だ…   音楽の天使、私のところに来なさい…

RAOUL:(ラウル、クリスティーンを正気に戻そうと・・・)
Christine! Christine, listen to me! Whatever you may believe, this man... this thing... is not your father!
クリスティーン、クリスティーン、聞いてくれ!信じるものが何であっても、この男は…  こいつは…  君の父親じゃない!
(そして怪人に向かって)Let her go! For God's sake, let her go! Christine!
彼女を離せ! 何としても彼女を離せ!クリスティーン!

(クリスティーン、夢遊状態から抜け出ると振り返って声を出す。)

CHRISTINE:(クリスティーン) Raoul... ラウル!

(彼女はラウルのところへ駆け寄り、二人は抱き合う。怪人は一瞬動作を止めるが二人に向かって火の玉を投げつける。)
※通常の劇場公演では怪人は先端にドクロがついた杖を持っており、そのドクロの口から火の玉が発射される。

PHANTOM:(怪人)
Bravo, Monsieur! Such spirited words!       ブラボー!元気のいい言葉だ!

RAOUL:(ラウル) More tricks, Monsieur?       他に小細工は?

PHANTOM:(怪人) Let's see, Monsieur, how far you dare go!
お前たちがどこまで逃げようとするか見てみよう!

RAOUL:(ラウル) More deception! More violence!       更にまやかしや暴力をふるうのか!

PHANTOM:(怪人)
That's right, that's right, Monsieur - keep walking this way!       その通り!そちらへ歩き続けて見ろ!

RAOUL:(ラウル)
You can't win her love by making her your prisoner.       彼女を囚人にすることで彼女の愛を得ることはできない。

PHANTOM:(怪人)
I'm here, I'm here, Monsieur: the angel of death! Come on, come on, Monsieur. Don't stop, don't stop!
私はここだ、ここにいる!死の天使だ!ほら、ほら、立ち止まるな!

(炸裂する火の玉を避けながらラウルとクリスティーンは何とかその場を逃れる。それを見た怪人は・・・)

PHANTOM: So be it! Now let it be war upon you both!       それでいい!では、お前たち二人が戦いの相手だ!

(こう言って怪人は同時に複数の火の玉を舞台前方で炸裂させ、姿を消す。舞台が暗くなって第5場の終了。)



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