こんにちは。
訪問マッサージの
東京在宅サービスのみなとです。
自分が困った時ほど、
パートナーの存在が、
非常に大きいと感じる
と、思われたことはありませんか?
介護の世界でも、
介護者の力を偉大に感じる
ということがあります。
介護者の想いが、ご利用者のお身体を変える
ということは、よくあるんです。
時には感動すら覚えます。
というわけで、
今日のテーマは
『愛は歩き出す』
以前にも似たような話を書きましたかね?
→戦友
→戦友(2)
今回登場する担当マッサージ師は、
『にっこう』さん
物腰は柔らかで、
どんなご利用者もソツなくこなし、
ご利用者→新規ご利用者の紹介というのも多い、
男性マッサージ師さんです。
実はみなとと同じ年齢で誕生月も同じなので、個人的にとても親近感と信頼を寄せている施術者なんです。
今回のマッサージの依頼は、S区の地域包括支援センターから。
ご利用者は、80歳の男性、S・Sさんで、
奥様と二人暮らし。
10年程前に「脊柱管狭窄症」を患い、入院したけども手術は不可能ということで、今も両下肢に強い痺れが残っています。
加えて3年前に胃癌を患って胃の2/3を摘出。
更に2年前には甲状腺癌にも。
癌の方は落ち着いているようですが、
度重なる闘病と入院で下肢筋力がかなり落ちていて、
勿論下肢の痛みにも似た痺れがあり、
とにかく精神的に落ち込み、
「自分はもうダメだ…」
「痛くて歩けない…」
「歩けないから歩かない」
「どうせ何をやっても無駄だ」
というお気持ちになっておられるよう。
【下肢筋力UPを図り
意欲を向上させ
外出できるようにしたい】
というのが依頼内容。
み「にっこうさん、どうスか?この案件」
に「どうスかっていうか、まぁ見てみましょう。
ただ、今までにもいますよ。
そういう、精神的なものでADLも落ちているご利用者。
なんとかなるんじゃないでしょうかね」
……というわけで、《お試しマッサージ》へ
訪問すると、
S・Sさんは、ベッドに寝た状態。
奥様はなんとなくオロオロした感じ。
挨拶を済ませ、
イザお体の状態をまず把握しようと質問などを始めると…
奥「とにかく歩かないんですよ!
歩け歩けって始終言っているのに、
この人ったら、
もうダメだとか無駄だとか今日は痛いとか
まぁ色々言い訳言って!」
み「え、ええ、まぁ、とりあえず、
ご主人が一番痛いとか辛いと
おっしゃっているのはどの辺り…」
奥「とにかく腰が痛いだの足が痛いだの痺れるだの
と色々痛いらしんです。
だからとにかく歩いて
筋力つけないとダメだダメだって
ずっと言っているんですけど、
この通り一日中寝たっきりで
全く動こうとしないんです!」
み「腰とか足ですね…
ただやはり"痛い"というのがあれば、
動こうにもなかなか動くのはツラ」
奥「そんなこと言ったって
動かないことには筋力もつかないし、
とにかく太陽を浴びて元気にならないといけないのに
この人ったら私が歩け歩けって言っているのに
ゼンゼン歩こうとしないんですよ。
やっぱり歩かないとイケナイでしょう?
よく歩くのは健康にいいというじゃありませんか!
なのに歩こうとしなくって!」
・・・奥様、よっぽどご主人を歩かせたいんだなぁ
み「ま、その、
歩くのは健康にいいのは確かなんですが、
まずは痛みとか筋肉の緊張をやわらげてですね、それか…」
奥「ほうら!やっぱり歩くのがいいんでしょ!
ホラ、あなた!
マッサージの人も『歩け』って言ってるんだから
ちゃんと歩かないと!
ちょっと聞いてるの?!」
・・・いや、『歩け』って命令形では言ってませんが?
ヾ( ̄o ̄;)
み「あ、あの、とりあえず、ですね
まずは筋肉の緊張を解いて、歩きやす…」
奥「そうですよね!
歩かないといけないんだから!
そのためにも、ちゃんとマッサージしてもらって
しっかり歩けるようにして頂かないと!
ちょっと、あなた聞いているの?!」
み「ま、ま、じゃあ、早速お試しでマッサージしましょう…」
選手交代
に「Sさん、こんにちはぁ。
マッサージ師の『にっこう』と申します。
今からお試しで、20分間、マッサージさせて頂きますね
痛いときは痛いとおっしゃってくださいね」
Sさん、マッサージ師をチラと見て、うなずく。
に「まずは、足から触っていきますね」
奥「…………」
み「…………」
に「今、ここ触ってますけど、痛みありますか?
……ない?わかりました。
ふむふむ……
ここはどうです?
……大丈夫?はいわかりました。」
『にっこう』さんは、何かを確かめるように、掌を使って、下肢や腰のアチラコチラを、ぐっと押したり擦ったり…
に「奥様…」
奥「やっぱり歩かせた方がい」
に「ご主人を無理に歩かせないで下さい」
奥「え?」
に「ご主人は、現在、歩けるほどの、
まぁ正確には、歩くために身体を支えるだけの
筋力がありません。
ですので、無理をさせれば危険ですよ」
奥「…そ、そうなんですか?」
に「ハイ。ですので、
まずはマッサージで血行を良くして、
筋肉の緊張を和らげ、
だんだんと運動療法を加えて
筋力強化を図りましょう。
歩くのはそれからです」
…奥様、目が点、という感じでした。
そう、「歩く」ことは、
確かに、健康にいいし、
歩けるに越したことはありません。
しかし、Sさんの場合、
度重なる入院と
精神的なショックによる意欲低下で
歩く機会が減り、
筋力が落ち、
動けば筋緊張で痛み、
余計に歩くのが厭になり、
そして、
安全に歩ける筋力がない状態
になってしまったのです。
そして、訪問マッサージのお申込を頂きました。
それが、昨年の12月のこと。
さて、それからのSさん、
どうされているのでしょう?
…長くなったので、次回につづく…
では、また次回!
あなたに笑顔と悦びを!
みなとでした!
訪問マッサージに関するお問い合わせは
▼▼▼
コチラ
《つれづれなるまま》メインの過去記事
戦友
戦友(2)
ケアカンファレンス
ケアカンファレンス その2
ハッピーエンド
暑い夏の日
痛くないです
ケアカンファレンス その3
137の秘密
温罨法の効果
一日の価値
桜の道を…